ここがポイント
解決したかった課題
- そもそも自治体向けに認知を図る方法がなかった
- 自治体毎に課題感が異なり、事例があっても横展開が出来なかった
成果・ポイント
- 社内や取引先に、BtoG事業を行っていることを周知出来た
- 自治体職員向けオンライン展示会においては、「こちらから営業をかける」のとは明らかに異なり、自治体職員側の方から積極的な反応が得られた
FunTre株式会社は "本物を世界に" の経営理念のもと、多彩なデジタルマーケティング関連サービスを提供する企業です。その一環として、鳥取県と共に県内企業へのICT活用支援やそれによるコンサルティングを展開して成果を上げています。今回は同社代表の谷田部氏に、自治体通信活用の背景を聞きました。
※本記事は、イシン株式会社が運営する自治体通信による、民間企業向け「BtoGマーケティング支援サービス」活用インタビューです。
<目次>
- DXで日本を元気に
- 自治体通信はみんな読んでいた
- 今、その課題について調べている自治体と接点を持てる
FunTre株式会社
代表取締役
谷田部 敦
昭和59年、栃木県生まれ。平成21年、東京大学大学院修了。BASFジャパン株式会社に入社し、マーケティング業務や専門的な開発営業業務に従事。平成23年にFunTre株式会社を設立し、代表取締役に就任。
DXで日本を元気に
最初に御社について伺ってもよろしいでしょうか。
はい。FunTre株式会社は2011年から活動を行っており、企業のDX支援、デジタルマーケティング支援を中心とした事業を展開しています。実際にクライアントの気持ちになって支援できることを特徴としており、そのために美容院や保育園、食品の製造開発〜販売なども自社で運営を行ってまいりました。
また各種支援サービスからの派生事業として、デジタル化人材、デジタルマーケティング人材を育成する学校事業があります。今までに700名以上を育成し、卒業生の78%が業務効率化や売上アップといった成果をあげています。その他にも、子育て中のお母さんなどを対象としたIT人材のリスキリングおよび企業のマッチング事業も行っています。
そういったDXや育成事業を行う中で、地方自治体との取り組みをスタートさせた背景を教えてください。
当社には "本物を世界に" という理念があります。その視点で見ると、良い商品やサービスを持っていても世の中に正しく発信できていない企業が地方には特に多いと感じています。また人口減少が叫ばれる中で、地方の企業では特に労働人口減少による人材不足問題が表面化しています。そういった方々を支援することで日本を元気にしたいと以前から考えておりました。その一方で我々は東京を中心に活動しており、会社規模の観点からもなかなか遠方の企業と接点がない、アプローチできないという状態が続いておりました。
そういった状況でその地域の自治体様と協力することで、そういった悩みを抱える会社様の支援が行えるということがわかり、自治体との取り組みをスタートさせました。
自治体通信はみんな読んでいた
自治体との取り組みをスタートしたタイミングで感じていた課題点を教えてください。
まず鳥取県さんとご縁ができて、地域の企業にデジタルマーケティングや情報共有のデジタル化など、ICT活用の支援を行うことになりました。望まれた成果を出すことができ、鳥取県さんにはとてもご好評をいただき、次の段階として、鳥取県さんとの取り組みをもとにいくつかの都道府県さんとの接点を持つことができました。問題はここから先です。
横展開が上手くいかないという話は、皆さんおっしゃいます。
難しいですね。規模感や地理上の理由などがあり、自治体さんによって課題は様々です。そんな中で横展開を行おうとしても、BtoBで言えば別業界にアプローチするような難易度です。そして当然ながら、我々のような小さい会社のことを自治体さんは知りません。リスクを避けたい自治体側としては、大きな会社・長年実績のある会社を好むのは仕方がないと思います。
その一方で、我々のような小規模な企業からすると、BtoG・BtoB関係なくどんな領域でも新規開拓は簡単なことではない。そこから考えると、我々の会社でも工夫次第で自治体との取引実績を作れるというのはポジティブでした。
そこから自治体通信にお声かけいただいた背景を教えていただけますか。
偶然のご縁以外のキッカケをつくるため、何らかの形で「信頼性のある情報発信」をしたいと考えていました。そういったタイミングで入社した元自治体職員の新入社員から「自治体通信というメディアは職員がみな読んでいる」と教えられました。
運営元であるイシン株式会社とは別事業で繋がりがあったこともあり、相談をさせてもらいました。
自治体通信以外に自治体へアプローチする施策は考えましたか。
自治体さん向けのアプローチ手段で有効と思える施策はほとんど無いように感じます。自治体毎に課題感が異なることが要因です。
電話での情報提供なども行っていますが、我々の人員規模では全国を網羅できません。そのため、まずは自社のことを自治体さんにも知っていただき、ある程度ニーズのある自治体さん側から見つけていただくような施策は必要です。
結果として利用することになった自治体通信のサービスを教えてください。
49号および53号 * の自治体通信本誌掲載(+オンライン掲載)と、自治体職員向けに実施したオンライン展示会「自治体DX展」への出展です。
* 編集部補足:53号は本記事取材時点で発行前
今、その課題について調べている自治体と接点を持てる
自治体通信本誌に期待していた成果を教えてください。
スムーズに契約まで進むような問い合わせがあることが理想ではありますが、そこは簡単では無いのは理解しており、長期的な目線や他の施策との組み合わせで考えています。
そんな中で期待することは「名刺」の代わり。我々はこう言った活動をしていて、自治体との取組実績がありますというメッセージを出すことです。
名刺について詳しく教えてください。
自治体さんに連絡した際、伺った際に、記事を活用しながら「こう言った活動をしています。」とお伝えしています。
他に得られた成果はありますか。
社内や既存取引先への発信です。
既存の取引先は首都圏の企業が多いため、今後本格的に地方自治体の地域活性化をやっていくことを伝えられるのはプラスです。
社内への発信効果とは、どういったものでしょうか。
地方自治体や行政と取引があるというのは、信頼性がある企業の説明として有効です。自治体事業に関わっている社員は一部なので、全社員に対して第三者目線を交えて事業紹介をできるのはメリットとして捉えています。
続いて、オンライン展示会出展について教えてください。
リード獲得目的で展示会に出展し、先日その中の1社と打ち合わせを行いましたが、非常に良かったです。
通常の我々からのアプローチと異なり、自治体側から興味を持っていただいているので、商談のスムーズさが全く異なります。自治体さんの課題は常に変わるので通常のアプローチでは「昨年度なら興味あったんだけど」ということが往々にして起こります。展示会経由であれば、今その課題について調べている自治体と接点を持つことができる。
これは価値が高いと思います。
最後に、実現可能性の有無を問わず、今後の自治体通信に望むことを教えてください。
展示会の話にも関連しますが、「自治体の方がココで課題解決手段を探す」「自治体の悩みがわかる」という場ができるといいなと考えています。
その他には、自治体への営業、自治体との取引方法を学べる場が欲しいですね。その辺りはメディアである自治体通信が担ってくれると助かります。
ご意見ありがとうございます。自治体・民間企業両方の課題解決を目指して、メディアとして頑張っていきます。本日はありがとうございます!