※下記は自治体通信 Vol.20(2019年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
近年の地方公務員法の改正以降、人事評価制度の導入が義務づけられ、業績・能力評価を給与や任用の基礎とする制度運用が本格化している。一方で、担当の人事部門では業務負荷が増大しており、その解決策として専用システムを導入する自治体が増えている。西都市(宮崎県)も、そのひとつだ。同市の担当者2人に、専用システム導入のメリットなどを聞いた。
西都市データ
人口:2万9,206人(令和元年8月1日現在) 世帯数:1万2,038世帯(令和元年8月1日現在) 予算規模:290億6,019万2,000円(令和元年度当初) 面積:438.79km² 概要:宮崎県のほぼ中央に位置する。平成30年に日本遺産に認定された国内最大級の古墳群「西都原古墳群」を有することで知られる。古代日向の都として栄え、その後も政治・経済の要の地として、日向の歴史に大きな役割を果たしてきた。その歴史は各所に現存する史跡や文化財から垣間見ることができる。
評価の公平性を担保できる、専用システムの導入が必要
―西都市では、人事評価制度の導入は早かったと聞きます。
長友 はい。国の制度改正をにらみ、平成21年度から試行していました。平成24年度には「西都市人事評価制度」を策定し、これに基づいて業績や能力育成計画における目標を設定し、評価を実施してきました。
吉野 当初は、紙による管理を行っていましたが、庁内380人の全職員の評価を管理することは大変な作業負担でしたので、私自身が表計算ソフトを使ってファイルを作成し、評価データを自動集計していました。しかし、パソコンの入れ替えなどで変わるハード環境にソフトの動作が左右される状況がありました。また、ソフトが壊れた際の復旧やメンテナンスも、私がいなければできませんでした。そこで、汎用的な専用システムの導入が必要と考えたのです。
―システム選定では、どのような点を重視したのですか。
長友 まずは、職員のだれもが使いやすく、操作を簡単に覚えられること。視覚的に見やすく、初めての人でも抵抗感なく使用できることは重要でした。また、蓄積データを各種の分析に活かせる機能も重視しました。
吉野 さらに、評価の公平性を担保するために、被評価者に評価結果をフィードバックできる機能も重要と考えました。そのほか、効率的な業務の推進を図るために、すでに導入している業務システムとのデータ連携が簡単にできることも重視。これらすべてを満たす人事評価システムの導入を決めました。
適正な給与への反映が、職員の生産性を高める一助に
―導入効果はいかがですか。
長友 SEによるバックアップ体制が整っており、安定的な運用が可能になりました。また、人事給与システムとのデータ連携が図れているため、職員の定期異動の際に生じる年度当初のデータ移行といった入力作業の負担が大きく軽減されています。
また、蓄積データの加工・編集によって、評価結果を分析することもできるようになりました。評価者ごとの甘辛傾向や評価結果のブレなどを客観的に分析できる機能もあるため、評価者の目線合わせのための庁内研修用素材としても活用しています。
―今後、人事評価システムをどのように活用していきますか。
吉野 業務の増加、複雑化が進むなか、今後は職員のやる気を引き出し、生産性をより一層高める必要があります。そのためには、公平な評価や適正な給与への反映が欠かせません。このシステムを活用し、そうした職場環境を実現していきたいです。
長友 今後は、職員の評価結果を能力開発にも活かしていきたいですね。西都市には、豊富な農畜産物や日本遺産に認定された西都原古墳群など、多くの資産があります。そうした西都市の魅力を発信できる職員の育成に、人事評価システムが一役買ってくれるのではと期待しています。