【自治体通信Online 寄稿記事】
三重県流「あったかいDX」の全記録~新卒入庁職員の成長ストーリー~ #9(三重県 デジタル社会推進局/同局職員・中濵 佑希乃)
三重県版デジタル庁に位置づけられる三重県デジタル社会推進局では、さまざまな“自治体初”のDXの取り組みを推進しています。今回はそのひとつ「みえDXセンター」について。昨年9月に発足した同センターは、どのように仕組みで、どういった活動をしているのか等を同局の新卒入庁職員・中濵 佑希乃(なかはま ゆきの)さんが寄稿。住民目線に近いフレッシュな感性で“自治体DXの最前線”をお届けします。
デジ局の目玉施策
全国の自治体の皆さま、明けましておめでとうございます。
三重県デジタル社会推進局(以下「デジ局」という)デジタル戦略企画課の中濵です。
今年もよろしくお願いいたします。
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この連載の前々回および前回では、中濵の初の企画であった「デジタル花咲かプロジェクト」の結果と、感想などについてお話しました。
(参照:「『デジタル花咲かプロジェクト』の振り返り《実施結果編》」、「『デジタル花咲かプロジェクト』の振り返り《学びと気づき編》」)
「#三重しか勝たん」のハッシュタグ、今も使っています。皆さんもぜひ使ってみてください。
さて、今回の記事では、デジ局の目玉施策の一つである「みえDXセンター」についてお話しいたします。
「みえDXセンター」は、県内外のDXを牽引する専門家や企業と連携し、県民の皆さんや県内事業者、行政機関(市町・県)からのDXに関するお悩みに応える、全国初の、DXを推進するためのワンストップ相談窓口です!!
「みえDXセンター」では、三重県が考えるデジタル社会形成に必要な要素を5つのカテゴリーに区分し(下図参照)「みえDXアドバイザーズ」「みえDXパートナーズ」に登録された専門家や企業には、相談者からの依頼に基づき、カテゴリーごとの人材育成に関する無料セミナーや情報提供、専門家や企業が有する知見によるアドバイスなどを実施していただきます。
・「みえDXアドバイザーズ」
みえDXアドバイザーズは、三重県が考えるデジタル社会の形成に必要な5つの要素に関する高度な専門知識や実践経験を持ち、本県が掲げるデジタル社会のビジョンを共有し、本県におけるDX推進に賛同いただいた18名の専門家の皆さんです。
相談いただいた内容に応じ、センター担当者が最適なアドバイザーをご紹介しています。
詳細:https://www.pref.mie.lg.jp/D1DIGITAL/mie_dx_advisors.htm
・「みえDXパートナーズ」
みえDXパートナーズは、三重県が考えるデジタル社会の形成に必要な5つの要素に関する高度な専門知識やソリューションを持つとともに、本県が掲げるデジタル社会のビジョンを共有し、本県におけるDX推進に賛同いただいた11社の企業です。
相談いただいた内容に応じ、センター担当者が最適なパートナー企業をご紹介しています。
詳細:https://www.pref.mie.lg.jp/D1DIGITAL/mie_dx_partners.htm
これまでに寄せられた相談事例
みえDXセンター開設から、これまでに複数相談が寄せられています。相談者は、DXに興味・関心のある県民グループや、自社課題の解決を希望する事業者等、様々な属性の方々です。
内容としては、人材育成(セミナー開催等の相談)、情報提供(DXに関する情報提供等を希望)、課題解決のための相談(DXに関する個別相談を希望)と多岐にわたっていますが、特に、人材育成に関するご相談が多くなっています。人材育成について、組織内のDX推進に向けた職員の基礎知識の習得、組織内のオンラインでのコミュニケーション改善など、まさにDX推進の第一歩を踏み出すためのご相談が来ています。
また、課題解決のための相談では、組織内の事務手続きのデジタル化等、実務に直結するご相談も寄せられています。
みえDXセンターでは、こうしたご相談に対し、まずは事務局で正確に内容を把握するためのヒアリングを行ったうえで、相談者の希望や課題に応じて、適切なアドバイザーズ・パートナーズとの相談実施や、その他専門支援機関等への橋渡しを行っています。
詳しくはみえDXセンター公式WEBサイトをご覧ください。
詳細:https://www.pref.mie.lg.jp/D1DIGITAL/mie_dx_center.htm
局全体で協力し合って進める事業
みえDXセンターは、もともと、中濵の所属しているデジタル戦略企画課戦略推進班の長井班長と、中濵のトレーナーの武田さんの担当業務として始まりました。
今では、県民の皆さんや県内事業者等がDX推進に取り組むことを支援する、社会全体のDX推進に向けて、まさにデジ局が一体となって取り組むべき事業として、課をまたがって対応しています。相談対応、アドバイザーズ・パートナーズの方とのやり取り、ホームページ作成、予算対応、広報などを局全体で手分けしながら進めています。
課内で協力し合う事業はたくさんありますが、局全体で協力し合って進めている事業は少ないので、この事業はデジ局の目玉施策と言っても過言ではないのかなと思っています。
いち個人としても、みえDXセンターは本当に社会に必要な存在だと思います。
というのも、このご時世、DXに興味があったり、DXを推進したいと考える企業や組織は多いと思いますが、一体どうやってDXを推進するかについてはネットで調べるだけではあまりよく分からないからです。
また、DXについて誰か詳しい人に相談したくても、そもそも誰がDXについて詳しいかわからない上、わかったところで知り合いでもない人に簡単には相談できません。そんな時、みえDXセンターがあれば、個々の悩みに合わせて、専門家や企業と相談することができます。なんとも有意義かつ、行政だからこそできることを最大限利用した、とてもいい仕組みだと思います。
もっともっと、みえDXセンターの存在を周知し、より多くの方に利用していただくために、何か私にできることはないか、探していきたいと思います。
リレーコラム~局のメンバーによる「あったかいDX」とは⑤
本記事をご覧の皆さん、はじめまして。中濵の所属するデジタル社会推進局デジタル戦略企画課の課長の大坪 恵子(おおつぼ けいこ)と申します。
今回は、私の「あったかいDX」についてお話いたします。
私がDXの重要性を意識し始めたのは、ちょうど新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた令和2年度にスマート改革推進課に配属されたころです。
コロナをきっかけに、突如、従来のような対人でのコミュニケーションが避けられ、三重県庁でも一気にテレワークやWeb会議開催が加速しました。これまでとは違う価値観や未来への考え方が急速に世の中に広がってきたと感じ、先行きが不透明な状況に不安を感じる一方で、これまで課題であったこともDXで解決することができるのではと感じました。
“いずれコロナが終わっても、コロナ禍で変わった生活スタイルなどは元に戻ることはないだろう”とよく耳にします。実際に、デジタルの便利さを知ってしまった私たちは、もう昔のようには戻れないでしょう。
デジタルは本当に便利です。VRを活用することで、出歩くことができない方でも海外旅行に行ったような経験ができる、3Dアバター技術を活用することで、実際に試着をしなくとも自分にぴったりの服を選べるなど、夢があり、人を幸せにできるものだと思います。これからさらにデジタル技術は進化していき、現在では想像もできないようなことが当たり前になっていく、そんな時代が来るのだと思います。デジタル化は、私たちの未来の、期待の星です。
しかし、デジタル化していく「当たり前」に、慣れることが出来ず、受け入れることに時間がかかる方もいらっしゃると思います。
「あったかいDX」では、そのような方たちの意見も尊重し、どなたも自然にデジタル化の恩恵を受けることができる社会を目指していければと思います。DXの重要性を一方的に伝えるのではなく、それぞれの状況に合わせて丁寧な支援を行っていくことが大切だと考えています。
三重県に住む方がDXの恩恵により三重県に住んでいてよかったと思うことができる、そこを目指して三重県のDXを推進していきたいと思います。
さて、そろそろ今回の記事を終わります。ここまで読んでくださったみなさま、ありがとうございました。
(「【“コロナ本部”に動員された1年目職員の気づき】頼りになるデジ局をつくりたい!」に続く)
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三重県 デジタル社会推進局のプロフィール
三重県デジタル社会推進局では、デジタル時代を生き抜くために、あらゆる人々が家庭・職場・地域それぞれの場所において、新しく何かにチャレンジできる時間を創出できるよう「みんなの思いを実現する『あったかいDX』」をミッションとして、「誰もが住みたい場所に住み続けられる三重県の実現」を目指し、圧倒的なスピードでデジタル社会形成を推進中。2021年4月創設。50人体制。
<連絡先>059-224-3086