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愛知県名古屋市の取り組み
先進事例2025.04.14
体育館空調の整備

【体育館空調・インフラ】「災害に強い」空調設備の導入で、避難所となる体育館の防災機能を強化
防災減災対応システムBOGETS(ボーゲッツ) / I・T・O

[提供] I・T・O株式会社
【体育館空調・インフラ】「災害に強い」空調設備の導入で、避難所となる体育館の防災機能を強化(防災減災対応システムBOGETS(ボーゲッツ) / I・T・O)
この記事の配信元
I・T・O株式会社
I・T・O株式会社

※下記は自治体通信 Vol.65(2025年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

政府は、現状20%に満たない学校体育館の空調設備の整備率について、「避難所機能の強化」などを目的に、令和17年度までに95%へと引き上げる目標を打ち立てている*。石破茂首相も、令和6年11月の第216回国会における所信表明演説で、「整備ペースを2倍に加速する」と述べた。そうしたなか、すでに取り組みを進めている自治体の1つである名古屋市(愛知県)では、整備するうえで「災害に強い」空調の仕組みを導入したという。それはどのような仕組みなのか。同市学校施設課の加藤氏に聞いた。

*「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」

[名古屋市] ■人口:233万1,413人(令和7年2月1日現在) ■世帯数:117万7,191世帯(令和7年2月1日現在) ■予算規模:3兆2,165億5,290万5,000円(令和7年度当初案) ■面積:326.46km² ■概要:愛知県西部に位置する。日本三大都市の1つで、歴史的な観光名所も多い。「金のシャチ」で有名な名古屋城は「日本100名城」に選定されている。きしめん、天むす、手羽先、ひつまぶし、みそかつ、みそ煮込みうどんなどが、ご当地グルメとして有名。
インタビュー
加藤 久
名古屋市
教育委員会事務局 総務部 学校施設課 課長
加藤 久かとう ひさし

避難所の環境改善の意味でも、体育館に空調設備は必要

―学校体育館に空調設備を導入した経緯を聞かせてください。

 当市では平成27年度までに、熱中症対策として市内全小中学校の普通教室に空調設備を設置しました。さらに近年は記録的猛暑が夏場に毎日続くなど、熱中症リスクが年々高まっていることから、令和2年度に学校体育館にも空調設備の導入を決めました。当市では災害時、学校体育館を避難所として活用するため、避難所の環境改善を図る意味でも空調は必要でした。まずは市内111校の中学校と6校の特別支援学校の体育館への導入を進め、令和5年度までに完了しました。次に260校ある小学校体育館への整備に着手しようとした際、「災害により強い」空調の仕組みを検討したのです。

―どういうきっかけからですか。

 そもそも、中学校や特別支援学校の体育館空調を整備する際も、災害に対する強靭性は重視していました。南海トラフ巨大地震のような災害発生時でも、空調の稼働を維持するためです。そう考えた場合、大規模災害時には停電の恐れが高いことから、都市ガスを燃料とするガスヒートポンプ(以下、GHP)方式で、かつ停電対応型の空調設備を採用しました。小学校体育館でも同様の整備方法を検討していたなか、足立区(東京都)では電気だけでなく、万一都市ガスが遮断されても稼働を維持できる空調設備を導入していると聞き、視察に行きました。

―どのような仕組みですか。

 通常時は都市ガスで稼働するGHP方式の空調について、災害時に都市ガスの供給が遮断された場合、バックアップ燃料のLPガスに切り替えられる仕組みです。具体的には、ガス変換器(『New PA』)を使い、LPガスを都市ガスと同じ燃焼特性を持つプロパンエアーガスに変換してGHPを稼働させるシステム(『BOGETS(ボーゲッツ)』)を取り入れた仕組みです。ライフラインが遮断されるような大規模災害時にも稼働できます。さらに、ガスの切り替えは制御盤内のタッチパネルで音声ガイドに従って行えばよく、専門知識がない市職員や教職員でも簡単に運用できると判断しました。そこで、避難所の指定状況やバランスを考慮して51校の小学校体育館の空調に、このシステムを導入することを決め、整備を進めています。

「災害時の強靭性」に、他自治体関係者も関心を示す

―整備の進捗はいかがでしょう。

 令和6年度は22校へ整備し、残りは令和10年度までに完了する予定です。このシステムは、当市が学校体育館空調の整備で重視した「災害時の強靭性」をさらに高める仕組みであり、避難所となる体育館の防災機能の強化につながると考えています。この仕組みを、政令指定都市の施設主管課長クラスが集まる会議で報告したところ、多くの参加者が関心を示していましたね。

支援企業の視点
バックアップ燃料を備える仕組みで、災害時の強靭性が高い空調の整備を
インタビュー
内海 二郎
I・T・O株式会社
代表取締役
内海 二郎うつみ にろう
昭和13年、山口県生まれ。関西学院大学卒業後、昭和37年に伊藤工機株式会社(現:I・T・O株式会社)へ入社し、昭和63年、代表取締役社長就任。平成24年に日本エルピーガス供給機器工業会(JLIA)会長、平成30年より顧問を務める。令和元年秋の叙勲にて「旭日小綬章」を受章。

―自治体で体育館空調を整備する動きは広がっていますか。

 昨年11月に石破茂首相が、学校体育館における空調施設の整備ペースを「2倍に加速する」と発言した影響などから、その動きは文字通り加速すると思います。私たちは、避難所として利用される体育館に空調を整備する際、「災害に対する強靭性」を第一に考えるべきだと捉えています。そこで、電気がストップしても稼働する停電対応型GHPを設置したうえで、都市ガスの供給さえ遮断されても、「エネルギー供給の最後の砦」と表現されるLPガスをバックアップ燃料として使える『BOGETS』を提案しています。

 強靭性の高いシステムが評価され、これまでに68自治体で採用されています。今回の名古屋市は政令指定都市で初導入となりました。すでにGHP方式の空調を整備している体育館への「後付け」も可能です。

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

 当社では、体育館空調の整備以外にも、「非常用生活用水浄化装置」「非常用ガス発電機」など、水や電気を生み出す設備や機器の導入サポートも行っています。実際、令和6年1月の能登半島地震における支援先では、学校のプールの水を「浄化装置」で処理して生活用水をつくりだし、避難生活者に洗濯で使ってもらったり、給湯器と組み合わせて仮設シャワーで使ってもらったりしました。長期間にわたる避難所運営を支える「ライフライン防災ソリューション」を提案できる当社に、ぜひお問い合わせください。

I・T・O株式会社
I・T・O株式会社
設立

昭和28年11月

資本金

9,000万円

売上高

159億円(令和6年10月期)

従業員数

299人(令和6年10月20日現在)

事業内容

ガス減圧弁(調整器)、ガバナ、バルブ類、ガスおよび水等圧力調整弁、電磁弁製造販売、バルク貯槽輸入販売、防災・減災事業、工事エンジニアリング事業

URL

https://www.itokoki.co.jp/

お問い合わせ先
072-981-3781(平日 8:30〜17:30)
pa-13a@itokoki.co.jp
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