紅葉の名所として親しまれ、紅葉のおすすめスポットの人気ランキング上位に選出される長野県箕輪町の「もみじ湖」。観光客から人気を集める一方で、交通渋滞や駐車場不足といったオーバーツーリズムが深刻化し、地域住民の生活にも大きな影響を与えていました。そこで、オーバーツーリズム対策として混雑期における「駐車場予約システム」を導入した長野県箕輪町の取り組みをご紹介します。
背景
長野県箕輪町では、旅行情報サイトが発表する人気の紅葉ランキングで3年連続で1位を獲得し観光客から人気を集める一方で、紅葉期に観光客が殺到することで約3㎞の渋滞が発生。道路も狭いため、観光客の違法駐車などで緊急車両が通れないという事案も発生するなど、住民生活にも大きな影響を及ぼしていました。そんな深刻化するオーバーツーリズムの対策を進める中で、混雑期における「駐車場予約システム」の導入を決めました。
課題
- もみじ湖(箕輪ダム)周辺の交通渋滞解消
- 観光需要の分散化・平準化
- 混雑状況の見える化
実施内容
事業目的
デジタル技術の活用により、来訪者情報をデータ化し、分析、把握することで、紅葉最盛期のもみじ湖周辺の交通渋滞緩和につなげる。
実施までのスケジュール
事業内容
01 デジタル技術を活用した繁忙期に来訪されるお客様のナンバープレート調査
02 デジタル技術を活用した駐車場予約システムを実施・導入
チケットHUB®※1のセラーの一つWebket※2を活用し、駐車場+シャトルバスのWEB予約を導入
チケット販売開始までの流れ
1 チケットHUB®に商品登録
2 商品紹介作成
3 公式HPにリンクを設置
※1 チケットHUB® : チケット施設(テーマパーク、水族館、スキー場、博物館、美術館、展望施設、遊園地、プール、庭園、ロープウェイ、プラネタリウム、動物園など)とチケット販売業者を結ぶプラットフォーム。
詳細はこちら
※2 Webket : オンラインチケットストアの仕組みが短期間で簡単に構築できる集客施設様向けのオンラインサービス。詳細はこちら
03 貸切バス予約制導入の情報発信
- 貸切バスの予約を実施
- バス協会、日本旅行業協会、全国旅行業協会への情報発信
- メディア向けモニターツアーの実施
04 オーバーツーリズム対策
吉野の桜や河内藤園の渋滞対策で実績のあった流通科学大学特任教授の岸野啓一氏による、
現地調査と分析、交通問題解消に向けてトータルサポートを実施
- 駐車場の予約制導入によるキャパシティコントロールが必須
- 来場者の減少を最低限にするためには、市街地から景勝地への直接の輸送も検討すべき
導入効果
VACAN社Webカメラによるナンバープレート調査
Webカメラの解析により、来訪者の居住地(ナンバープレートの登録地)と滞在時間が判明しました。そのことにより従来町の想定より滞在時間が長くなったこと、休日については長野県以外からの来訪が増えたことが判明しました。このデータをもとに今年度の駐車場予約枠の設定がより精緻なものにできたほか、次年度以降はより精度の高いプロモーションの実施が期待できます。また、来場者からも規制の関係でゆっくりと紅葉を楽しむことができたとの声をいただきました。
チケットHUB®による予約制導入のメリット
渋滞解消
チケットHubによる予約制導入により、事前の予約台数が増え、当日無予約で来訪されるお客様が減ったため、渋滞対策として大きな効果がありました。
導入ハードルが低い
導入コストもかからず、短時間での導入が可能なので、手軽に導入することができました。
販売状況が即時確認可能
販売状況がオンタイムでわかるため、追加の枠設定や、在庫の削減を行うことで、規制期間中に1つの時間帯にお客様が集中しないように工夫をすることができました。
データの見える化
購入時に必要項目を設定し、居住地や性別などのデータを取得・分析することで、いつ、どんなお客様がどこから、何人来訪されるのかが確認できるため、人員体制などの事前対策が可能になりました。
町ではこれまで正確な来場データをとれていなかったので、来場者の属性を分析することで観光プロモーション等に非常に役立つとの感想をいただきました。
おすすめポイント
国内外の観光需要が急速に回復し、多くの観光地が賑わいを取り戻す一方で、観光客が集中する時期や時間帯によって、住民生活への影響が深刻化する地域も多いのではないでしょうか。本記事では、長野県箕輪町の事例をご紹介しましたが、同じようにオーバーツーリズム対策でお悩みの自治体のみなさまの参考になれば幸いです。
担当者コメント
杉浦 裕紀
今回の事業では、住民、観光客、自治体、それぞれの課題を解決することができました。その要因としては、JTBのソリューションありきではなく、お客様の課題をしっかりと捉え、そのために必要な解決策を事業パートナーである流通科学大学の岸野教授と一緒に考え取り組めたからです。現在は2年目を迎え、町の予算で運営していますが、少しでもコストを削減できるよう補助金の活用の他、デジタル活用による省力化、さらなる収益にもチャレンジしているところです。インバウンドの復活によるオーバーツーリズムが騒がれる中、総量規制による観光地の予約制導入は非常に有効です。一方で予約制導入にあたっては事前のファクトデータの収集や地域住民の理解も必要です。システム導入だけでなく、計画策定・運用までJTBはトータルサポートいたします。
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