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先進事例2020.01.27

公共交通の運行効率を上げる方法【自治体(飯綱町)の取組事例】

公共交通の運行効率を上げる方法【自治体(飯綱町)の取組事例】

長野県飯綱町 の取り組み

公共交通の運行効率を上げる方法【自治体(飯綱町)の取組事例】

公共交通の運行効率を上げる方法【自治体(飯綱町)の取組事例】

企画課 地域振興係 担当係長 広田 勝己

人口減少や財政事情の悪化などから、都市機能の一部である公共交通機関の存続が危ぶまれるケースが増えている。そうしたなか、飯綱町(長野県)では、利用者の要求に対応して運行する「デマンドバス」を構想。「交通空白地域」をなくしながら、さらに公共交通費用の削減にも成功している。取り組みの詳細を、町の担当者に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.16(2018年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

長野県飯綱町データ

人口: 1万1,169人(平成30年10月31日現在) 世帯数: 4,173世帯(平成30年10月31日現在) 予算規模: 143億3,175万7,000円(平成30年度当初) 面積: 75.00km² 概要: 長野県の北部に位置する。西・南は長野市、北は信濃町、東は中野市に隣接する、飯綱山から斑尾山までの穏やかな丘陵地。町の地形はすり鉢状をなし、底辺部となる町の中心には鳥居川が流れている。基幹産業は、りんごや水稲をはじめとする農業。飯綱東高原の日帰り温泉を中心に、スキー場、ゴルフ場など年間を通じて多くの観光客が訪れる。

―デマンドバスを整備した経緯を教えてください。

平成19年、人口減少によって、路線バスの整理縮小を迫られたことがきっかけでした。それまでは町の補助金で維持されていましたが、利用者は減る一方で、補助金は増え続け、路線維持が難しくなったのです。これに対し、住民からは存続への強い要請がありました。東西に長く、山間の地域も多い飯綱町には、路線バスの廃止によって生活に大きな影響を受ける住民も多い。そこで、「交通空白地域0%」を町の方針に掲げ、公共交通の維持を検討。行き着いた結論が、「デマンドバス」の整備でした。

―どういった仕組みを検討したのでしょう。

事前に予約をしてもらった利用者の家の前まで、バスが迎えに行くというものです。デマンドバスの運行が必要となるのは、路線バスの利用者が減る昼間の時間帯。ここで利用するのは多くが高齢者ですが、ニーズや利用実態を調査したところ、バス停までの移動も困難な方が少なくなかったのです。ただし、厳しい財政事情のもとでデマンドバスを持続的に運行するには、運行管理の効率化が大きな課題になります。

―どのように解決したのですか。

まず、CTI(※)受付システムと業務用カーナビを導入。予約状況が日々変わるなか、利用者の住所を打ち込めば、システム内でどの順番で迎えに行くのがよいか自動で作成でき、デマンドバスのカーナビに迎え先を指示することで運行管理を効率化できました。その後、カーナビの通信機能を活用できるシステムと連携。メーカーである民間企業からは、町の状況に合わせ、コストやシステム設計を提案してもらえたことで、規模の小さな飯綱町でも無理なく導入することができました。

※CTI:Computer Telephony Integration Systemの略。電話とコンピュータの統合システム

年間の公共交通費用は約250万円の削減効果も

―導入効果はいかがですか。

乗客がいないバスを走らせるようなことはなくなり、運行管理が効率化されたことで、町の公共交通費用は導入前後で6%、年間約250万円を削減できました。なによりも、「交通空白地域0%」を達成できたのは、最大の成果です。現在、地形や人口分布をもとに町を4ブロックに分け、各ブロックで3・5往復、7便が運行。住民の3分の2が利用登録しており、アンケートでは8割の利用者から高評価をいただいています。

―今後の運用方針を聞かせてください。

さらに利便性を高める施策を計画中です。この10年で経済圏が移動しており、新たなブロック割を検討しています。また、飯綱町にはスキー場やワイナリーなどへの観光客が多く訪れます。その際に交通手段として利用してもらえれば、観光客誘致の一助にもなる。このシステムがあれば、どのようなルート設計にも自在に対応できると期待しています。

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