広島県農林水産局は局内のDXを推進するため、『kintone』を導入。大塚商会による伴走支援の下で内製化を進め、150以上ものアプリを開発しました。農業生産者情報の一元管理による行政サービスの品質向上、ため池ポータルの構築による情報共有の円滑化など、庁内外での活用と業務効率化が進んでいます。
農作物を効率よく収穫してもらうため“スマート農業”を支援
広島県の農林水産業の振興は県の重要な政策の一つです。平地が比較的少なく、中山間地が多い広島県では、狭い農地でいかに効率よく農作物を栽培・収穫するかが大きな課題となっており、県として“スマート農業”の振興支援に力を入れています。ハウス栽培における温度、湿度などのデータをAIに分析させたり、ブドウの粒の数を瞬時に数える「スマートグラス」を利用したりするなど、最新のデジタル機器を県内の農業生産者に紹介して作業効率の改善を図っています。高齢化が進む中で、未経験者でも農業ができるような環境を整えて就農者を増やすことも、県としての取り組むべき大きなテーマと同局は考えています。
『kintone』の活用をきっかけにDX推進プロジェクトが始動
2020年、農林水産局は業務アプリ構築クラウドサービス『kintone』を一部の業務で導入。専門知識のない人でも業務アプリが開発できる『kintone』は評判がよく、局全体に普及させようという機運が高まっていました。そこで、農業技術課は上層部に働き掛け、正式に『kintone』導入の了承を得ました。そして2021年、農業技術課を“推進役”とする農林水産局のDX推進プロジェクトが始動。
農業技術課は大塚商会に相談し、職員のDXに関するマインドセット(意識醸成)とスキルセット(技能)研修を行いました。その際、DXとは何か、その重要性と手法を理解してもらい、能動的にDXを推し進めようとする意識と技術を身に付けさせることから始めました。成果は目に見えて表れ、2021年のプロジェクト始動から2年余りで、『kintone』の技能を身に付けた職員は約200名になり、局内の4人に1人が自分でアプリを作れるようになりました。
先進的な運用事例から学び管理ルールを作り上げる
職員たちが積極的に開発を行った結果、2年余りで500以上ものアプリができ上がりました。ただし、アプリの本数が多くなり過ぎると管理が煩雑になり、ガバナンスが効かなくなる恐れがあります。そこで『kintone』の利用上のルールや、アプリ管理、アカウント管理などの各種規定等を作成し、運用を厳格化していくことを決定しました。管理ルールの作成には、先進的な運用を行っている他の自治体や一般企業などを視察させてもらい、それらの運用を参考にしながら規定をまとめ上げました。
専門知識がなくてもわずか数カ月でアプリを開発
具体的に、『kintone』を使ってどのようなアプリが開発されたのか、二つの例を紹介します。一つは、「生産者情報運営システム」です。複数の課がそれぞれに管理していた農業生産者の基礎情報や就農状況、技術・経営指導の履歴といった情報を連携させ、一元的に管理できるようにしました。
もう一つは、「ため池ポータルサイト」です。広島県には防災重点農業用ため池が日本最多の6,859箇所もありますが、情報がバラバラに管理されていたため、災害時などにため池情報を活用する際の検索に時間を要していました。そこで、『kintone』を使って「ため池ポータルサイト」を作成。ため池ごとに番号を付与し、それに紐づけてさまざまな情報が一元的に閲覧できる仕組みを作り上げました。
同局では今後、DX推進の経験とノウハウや、広島県を含め各都道府県で作成した『kintone』アプリを共有する仲間づくりを提案していきたいと考えています。
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