※下記は自治体通信 Vol.62(2024年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
DX推進でペーパーレス化が進む一方で、自治体では根強く残る印刷業務がある。各種税金の納付書といった基幹系システムからの帳票出力は、その1つである。近年、印刷用紙や印刷外注費の上昇が指摘されているなか、足寄町(北海道)では「高速プリンター」を運用し、出力業務を「完全内製化」することで、大幅なコスト削減を実現。合わせて、庁内全体の印刷業務の合理化にも成功したという。同町担当者の平野氏に、取り組みの詳細を聞いた。
[足寄町] ■人口:5,970人(令和6年10月31日現在) ■世帯数:3,203世帯(令和6年10月31日現在) ■予算規模:158億7,959万円(令和6年度当初) ■面積:1,408.04km² ■概要:豊かな森林資源と地理的条件を活用した農林業を基盤としている。また、 阿寒摩周国立公園と大雪山国立公園に彩られる優れた自然景観の中にあり、特に湖「オンネトー」は四季折々の色を彩りよく湖面に映し出し、周囲を取り巻く森林は、道内有数の天然林として豊富な木材資源を蓄えている。
生産性の低さやコスト高から、帳票出力の内製化を模索
―足寄町が帳票出力の完全内製化を図った経緯を教えてください。
かつて当町では、基幹系システムからの帳票出力に旧式のラインプリンターを活用していました。そのため、住民税や固定資産税の納付書は、1万枚程度の出力に3日を要するなど生産性の低さが大きな課題でした。選挙の入場券など一部の印刷物は外注していましたが、納品に時間を要するため早くから発注しなければならず、急な内容修正が生じた場合は再印刷が必要など、コストや納期も課題でした。そこで、帳票出力の内製化を検討し情報収集をしていたなか、ある展示会で知ったのが理想科学工業の高速インクジェットプリンター『オルフィス』でした。デモ内容を評価し、導入を決めました。
―評価のポイントはなんでしたか。
最大のポイントは、オフィス用カラープリンターとして世界最速を謳った印刷速度です。また、用紙は、ラインプリンターで使用していた連続紙から、白紙カット紙へと切り替えることができるので、用紙調達費を抑え、幅広い印刷用途で利用できると期待しました。プリンター本体に「マルチフィニッシャー」を接続すれば、印刷後の折りやパンチ、ステープルといった加工もできるので、基幹系帳票出力のみならず、全庁の印刷ニーズで活用できると考えました。
―導入効果はいかがでしたか。
かつて3日を要していた納付書は数時間で出力できるようになり、業務効率は格段に高まりました。この生産性の高さを活かすため印刷物の内製化を進めています。外注していた選挙の入場券も短期間で完成し、名簿リストも前日に2~3時間で印刷を完了できるようになりました。当町では、導入後から令和6年7月までに累計約300万枚を印刷しましたが、印刷コストを一般的なカラーレーザープリンターと比較したところ、5年間で約1,050万円が削減されたとの試算が出ています。
当町では令和4年度から、納付手続きのキャッシュレス化を推進するために、複数の納付書をカク公*様式で統一しています。郵便局では厳格な審査がありますが、理想科学工業の高い印刷技術で、定型フォームの位置精度やバーコードの読み取り精度といった厳しい基準をクリアできました。
*カク公 : 全国の郵便局、郵便局ATMで使える郵便振替の納付書様式
「書かないワンストップ窓口」でも高速プリンターが活きる
―今後の方針を聞かせてください。
『オルフィス』は、モノクロもカラーも安価に印刷できるため、議会資料や広報資料もカラー化し、視認性を高めた情報発信に活用することも検討していきます。さらに当町では、令和7年度から「書かないワンストップ窓口」の導入を計画しています。紙とデジタルの融合により、住民・職員誰もが利便性を感じられる仕組みを検討しており、そこでも理想科学工業のプリンターの経済性や印刷品質の高さが活きるものと期待しています。
DX後にも残り続ける印刷需要には、「庁内プリンターの最適化」で対応を
理想科学工業株式会社
営業本部 販売統括部 特販課長
和田 隆宏わだ たかひろ
昭和59年、東京都生まれ。平成18年、理想科学工業株式会社に入社。浅草支店、金沢支店、本社営業統括部(販売促進部門)、北海道営業部勤務を経て令和5年から現職。自治体・医療・物流業を担当。
―帳票出力をめぐる現在の自治体の課題はなんでしょう。
多くの自治体で使用する連続紙プリンターが生産中止や保守期限終了を迎え、機器更新が難しくなっていることです。使用する連続紙の調達費用上昇や、外注費用増大なども加わり、連続紙からカット紙へと切り替え、印刷業務全体の内製化を図りたいと考える自治体が増えています。自治体では現在、基幹系業務システムの標準化を進めていますが、これを機にカット紙対応へとシステムを改修し、プリンターを更新する動きも見られます。そこで当社が提案しているのが、高速インクジェットプリンター『オルフィス』です。
―特徴を教えてください。
『オルフィス』は世界最速の印刷速度*や印字コストの低さ*が大きな特徴です。カラー印刷も単価を抑えられ、従来のプレプリント紙から白紙カット紙への切り替えもでき、印刷費用全体の削減にも寄与します。独自の油性顔料インクと精密な搬送機構で速乾性に優れ、印刷後のカールや減色を防ぐなど高い印刷精度を誇り、近年はコンビニ収納用バーコードの印刷実績も多数あります。
『オルフィス』は、基幹系のみならず情報系も含めたあらゆる印刷用途に対応できるマルチプリンターであり、少ない台数で高速に処理できます。DX後にも残り続ける印刷需要を少ない台数で高速に処理し、「庁内プリンターの最適化」に貢献します。封入封かんまで行えるオプションも用意し、幅広く業務効率の向上を支援します。ぜひお問い合わせください。
*世界最速の印刷速度:165枚/分(データ・サプライ調べ、令和6年3月現在。印刷条件については理想科学工業ホームページを参照)
*印字コストの低さ: A4普通紙片面フルカラー1.51円/枚、モノクロ0.53円/枚(理想科学工業独自の測定方法によって算出)