※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
新型コロナウイルス感染症の影響で、民間企業だけでなく、自治体職員の働き方も今後は大きく変わっていくと考えられる。総務省が推進する、テレワークの導入も大きな選択肢のひとつだ。そんななか、自治体や民間企業にICTソリューションを提供しているワコムの和田氏は、「自治体がテレワークを導入するにはふたつの課題がある」と警鐘を鳴らす。同氏に、その課題と対策法を聞いた。
株式会社ワコム
ビジネスソリューション Japan BSセールス パブリック アカウントマネージャー
和田 雅樹わだ まさき
昭和50年、東京都生まれ。平成11年に大学卒業後、食品の専門商社に入社。民間の量販店・飲食店の営業を担当する。その後、IT関連企業にて公共部門への営業経験を経て、令和元年に株式会社ワコム入社。現在公共市場の営業を担当し、おもに自治体市場開拓・導入支援を行っている。
普段と違う意思疎通の方法に、もどかしさを感じる場合も
―自治体職員がテレワークを導入するうえでの課題はなんですか。
おもに、ふたつあると考えています。ひとつは、自治体の情報セキュリティポリシーをいかに守るかという点。職員の方は、個人情報を含む重要な情報を業務で取り扱うことが少なくありません。それを自宅に持ち帰って業務をしていいのかという議論があり、その点をクリアする必要があります。
もうひとつは、資料を活用する際、いかに意思疎通を図るかという点。Web会議システムを使って、資料を共有することはできます。ただ、資料の細かい修正指示や資料の強調したい箇所の共有など、普段は面と向かって意思疎通を図るようなシーンを遠隔で実現するのはなかなか難しい。そのため、いざテレワークになった際に、もどかしさを感じる職員の方は多いのではないでしょうか。
―そうした課題を解決するにはどうすればいいでしょう。
ひとつ目に関しては、国が令和2年の夏に「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改定します。これにより、テレワークにて行うことができる業務の明確化が進むと考えられます。
ふたつ目のコミュニケーションにおける課題に対しては、対面で業務を行う場合には当たり前に行われている資料への書き込みなどの動的なコミュニケーションを、遠隔でも行えるシステムを導入すればいいのです。たとえば当社では、液晶ペンタブレットを活用した手書きのコミュニケーションを提案しています。
―詳しく教えてください。
液晶ペンタブレットを活用して、モニター上に映し出された資料に直接書き込める仕組みです。そのため、遠隔でも画面を共有することで、パワーポイントやオフィスソフトなどの資料に修正すべき点を直接指示できたり、伝えたい内容を強調したりできるのです。
当社の液晶ペンタブレットは、PCにつなげるだけなので簡単に設置できます。また、液晶ペンタブレット自体にOSやメモリなどがないため情報が内部に残らず、セキュリティ面でも安心です。
さまざまなシーンでの、活用が考えられる
―どのような活用シーンが考えられるでしょう。
たとえば、自治体刊行物の校正作業が考えられますね。また、Web会議システムを通じた民間業者との打ち合わせや住民への説明会。そのほか、新人研修や役職別研修といった各種研修にも活用できるでしょう。また、手書きのキャンバスを画面上で共有できる「ホワイトボード」といった機能もあります。同じ画面に参加者が同時に文字や図を書き込めるので、Web会議システムを通じたブレストを行うことも可能です。
ここ最近の活用事例としては、渋谷区(東京都)など複数の自治体窓口の電子化デバイスとして液晶ペンタブレットの導入が進んでおり、学校でのオンライン授業にもご活用いただいています。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
当社では、パートナー企業と一緒に、全国規模で各自治体ニーズに応じたソリューションやデバイスを提案できる体制を構築しています。そのため、できるだけ多くの自治体を支援していきたいと考えています。また、液晶ペンタブレットに関する疑問や、「実際に触ってみたい」といった要望にも対応が可能です。興味のある方は、気軽に問い合わせてほしいですね。