大阪府堺市は、庁内業務のICT活用を早くから推進してきた先駆的な取り組みを行っています。しかし、DXの推進にあたり、既存の業務改善に留まらずデジタル活用を前提としたマインドセットの改革が課題として浮上しました。民間企業のDX先進事例を当事者からセミナー形式で学ぶ取り組みは、その実現において重要な役割を果たしています。
先進的なDX企業の担当者を講師に招いたセミナーを実施
堺市では、DX推進に向けてマインドセットの改革が課題となっていました。そのため、ICTイノベーション推進室は民間企業の先進事例から学ぶセミナーを開催し、DX担当者自身にマインドの改革をもたらすことを目指しました。ただし、行政DXの全体像を理解するためには、DXの概念の共通認識も必要になります。そこで今回は、大塚商会の協力を得てDXの捉え方と、民間企業の事例紹介を両立したセミナーを実施することにしました。
立場を越え、民間企業のDX担当者の言葉に共感
セミナーは2023年3月に開催。ICTイノベーション推進室の職員が参加し、サポートする側のマインドセット改革を重視しました。講師にはANAシステムズの社員2名を招き、ANAのDX推進事例を紹介しました。
また大塚商会からは、世界における日本の現状と最新のデータを基にした未来予測から、迅速な変革の必要性を説明し、大塚商会が携わった行政DX事例として、新型コロナワクチン接種の情報登録業務のリデザインについても紹介しました。これらを通じて、DXを推進する上で、当たり前を否定することから始める重要性を説明しました。
ANAシステムズ株式会社からは、下村 亮氏と菊池 範幸氏が登壇し、先進的なDX事例を紹介しました。国内線の自動チェックイン機を廃止するに至ったDXの考え方や過程、そしてANAグループが最優先にする安心・安全を重視した働き方について解説。「アタリマエを否定」して「なぜ?」「どうして?」「必要?」というキーワードが強調されました。単にデジタルツールに頼るのではなく、業務そのものを根本から見直し、利用者と職員にとって価値のある仕組みを徹底的に考えてリデザインすることの重要性が、講師陣によって強く訴えられました。
全庁的なDX推進でもセミナー活用を検討
マインドセット改革を目指した今回のセミナーは、行政DXの認識を深め、全員が同じ方向を向く重要性や意見を出し合う組織文化の役割を強く印象付けました。参加者からは、これまで手探りで取り組んできた行政DXの認識を深めることができ、DXへの苦手意識が薄れ、業務の改善に積極的に取り組む意欲が高まったという感想をいただきました。
堺市役所では今後、DX PROという役割を設けてDX人材を育成し、部門横断型のプロジェクトチームを組織して推進する計画で、次回はDX PROと部長級を対象にセミナーを開催する予定です。自治体業務の効率化を目指す行政DXでは、ICT導入による新たな業務負荷の発生も課題となりますが、セミナーを通じてDXを推進する意義や効果を整理することが重要とされています。大塚商会のセミナーは、堺市のDX推進にさらなる助力を期待されています。
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