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【公務員女性の装いのヒント】欲しいのは「ご機嫌」をくれる服

    【公務員女性の装いのヒント】欲しいのは「ご機嫌」をくれる服

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    自治体職員の「装合計画」#2(元東京都職員/イメージコンサルタント・古橋 香織)

    「地味に」「無難に」という基準でクローゼットの中から“本日のコーディネート”を選んでいる公務員女性は多いのでは? しかし、朝からそうした“後ろ向きな気持ち”をもつのは不健全、ですよね。自分に自信をもち、颯爽といい仕事をするための準備として、気持ちを上げてくれる服選びは重要なルーティン。元東京都職員でイメージコンサルタントの古橋 香織さんがこれまで見過ごされがちだった「公務員の装い」をテーマとした本連載。前回の「公務員男性の服」に続いて、今回は「公務員女性のための服選びのポイント」を解説します。

    はじめに

    2021年11月に拙著『公務員男性の服~普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』(以下、『公務員男性の服』)を上梓したばかりの私ですが、女性の公務員の皆様から、「私たちも悩んでいます」という声をいただくことがあります。

    今回のテーマは「公務員女性の服選び」。真面目で芯が強そうな公務員女性も、実は服装に気を遣っています

    一緒に働く男性職員も読んでいて楽しい記事に仕上げました。女性職員がこんなことに悩んでいるのか! という発見がたくさんあると思います。ぜひお読みください。

    そういえば私もそうだった! 公務員女性はなぜ服選びにモヤついているのか?

    「公務員になったら、もうおしゃれできませんよね」

    都庁を退職した私が起業したColor Commonsでは、年明けくらいから来年度の入庁予定者に向けてイメージコンサルティングを行っています。その時に聞かれるのが上のような声です。

    公務員男性のイメージを考えた時と同様、公務員女性にも「服は地味であれ」というイメージがあるようです。これは役所の外側にいる私よりも読者のみなさまの方が実感がおありではないでしょうか?

    実際に私も過去を振り返ってみると、入庁して間もない頃はよく両親から出勤前に「もっと落ち着いた服の方がいいんじゃない?」とか「そんな色のスカート履いていってよいの?」という服装チェックを受けていたことを思い出しました。

    スーツやジャケパンといった型がはっきり存在する男性の服装と比べて、女性の場合は服装の選択肢が広まります。どちらもそれぞれの難しさが存在しますが、女性の場合はその幅の広さが「選ぶ」ことの楽しみに繋がります。

    しかし役所ではその選択肢の多さこそが、頭を悩ませる原因に繋がっているようです。

    この色は派手じゃないかな?
    この丈は短くないかな?
    七分袖のジャケットは浮かないかしら?
    など男性よりも細かく気を遣う上、女性が多い職場だと周りの同性の目が気になり、「装うこと」をあまり楽しめないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    私は公務員を退職後、いろいろな業界のドレスコードの話を伺う機会が多いですが、公務員のドレスコードは他と比較して自由度が高いです。

    拙著『公務員男性の服』の評判が自分の予想以上に良好なのは、「公務員男性の服装」というこれまで正解がありそうでなかった領域に「これはアウトで、これはOK」のような正解の幅を示したからなのではないか、と勝手に分析しています。

    では一方で女性の正解って何でしょう? とても難しい問題ではあるのですが、私自身は「自分が機嫌良くいられる服」が公務員女性の服装の正解ではないか、と思っています。

    これは公務員男性の服選びにもあてはまりますが、女性の服装は男性のそれよりも色、柄、デザインが豊富な分、まるで難しいパズルのように、ディテール(細部のデザインのこと)ひとつでバランスが崩れたり、逆におさまりが良くなったりします。中にはコーディネートの組み立てがうまく行った日は、厳しめな仕事も「えいやっ」と難なくこなせるパワーを服からもらっている気がするという人もいるでしょう。

    それゆえ、ワードローブを眺めながら後ろ向きな気持ちで服を選んでいる公務員女性が少しでも減ったら良いなと思います。

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    公務員になったらワードローブが“地味で無難な白黒の世界”に…。本当にそれでいいの!?

    服を味方にする3つのポイント

    ①ワードローブに「ぴったり」のジャケットを添えよう
    男性とは異なり、公務員の女性は仕事の中でジャケットを着る機会はほぼないかもしれません。けれど勝負ジャケットは1枚持っておくべき、というのが私の考えです。
    裏を返せばジャケット着用のシーンが少なければ少ないほど、議会関係や住民説明会などジャケットに袖をとおすシーンは自分にとって重要なものになります。
    女性のジャケットはかたちや色のバリエーションが豊富ゆえ、1枚にかける価格が安くなる傾向にあります。しかし前述したような数少ない着用シーンほど自分の印象が重要になってきます。
    その時自分をどう見せたいか、相手からどう見えるのかを意識して選んだ、もしくは仕立てたジャケットを1枚は持っておきたいところです。

    ②マンネリコーデは「第2のベーシックカラー」を
    いつも同じ色ばかり着ているという悩みは、服装に制限が多い公務員女性あるあるのひとつ。参考になる情報が欲しくてファッション誌を見ても
    「うちの職場にこんな色着ていけない」
    「こんなデザイン性の高いワンピース着ていったらパーティーだと思われる」
    という声は絶えません。
    このため黒やネイビーでまとめて、別に悪くはないけれど何だかメリハリがない、気分が上がらないコーディネートになっている方が見受けられます。
    そんな時に取り入れて欲しいのが、「ベージュ」「ブラウン」「グレー」の第2のベーシックカラーたち。特に「ブラウン」や「ベージュ」は男性の服装では大きな面積に取り入れることが難しい色味ですが、女性の場合は軸として取り入れて全く問題ありません。
    どれも黒や紺には出せない柔らかさをだしてくれ、纏(まと)う空気がふわっと軽くなります。

    ③メイクも服の一部。定期的に新しいものを加えてみよう
    私はこれまで多くの公務員女性にメイクをレッスンしたり、メイクについてのお話を伺ってきましたが、メイクに苦手意識を持つ方がやはり多いです(ただし皆さん器用なのでメイクのテクニックの習得は速い)。
    女性の難しいところは装いに「メイク」がプラスされること。しかもいやらしいことに、女性の印象には服装とメイクのバランスも大切になってきます。
    朝の準備の段階で気持ちをお仕事モードに仕向けるには、いつも同じものを使うのではなく、定期的に新しいコスメを足してあげる習慣を作ってみましょう。
    いつものベーシックなアイシャドウに加えて、少し華やかなパレットを買い足してみる。そうするだけで自分を表現する幅も広がり、淡々とメイクすることもなくなるはずです。

    服は心のスイッチ。公務員女性こそ装いの力を借りよう

    『公務員男性の服』でも言及しましたが、私たちの周りには「形から入る」ことに対してあまり良い印象を抱かない方もいます。「見かけ倒し」なんて言葉があるくらいですから。しかしそんなことを気にするのは本当にもったいないです。

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    大反響を呼んだ古橋さんの著書『公務員男性の服』(ぎょうせい)の表紙カバー

    実際に私自身もプレッシャーのかかる大きな講演や華やかな方が多い同業のイメージコンサルタントの集まりなどでは、苦手を吹き飛ばし自分に気合を入れるために服を選んでいます。自分の好きな色や少し背伸びして購入したものを積極的に取り入れています。

    もしここでいつものジャケットだったら、いつものパンプスだったら、もたらす結果は絶対に違っていたと断言できます。

    服だけではありません。髪だってネイルだって、強い心を作っていく大事なスイッチであり、パワーの源なのです。

    見た目と中身は繋がっています。言うなれば服は心のいちばん外側です。それゆえコーディネートがうまくいった日は、上手くいかなかった日よりも間違いなく良い仕事をしているはずなのです。

    * * *

    今回は公務員女性の服装について書かせていただきました。職場との調和を大事にしつつも、真面目で自分に厳しい公務員女性こそ、許される範囲内で服を味方にして、しなやかに毎日を過ごしていきたいですね。

    (続く)

     ★ 本連載の記事一覧

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    古橋 香織(ふるはし かおり)さんのプロフィール
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    元東京都職員
    イメージコンサルタント
    早稲田大学卒業後、2011年に東京都入庁。おもに東京都議会 議会局 管理部 総務課での議員接遇等に従事。在職時、早稲田大学大学院政治学研究科で政治や議会について現場からではわからない理論的な観点からの知識を取得し(公共経営学修士)、銀座イメージコンサルタントプロ養成アカデミーでメンズオーダースーツではトップクラスの受注率を誇るイメージコンサルタント工藤亮子氏に師事し、メンズスーツスタイルを学ぶ。
    退職後、2020年1月、イメージコンサルティングラボ「Color Commons」主宰。政治およびパブリックセクターに強みをもつイメージコンサルタントとして独自の立ち位置を取る。多くのエグゼクティブが来訪する公的機関である議会での勤務経験から、特にスーツスタイルやカラーコーディネートを得意とし、現職政治家や政治家志望者、公務員、公務員新規採用者などに、理論とエビデンスに基づいた「信頼感あふれる見た目」を土台としたイメージづくりの提案を行っている。
    全国の公務員にオンラインで着こなしを教える講座「公務員ファッションアカデミー」を月1回開催している。
    2021年11月に『公務員男性の服~普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』(ぎょうせい)を上梓。
    女性向けには自身のインスタグラムで「お役所女子必携コスメ」(https://www.instagram.com/kaori_colorcommons/)を紹介している。

    <Color Commonsのサイト> https://colorcommonslab.com/
    <連絡先(問い合わせフォーム)>http://colorcommonslab.com/otoiawase

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