改めて問われている、電子投票のあり方
―電子投票の見直しが行われた背景を教えてください。
そもそも、選挙の開票が迅速かつ正確に行われることを期待して平成14年に導入され、計10団体、25回にわたって実施された電子投票ですが、うまくいった団体やそうでない団体が正直ありました。うまくいかなかった要因としては、当時は専用の投票機が必要で1台あたり約18万円と高コストだった点。さらに、技術的な信頼性への懸念や機器メーカーが採算性の面から撤退したことも重なり、平成28年以降は実質的に電子投票ができない状況にあったのです。
ただ、近年は開発技術が向上しており、業務効率化といった観点からも改めて電子投票が見直され、システム要件が改定されたのです。ちなみにインターネット投票は、セキュリティや本人確認の難しさといった観点から、まだ法律では認められていません。ですから、紙と同じく有権者が定められた投票所に出向き、設置された機器で投票する電子投票が見直されているのだと言えます。
―実際にどのような改定が実施されたのですか。
大きくは、専門機ではなく、条件つきでタブレット端末などを使った汎用機の使用が認められました。条件とは、日本国内で一般流通している機器であること。国内メーカーの保証があること。そして、選挙に関係のない機能はすべて利用できない設定にすることです。特に最後の条件は、LTE回線やWi-Fi機器などの接続機能も利用が許されません。その点、当社が扱っている液晶ペンタブレットはいわゆる「モニター」にあたるため、外部接続する機能がなく、パソコンからの有線で対応可能。そこで当社は、自社サービスを使った電子投票システムを実現させる取り組みを行っているのです
―液晶ペンタブレットを活用するメリットはなんでしょう。
開票作業の効率化だけにとどまらず、初めにタッチペンで自ら記入し、その後、該当する候補者を選択するという独自の仕組みが電子投票に大きく活かされます。まず、事前に候補者を登録しているため、それ以外の候補者はそもそも選択できません。そのため、無効票がなくなりますし、紙での記入で判別しにくい文字の確認や按分(※)作業をする手間がかかりません。
また、記入して候補者を絞るため、候補者が多数いる場合に発生する画面のページめくりやスクロールをする必要がありません。さらに、ページめくりやスクロールの際に起こりえる「最初のほうに出る候補者の名前が目立つ」といった不平等も発生しないのです。
※按分:ひとつの選挙区に同一の氏名、氏(姓)または名の公職の候補者が2人以上いる場合において、その氏名、氏または名のみを記載した投票を有効とし、それぞれの候補者の得票数の割合に応じて配分すること
業務効率化を図りつつ、有権者に負担はかけない
―今後の電子投票における支援方針を教えてください。
目下、ベンダー各社と協業し、要件に準拠した電子投票システムの構築を進めており、これによって電子投票の浸透に尽力できればと考えています。当社の液晶ペンタブレットは1台のPCから最大6台の接続が可能で、コスト削減につながります。また、独自技術により、紙に書くのとそん色ない書き味を実現しているため、有権者に余計な負担やストレスをかけることがなく、お年を召した方も簡単に使えます。さらに、そもそもタッチペンを使うので、素手で操作が必要なタッチパネルとは異なり、手袋を装着した状態でも利用でき、衛生面でも安心です。
デモ画面は準備できているので、興味のある方はぜひ問い合わせてほしいですね。