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実証実験レポート
先進事例2024.03.06
DXによるまちづくりの推進

地域DX支援の国策事業を活用し、「持続可能なまち」の土台を築く

[提供] 総務省
地域DX支援の国策事業を活用し、「持続可能なまち」の土台を築く
この記事の配信元
総務省

※下記は自治体通信 Vol.56(2024年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

人口減少や少子高齢化が進むなか、「住民から選ばれるまち」であり続けるために、DX推進を通じた魅力あるまちづくりを重要施策の1つに掲げる自治体は多い。そうした自治体の後押しを目的に、総務省が実施しているのが「地域デジタル基盤活用推進事業」だ。ここでは、同事業を活用し、持続可能なまちづくりを目指す岩見沢市(北海道)と、それをサポートする東日本電信電話(NTT東日本)を取材。各担当者に取り組みの内容を聞いた。

[岩見沢市] ■人口:7万5,413人(令和6年1月31日現在) ■世帯数:4万696世帯(令和6年1月31日現在) ■予算規模:890億5,300万円(令和5年度当初) ■面積:481.02km² ■概要:北海道の中西部に位置する。空知各地から小樽や室蘭へ石炭を輸送する中継地として発展し、空知の「炭鉱」、室蘭の「鉄鋼」、小樽の「港湾」、それらをつなぐ「鉄道」を舞台に繰り広げられた歴史「炭鉄港」は、令和元年に日本遺産に認定された。現在は稲作を中心とした農業が基幹産業。
インタビュー
黄瀬 信之
岩見沢市
情報政策部長
黄瀬 信之きせ のぶゆき
昭和42年、北海道札幌市生まれ。北海学園大学経済学部卒業。平成2年、岩見沢市役所に入庁。企画セクションにて情報施策を担当し、令和3年より現職。
インタビュー
澤出 剛治
東日本電信電話株式会社
ソーシャルイノベーション部 まちづくり推進部長
澤出 剛治さわで こおじ
昭和46年、北海道札幌市生まれ。筑波大学社会学類卒業。平成6年、日本電信電話株式会社に入社。令和4年、地方創生推進部長、令和5年、組織改編し現職。

自動走行トラクターの課題は、「遠隔監視制御」への対応

―「地域デジタル基盤活用推進事業」を活用し、どのような取り組みを行っていますか。

黄瀬 「自動走行トラクターの遠隔監視制御」に関する検証を行っています。自動走行トラクターは、農業生産者の高齢化や人手不足を解決する新たな技術として期待できます。しかし、走行時の危険判断や非常時の操作停止のために、生産者がトラクターを常時監視する必要があるなど、さらなる活用に向けた課題も残っています。当市では、基幹産業の農業分野におけるスマート化の取り組みを数年前から進めてきました。そこでは、近傍地での監視が不要な「遠隔監視制御」を可能とする自動走行トラクターの運用を中核的な研究テーマとし、NTT東日本を中心とする複数の事業者と共同で進めてきた経緯があります。

澤出 私たちは「地域デジタル基盤活用推進事業」を、こうした「ミライを支える技術」の社会実装に向け、予算上の支援を行ってくれる事業と位置づけました。そこで今回、実装コストを低減しながら遠隔監視制御を可能とする通信インフラの検証などを行うため同事業に応募し、令和5年8月から11月まで実際の農地で実証実験を行いました。

―どのような内容ですか。

澤出 特に今回は、モバイルキャリアの通信が届かない田園エリアの農地、もしくは高速通信が困難な「不感地帯」における遠隔監視制御の検証を行いました。具体的には、不感地帯の農地を自動走行するトラクターにカメラを取りつけ、収集した作業映像について、遠く離れた市の施設へ送信を試みたのです。その通信インフラとして活用したのが、コストパフォーマンスが比較的高く、不感地帯解消の切り札として近年注目されている「可搬型自営等BWA基地局」でした。今回の検証で、映像をリアルタイムに近い形で送信できることが確認できました。

黄瀬 この成果は、遠隔監視制御機能の実用化への大きな一歩と考えています。当市では、NTT東日本などの事業者と地域DXの取り組みを進めてきたなか、その「実証」段階として同事業に応募しました。一方、地域DXの推進計画をこれから本格的に考える自治体は多いと思います。その際、同事業の枠組みでは「計画策定」も支援対象としてくれるので、多くの自治体が利用しやすい事業だと感じました。さらに、実証の先にある実運用に向けた「整備補助」もしてくれると聞きます。各自治体のDX推進の状況に応じた包括的な支援が受けられるはずです。

検証した通信インフラを、地域DXの土台にする

―地域DXに向けた今後の方針を聞かせてください。

黄瀬 今回、遠隔監視制御を検証できた新たな通信インフラは、農業分野の課題解決だけでなく、たとえば遠隔医療や公共交通の自動運転にも活用できると想定しています。まさに、デジタル技術の恩恵を地域全体にもたらす地域DXの推進であり、「地域デジタル基盤活用推進事業」の活用により、「持続可能なまちづくり」に向けた土台構築に着手できたと考えています。

澤出 私たちNTT東日本グループは、「地域のミライを支えるソーシャルイノベーション企業」を目指しています。今回のような地域のミライ、産業・暮らしを支える地域の特性に応じた地域デジタル基盤を、多くの自治体と共創することを通じて、日本各地のDX推進を支え続けていきたいと考えています。

総務省の声
「切れ目のないメニュー」を用意し、自治体に応じたDX推進を支援
インタビュー
荒木 博和
総務省
情報流通行政局 地域通信振興課 デジタル経済推進室 課長補佐
荒木 博和あらき ひろかず

「地域デジタル基盤活用推進事業」では、各自治体における地域DXの取り組み状況に応じて、「計画策定支援」「実証事業」「補助事業」の3つのメニューで支援を行っています。「地域DXに向けて何から手をつければいいのかわからない」という自治体の悩みから、「課題解決の方向性は決まっているものの、その実装のためのノウハウや資金が不足している」という悩みまで、広く解決できる「切れ目のない支援」を用意していることが特徴だと考えています。応募に向けた相談も受けつけているので、「地域DXを進めたい」と考えている自治体のみなさんは、ぜひお問い合わせください。


総務省
お問い合わせ先
03-5253-5757(直通)
digital-kiban@ml.soumu.go.jp

情報流通行政局 地域通信振興課 デジタル経済推進室
地域デジタル基盤活用推進事業担当

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