自治体の皆さまにとって年度末は本年度の事業の仕上げと次年度の事業の準備が重なる慌ただしい時期かと思います。今年は3回目のワクチン接種に向けた対応もあり、人手不足の常態化、残業時間増加の解消が悩みの種なのではないでしょうか?人手不足を補うためには、業務プロセスの一部を専門業者に委託するアウトソーシングが有効ですが、具体的に何から着手すればよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか?そこで本コラムでは自治体によるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の先進事例をご紹介。アウトソーシングに適した業務と効果について解説します。
自治体業務を民間委託するメリット
民間委託導入には、大きく分けて2つのメリットがあります。
1つ目は業務削減効果です。特に、近年の国の予算の流れで各自治体が対応しなければならない事業および業務量は大幅に増えており、これをノウハウのある民間事業者に委託することで、自治体職員の業務量を大幅に削減することが可能です。
2つ目は行政サービスの質の向上です。適切な民間事業者を選定することで創意工夫による業務改善を図ることができ、行政サービスの質を向上させることができます。また、民間委託により余裕の出た正規職員を他の重要な業務にシフトさせることが可能となります。自治体には、住民に安定したサービスを提供し、住民の暮らしを守るという役割があります。注力できる体制を構築することで業務の質の向上につなげることができます。
アウトソーシングに適した自治体業務とは?
自治体業務の民間委託を検討する際、その業務が委託に適しているかどうかを見極めることは非常に重要です。一般的に自治体の政策決定や判断が必要となる根幹業務は必ずしも民間委託には適さないと言えます。それに対して、定型的な事務局業務は、民間にも一定のノウハウや業務実績があるためアウトソースには適切だといえます。
アウトソーシングに適した業務
- 各種支援金・協力金・給付金等 事務局業務
- プレミアム商品券・電子地域振興券等 事務局業務
- ワクチン接種運営 事務局業務
- 各種コールセンター業務(電話応対)
- 行政サービスのデジタル化
- 多言語対応
以前は、住民の権利義務に深く関わる業務は民間委託はできないとされてきました。しかし、近年では守秘義務やみなし公務員規定などの必要措置を講じることで民間委託が可能とされた例もあり、委託可能な範囲は広がっています。
以下、先進事例をもとにアウトソーシングの取り組みとその効果を整理します。
経済対策事業の事務局業務
コロナ禍において、これまでも事業者向けの休業要請協力金や家賃支援金、住民向けの特別定額給付金など新型コロナウイルスの経済対策が次々と打ち出されました。ウィズコロナ、アフターコロナにおいてもこうした業務は高い頻度で発生することが予想されます。
これらの事務局業務は申請の受付業務やコールセンターの問い合わせ対応、振込作業など仕事が多岐にわたり、その量は膨大であることから、アウトソーシングにより大幅なコスト削減が見込めます。
例えば、JTBでは2019年度消費税増税に伴い実施された各自治体のプレミアム付き商品券事業をサポートし、その数は全国で113自治体に上りました。具体的にはHPの開設・管理、リーフレットやステッカーの作成などの広報活動から、プレミアム付き商品券のデザイン・印刷、コールセンターの設置・運営、プレミアム付き商品券の販売管理、利用可能店舗との精算、請求書の作成などの業務をサポートしました。
新型コロナウイルスワクチン接種業務
ワクチン接種などの医療サービス提供業務は住民の健康と安全を守るためには不可欠であるにもかかわらず、前もって明確な見通しが立たないために、計画的な人材配置が難しいものです。
ワクチン接種に関連する業務は会場設営、医療備品の手配・管理、会場での受付・誘導、会場消毒、予約受付・接種記録、医療従事者の手配など多岐にわたります。これらの業務を状況に合わせてフレキシブルに行うためには、一括して民間事業者にアウトソーシングするのがポイントです。
効率的なアウトソーシングのポイント
電話応対や書類作成、請求書発行などはすべて相互に連携しているため、それぞれを別の事業者に委託したり、自治体職員と分担したりすると、担当者間で申し送りや連絡が生じ、かえって業務が煩雑になるケースもあります。アウトソーシングの重要な目的である「コスト削減」を考えるなら、信頼できる事業者に業務を包括的な形で一任するのがおすすめです。
民間事業者選定のポイント
民間事業者選定のポイントは多岐にわたりますが、第一にその事業にかかる業務ノウハウ・専門知識に精通していることが重要です。また、類似業務の取扱い実績・経験が豊富か、さらにこれらの業務に対応する体制を有しているかどうかも確認したいポイントといえます。こうした点を考慮し、業務を実施するのに十分な能力・体制を有する事業者を選定することが重要です。
まとめ アウトソーシングを活用し効率的な業務の仕組みづくりを
今回は、自治体の業務の民間委託(アウトソーシング)についてお伝えしました。民間委託の導入には、業務削減効果と行政サービスの質の向上という2つのメリットがあることをご紹介しました。近年、自治体の業務量は大幅に増えており、これをノウハウのある民間事業者に委託することで、自治体職員の業務量を大幅に削減することが可能です。またノウハウのある民間事業者に委託することで創意工夫による業務改善が見込めます。また、民間委託により正規職員を他の重要な業務に注力させることも可能となります。
「住民の暮らし」・「地域経済」を守るためには行政サービスの安定性、継続性が重要です。自治体の業務プロセスやシステムをアウトソーシングを活用し、標準化・共通化すれば業務効率を高められ、行政サービスを安定した形で提供することが可能になります。この機会に、業務のアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。
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