予防接種プランの自動作成モバイルサイトで安心して子育てできるまちへ

千葉県白井市 の取り組み
子育て支援
予防接種プランの自動作成モバイルサイトで安心して子育てできるまちへ
子どもの予防接種のスケジュール作成は保護者にとって大仕事。体調などの事情で適切な接種時期を逃す人も少なくない。そこで白井市(千葉県)では、子どもの生年月日などを登録すると自動的に予防接種スケジュールが作成されるモバイルサイトを無料で提供している。その背景を市長の伊澤氏に、狙いや効果について同市健康課の渡辺氏と山田氏に聞いた。
※下記は自治体通信 Vol.5(2016年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
千葉県白井市データ
人口: 6万3,222人(平成28年4月末日現在) 世帯数: 2万4,924世帯(平成28年4月末日現在) 予算規模: 330億3,170万円(平成28年度当初) 面積: 35.48km² 概要: 千葉県の北西部、印旛沼水系の上流域にあたる。約2万7,000年前の旧石器時代から人が居住していた。中世には金沢文庫の創設で知られる北条実時の所領などがあり、近世には幕府の軍用馬用の牧場が多く置かれた。明治期になると梨の栽培が盛んになり、現在、日本における梨生産額トップの千葉県のなかで、生産額1位を誇る。昭和54年に千葉ニュータウンの入居が始まってから人口が激増、住宅地として発展している。
―地方創生への取り組みを教えてください
伊澤 若い世代定住、市の魅力発信、産業活性化、住み続けたいまちづくりの4つの柱のうち、若い世代定住、とくに若い人たちが市から出ていかないようにする施策に力を入れています。当市は昭和54年に千葉ニュータウンの入居が始まり、人口が激増。しかし、その子ども世代は市を離れ、4年後には人口の減少が始まる見込み。
これをくつがえしたい。そのための施策のひとつが“出前授業”。私自身が先生になって、市内の小・中学生に市の産業や歴史を教えています。たとえば「東京・お台場のガンダムを塗装したのは市内の会社なんだよ」と教える。子どもたちの目が輝きます。市に愛着をもってもらい、彼らの何割かが市に居住し続けてくれればと。
―平成28年1月から開始した「白井市なし坊・かおりの予防接種ナビ」も、そのひとつなのですね。
伊澤 ええ。実際、転入してくる若い夫婦にこのサービスの説明をすると、「そんないいものがあるんですね」と好評です。いま子どもをもうける親はスマートフォン世代。便利なモバイルサイトを活用することに慣れていますから。

―どんなサービスなのですか。
渡辺 予防接種はワクチンによって接種する月齢や年齢、回数が違い、間隔をあけて接種するべきものがあるなど、スケジュール作成に手間がかかっていました。このモバイルサイトはその手間を大幅に減らしてくれるものです。
―どのくらい利用されていますか。
渡辺 3歳までの子どもをもつ全世帯に告知。今年4月までに対象の半数以上の世帯が登録しています。今後、クチコミなどで広がり、さらに利用率は上がるでしょう。
―導入後の変化を教えてください。
渡辺 市役所への問い合わせは激減しました。それまでは、窓口に相談に来た保護者の方と一緒にスケジュールを考えることも。そうした対応業務が大幅に減りましたね。保護者の方が自分でスケジュールを立てやすくなり、接種忘れが減り、適切な時期に受ける人が増えるのを期待しています。
―予防接種ナビの子育て施策への活用はほかにありますか。
山田 情報配信機能を活用し、子どもの成長段階ごとに必要な市の子育て支援情報などを配信します。
従来は子育て支援センターなどのお知らせや市の広報誌を通じての発信が主。でも、どのくらいの方が見ているのか実感がありませんでした。その点、このサイトには子どもの生年月日が登録してあるので、年齢にあった情報をタイムリーに配信できる。子育て中の保護者の不安をやわらげる効果も期待でき、切れ目のない子育て支援に取り組む市の施策のひとつとして有効だと感じています。

千葉県白井市 の取り組み

自治体と保護者とをつなぐ情報発信基盤にしたい
※下記は自治体通信 Vol.5(2016年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―自治体のICT化支援で、予防接種スケジュール作成に着眼した理由はなんでしょう。
親として育児をしている私自身の経験がもとになっています。妻が苦労して子どもの予防接種のスケジュールを組んでいるのを間近で見て、「予防接種のスケジュールを自動的に作成できたら、保護者はうれしいだろうな」と。
また、従来から自治体の方々はさまざまな子育て支援策を展開しています。なかでも「育児のステージにあった情報を配信したい」という要望を多く聞いていました。そこで、子どもの生年月日を登録すると、予防接種のスケジュールが作成できるサービスを用いることで、育児ステージにあった情報発信基盤になるのではと考えました。
たとえ育児の経験がある保護者でも、制度が変わりやすい予防接種スケジュールを組むのは大変です。このサービスは同時接種や制度の変更、個人のプロフィールなどの事情を勘案して自動作成してくれるので、保護者の利用率が高くなります。
そこを通して、子どもの年齢に応じた情報を配信していけば、支援策の認知度と利用度は飛躍的に高まります。それを低価格で導入できるので、メリットは大きいと考えています。
―今後の改良や拡張の構想を教えてください。
情報発信基盤としての機能をより強化して、妊娠・出産・就学と各成長ステージにわたって切れ目なく、このサービスでずっと支援できるようにしていきたいですね。
早野 寛祥(はやの ひろよし)プロフィール
昭和54年、神奈川県生まれ。明治大学を卒業後、平成14年に株式会社日立システムズに入社。配属以来、公共分野でのシステム構築を担当。二児の父。
株式会社日立システムズ
設立 | 昭和37年10月 |
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資本金 | 191億6,200万円 |
売上高 | 4,303億7,700万円(平成27年3月期:連結) |
従業員数 | 1万7,995人(平成27年3月31日現在、連結) |
事業内容 | システム構築事業、システム運用・監視・保守事業、ネットワークサービス事業、情報関連機器・ソフトウェアの販売と開発 |
URL | http://www.hitachi-systems.com/ |
お問い合わせ電話番号 | 0120-346-401(平日9 : 00~17 : 00) |
お問い合わせメールアドレス | faindesk.h.vd@ml.hitachi-systems.com |