京都府京都市は、行政DXの一環として業務アプリ構築クラウドサービス『kintone』を導入し、人事部主導の研修やワークショップを通じて庁内での普及を図っています。特に積極的に活用している建設局では、土木工事関連や業務委託書類の作成時間が半減しました。この成功体験を受け、他の部局でも活用が広がっています。
庁内の業務改善のためICTを積極的に活用
京都市は行政サービスの高度化や庁内の業務改善のため早くからICTの活用に取り組み、その一つとして2021年度に業務アプリ構築クラウドサービス『kintone』を導入しました。
サイボウズが提供する『kintone』は、プログラミングの知識がなくても業務を効率化するためのアプリケーション(以下、アプリ)を簡単に開発できるサービスで、京都市が導入の目的とした各種申請用のWebフォームや情報の可視化・共有、ワークフローなど、さまざまなアプリを作ることができるものでした。
京都市は、自治体や企業への導入支援で実績があることを踏まえ、公募により選定した大塚商会から『kintone』を導入。実際に使ってみると実に多様なアプリを開発できることが分かり、部局や職員の要望に応じて活用が広がっていきました。
人事部が“伝道師”となって 『kintone』の活用を促進
職員の働き方改革に関連するアプリの開発など、実際に使ってみて利便性を確かめた人事部は、京都市役所全体に『kintone』を普及させる“伝道師”的な役割を担っていきました。大塚商会と共同で『kintone』の基礎研修(初級編)と実務研修を実施した際には、全部局の職員を対象に募集をかけたところ、募集枠40名に対して100名以上の応募があり、職員の関心の高さも見られました。その後、2024年1月には、各部局からアプリ作成経験のある「kintone中級者」を募り、「現状の業務フローをホワイトボードに書き、理想のフローにするためのアプリを実際に作ってみる」などの、非常に実践的な内容のワークショップも開催しました。
土木工事関係書類作成用アプリを 『kintone』で開発
建設局 建設企画部 監理検査課(以下、監理検査課)は、2023年3月に大塚商会の支援を受けながら、土木工事関係書類を作成するためのアプリを『kintone』で開発しました。従来はこれらの書類をWordやExcelで作っていましたが、同じ内容を別の書類にも何度も入力する必要があり、非常に手間が多く作業効率が悪いと感じていました。また、入力ミスや書類の内容に整合性が取れていないと、全ての書類の該当項目を一つずつ修正しなければならない点が課題でした。この課題を解決すべく、大塚商会にアプリの開発を依頼。わずか2カ月で、12種類の書類が作成できる土木工事関係書類作成アプリができ上がりました。同課は2024年2月に『kintone』で22種類の書類が作成できる、業務委託関係書類作成のためのアプリも開発。どの書類にも共通する工事名や発注者、受注者などの入力項目を、一つの書類に入力すれば全ての書類に反映されるようになり、多重入力の手間がなくなりました。
アプリの利便性を実感したことで業務改善への職員の意識が高まる
二つのアプリの導入によって監理検査課の書類作成の作業時間は飛躍的に短縮され、一つの書類を作成するのに6時間ほどかかっていたところ、3時間程度で処理できるようになりました。また、職員は他の業務により多くの時間を充てられるようになり、併せてアプリの利便性を実感したことで、職員のデジタルや業務改善に関する意識が高まるという効果も得ました。2024年3月に京都市は、大塚商会と共同で庁内事例の「報告会」を実施しました。どのように業務フローを整理し、開発を進めていったのか、『kintone』がどのような業務に向いているのかなど、開発に携わったことのない職員にも分かるように共有を行い、各部局から集まった職員は、興味深くこの『kintone』の活用報告に耳を傾けたと言います。京都府京都市はこれからもDXのメリットを庁内でアピールすることで、改善の輪を広げたいと考えています。
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