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【変化のなかの自治体職員】2022年

    【変化のなかの自治体職員】2022年

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    これからの時代の公務員が「幸せ」になる働き方 #8(さいたま市職員・島田正樹)

    出口が見えないトンネルで暗中模索していても、時は確実に進み、先には新しい光景が待ち構えています。仕事始めを済ませたところで、ちょっぴり自治体職員の1年の計を一緒に考えてみませんか?

    はじめに

    2022年がはじまりました。新年のご挨拶を申し上げます。

    いつも「これからの時代の公務員が幸せになる働き方」をご愛読いただきありがとうございます。
    (参照:これからの時代の公務員が「幸せ」になる働き方~連載バックナンバー)

    今回は2022年最初の記事ということで、新年のご挨拶とともに私の(個人的な?)今年の「活動方針」をお伝えしたいと思います。

    みんな地域のために頑張ってきた2年間

    2019年に新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まってから、約2年間、地方公務員はその対応に追われてきました。保健所など医療に近い部署では深夜におよぶ残業、土日祝日のない勤務体制が続き、今なお多くの仲間が対応に追われています。

    感染症と直接関係のない部署でも、給付金の業務、学校関係の対応、職員の勤務体制の整備、広報や報道対応など、無関係でいられた地方公務員はいませんでした。

    もちろん、新型コロナウイルス感染症のことだけで2年間を総括することはできません。他にも福祉、教育、経済、公共インフラなど地域ごとに様々な課題と向き合ってきたことと思います。パンデミックがなくても、地方自治体の現場は課題の宝庫です。

    いずれにしても、この新型コロナウイルス感染症に翻弄されたことを筆頭に、この2年間、地方公務員はよく頑張ってきたよね、と労ってもいいんじゃないかと感じるのですが如何でしょうか。

    変わりつつある公務員へのまなざし

    世間の公務員に対するまなざしも、ここ数年で変わってきたように感じます。

    例えば、国家公務員や地方公務員のボーナス削減について。これまでであれば「それでももらいすぎ」といった雰囲気が強かったところが、SNSやネットニュースでは、「まだ公務員いじめ?」「公務員のなり手がいなくなる」「コロナ禍で公務員はかなり働いたのに」といったコメントが目につくようになりました。

    少し前になりますが、消防車でコンビニに立ち寄って飲み物を買う消防士に対して寄せられたクレームについても話題になりました。その際には、そういったクレームの方を非難する声が多く見られたのが印象的でした。

    新型コロナウイルス感染症拡大の中での保健所はじめ地方公務員の働き方が市民の目に触れるようになったことに加え、ここ2~3年で国家公務員のブラックな働き方の内情がかなり具体的に知られるようになったことも大きいような気がします。

    公務員をいたずらに叩いても国民にとってメリットはないという冷静な声が(以前から存在していたはずですが)より明確に見えるようになり、公務員を見る国民の雰囲気自体も変化しているように感じるのは私だけでしょうか。

    戻るのではなく進む

    そして今年、2022年のことです。

    本当なら新型コロナウイルスによるパンデミックが終息して、今年こそは……と言いたいところですが、そのあたりの予測は難しそうです。この記事が公開される頃の状況を、数週間前にこの原稿を書いている日に見通せていません。

    ただ、ひとつ言えることは、パンデミックによる一時的な制約を経て、戻り得ない変化を私たちが経験しているのだろうということです。トンネルを抜けて元の世界に戻るのではなく、きっと価値観やルールが異なる新しい世界へ進むことになる。そんなふうに感じているのは、私だけではないはずです。

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    トンネルの先に待っている“新しい世界”の光景は?

    地方公務員の仕事も新型コロナウイルスが現れる前の状態には戻らないでしょう。

    オンライン化による会議・出張の変化や在宅勤務の広がりなど既に変化しているものに加え、現在進行中のDX(デジタルトランスフォーメーション)も浸透していくでしょうし、何よりパンデミックを経た人びとの価値観の変化は、地方公務員の働き方にとどまらず地方自治体の事業そのものを変えることになりそうです。

    ただし、それでも「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」ことは変わりません。

    どんなに世界が変わっても、公務員という職業が皆さんからお預かりした税金で事業に取り組み、ソフト、ハードの両面で公共的なインフラを支えているなら、このことは大きく変わらないのではないか、私はそんなふうに考えています。

    ひとりでも多く労い、励ましたい

    そんな中、私事ではありますが、昨年から現役公務員として勤めながらボランティアで週末キャリアコンサルタントの活動をはじめました。

    公務員が幸せに働くことが住民の幸せを実現するために必要な「土台」だと信じている私にとって、現役公務員として働きながら、キャリアの課題と向き合う公務員のお手伝いをすることはライフワークといってもいいかもしれません。昨年2月に出版した拙著『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(学陽書房)も、そういった想いで書かせていただきましたし、自治体通信オンラインでこの連載を書かせていただいているのもベースにあるのは同じ想いです。

    新型コロナウイルス感染症の対応に追われる毎日にモヤモヤしているひとも多いと思いますが、きっとそれ以上にpost/withコロナの新しい世界でこそ、公務員のためにできるキャリア支援があると思うのです。

    新しいルールや価値観に戸惑ったり、懸命に働きながらもやりがいを見出せなかったり、自分のキャリアについて先が見えず不安を感じていたり。そんな皆さんのお話に耳を傾け、支援をしていきたい。個別のキャリア相談でもキャリアをテーマにしたワークショップでも講師のご依頼をいただく研修の場でも、そして、この連載でも、ひとりでも多くの公務員の皆さんを労い、励まし、勇気づけたい。

    それが「現役公務員キャリアコンサルタント」としての私の今年の活動方針です。

    本年もどうぞよろしくお願いいたします。
    (キャリアに関するご相談もお待ちしております)

    (「【キャリアを自分で決める公務員になるために】“大人の学び”のススメ」に続く)

     ★ 本連載の記事一覧

    自治体通信への取材依頼はこちら

    島田 正樹(しまだ まさき)さんのプロフィール
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    2005年、さいたま市役所に入庁。内閣府・内閣官房派遣中に技師としてのキャリアに悩んだ経験から、業務外で公務員のキャリア自律を支援する活動をはじめる。それがきっかけとなり、NPO法人 二枚目の名刺への参画、地域コミュニティの活動、ワークショップデザイナーなど、「公務員ポートフォリオワーカー」として、パラレルキャリアに精力的に取り組む。
    また、これらの活動や、公務員としての働き方などについてnote「島田正樹|公務員ポートフォリオワーカー」で発信するとともに、地方自治体の研修や「自治体総合フェア」等イベントでの講演を行う。2021年に国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得し、個別のキャリア相談にも対応している
    『月刊ガバナンス』(ぎょうせい)や『公務員試験受験ジャーナル』(実務教育出版)をはじめ、雑誌やウェブメディア等への寄稿実績多数。ミッションは「個人のWill(やりたい)を資源に、よりよい社会・地域を実現する」。目標はフリーランスの公務員になること。
    2021年2月に『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(学陽書房)を刊行。
    <連絡先>shimada10708@gmail.com

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