―掛川市ではどのような地震対策を行っているのですか。
静岡県が平成25年に公表した「第4次地震被害想定」をもとに、「掛川市地震・津波対策アクションプログラム2014」を策定。地震、津波から命を守るための対策を進めています。
津波対策では、海岸の防災林を強化する事業や、津波避難施設の建設を実施しました。地震に対しては、木造住宅の耐震化や家具の固定などに補助を行っています。
最近ではとりわけ、感震ブレーカーの認知度向上や設置に本腰を入れ始めています。
―感震ブレーカーの導入に力を入れる理由はなんでしょう。
大地震にともなう停電が復旧し、通電が再開される際に発生する「通電火災」を未然に防ぐためです。地震から命を守るためには、建物の倒壊だけでなく、火災への対策も考えなくてはいけません。
そこで掛川市は、平成29年度から感震ブレーカーの設置に対する補助を開始しました。さらに今年6月には、国の重要文化財でもある掛川城御殿や大日本報徳社大講堂といった木材を多く使用した文化財、市役所など市内の24ヵ所の建物を対象に、IoT技術を取り入れた感震ブレーカーを設置する「地域防災システム実証プロジェクト」をスタートさせました。
地震観測網を拡充し防災力を強化
―詳細を教えてください。
震度3以上の揺れを感知すると揺れの各種データを取得できる、高機能感震ブレーカーを設置。通電火災を防ぎつつ、地震データの防災への活用をめざす取り組みです。ブレーカーは壁にしっかりと固定されるものなので、地震を測定するシステムと親和性が高いのです。
高機能感震ブレーカーは、地震発生時にスマートフォンなどへ自動でデータを発信してくれます。また、建物の傾きといったデータを蓄積・解析すれば、建物の劣化状況も診断できる。さらに、高密度な地震観測網を構築できるので、山間部から沿岸部まで、多様なデータを収集し、それぞれの地区にあった対策を打つことも可能になりますね。
―実施後の反響はどうですか。
市の広報誌でプロジェクトを紹介したところ、感震ブレーカーにかんする市民からの問い合わせが増えました。今後は住宅メーカーや電気工事関係者にも働きかけながら、感震ブレーカーの認知度向上を図っていきたいですね。