―地方創生への取り組みを教えてください
伊澤 若い世代定住、市の魅力発信、産業活性化、住み続けたいまちづくりの4つの柱のうち、若い世代定住、とくに若い人たちが市から出ていかないようにする施策に力を入れています。当市は昭和54年に千葉ニュータウンの入居が始まり、人口が激増。しかし、その子ども世代は市を離れ、4年後には人口の減少が始まる見込み。
これをくつがえしたい。そのための施策のひとつが“出前授業”。私自身が先生になって、市内の小・中学生に市の産業や歴史を教えています。たとえば「東京・お台場のガンダムを塗装したのは市内の会社なんだよ」と教える。子どもたちの目が輝きます。市に愛着をもってもらい、彼らの何割かが市に居住し続けてくれればと。
―平成28年1月から開始した「白井市なし坊・かおりの予防接種ナビ」も、そのひとつなのですね。
伊澤 ええ。実際、転入してくる若い夫婦にこのサービスの説明をすると、「そんないいものがあるんですね」と好評です。いま子どもをもうける親はスマートフォン世代。便利なモバイルサイトを活用することに慣れていますから。
―どんなサービスなのですか。
渡辺 予防接種はワクチンによって接種する月齢や年齢、回数が違い、間隔をあけて接種するべきものがあるなど、スケジュール作成に手間がかかっていました。このモバイルサイトはその手間を大幅に減らしてくれるものです。
―どのくらい利用されていますか。
渡辺 3歳までの子どもをもつ全世帯に告知。今年4月までに対象の半数以上の世帯が登録しています。今後、クチコミなどで広がり、さらに利用率は上がるでしょう。
―導入後の変化を教えてください。
渡辺 市役所への問い合わせは激減しました。それまでは、窓口に相談に来た保護者の方と一緒にスケジュールを考えることも。そうした対応業務が大幅に減りましたね。保護者の方が自分でスケジュールを立てやすくなり、接種忘れが減り、適切な時期に受ける人が増えるのを期待しています。
―予防接種ナビの子育て施策への活用はほかにありますか。
山田 情報配信機能を活用し、子どもの成長段階ごとに必要な市の子育て支援情報などを配信します。
従来は子育て支援センターなどのお知らせや市の広報誌を通じての発信が主。でも、どのくらいの方が見ているのか実感がありませんでした。その点、このサイトには子どもの生年月日が登録してあるので、年齢にあった情報をタイムリーに配信できる。子育て中の保護者の不安をやわらげる効果も期待でき、切れ目のない子育て支援に取り組む市の施策のひとつとして有効だと感じています。