―善通寺市における人事評価の取り組みを教えてください。
瀧岡:当市では、平成7年から勤務評定を実施し、「勤勉手当」として賞与に反映していました。市長の方針もあり、能力評価や成果主義を導入したのは早かったと思います。ただし、当時は紙による管理であったため、評価者である部課長の負担は大きかったですね。部署によってはひとりの管理者が20人以上の職員を評価しなければならず、用紙を配布して回収するまで2週間、その後のチェック作業だけでも丸2日かかっていました。
尾﨑:さらに、評価の公平性や評価結果のフィードバックのあり方について、職員間で問題意識がありました。評価制度は職員の能力開発も目的のひとつでしたが、それが実現しているのかと。
―そうした課題をどのように解決したのですか。
尾﨑:地方公務員法の改正で人事評価が義務化されたことを機に、「人事評価システム」の導入を決めました。表計算ソフトによる管理も検討しましたが、評価を職員の能力開発に活かすには、それでは不十分。蓄積した評価データを分析できる仕組みが必要との判断から、専用ソフトの導入が必要との判断に至りました。
―システム選定はどのように進めたのでしょう。
瀧岡:当市が加盟する広域行政事務組合の2市2町で共同調達する方針であったため、システム要件などを共同で検討。操作性や人事給与システムとの連携、評価結果の分析機能などを比較検討し、システム開発会社が提供する人事評価システムの導入を決めました。
尾﨑:共同調達ではありましたが、評価項目や評価のウエイトなどは各自治体独自の設定が必要でした。この人事評価システムはそうした個別設定にも柔軟に対応できることも、導入の決め手になりました。
「お役所仕事」では自治体間競争を勝ち抜けない
―導入効果を聞かせてください。
尾﨑:管理職の手間が減り、評価結果の管理は圧倒的にラクになりましたね。また、評価者の評価傾向を分析することで評価の公平性を担保できるようになりました。管理者の評価と自己評価にギャップがあった際にも、客観性のある評価内容を示せるので、職員の納得感は高まっています。
瀧岡:システムの導入によって、職員が上司とともに目標を設定し、達成度を評価する「目標管理」が新たに実施できるようになった効果も大きいですね。目標が明確になったことで職員の達成意欲が刺激され、能力開発にも役立っていると実感しています。
―今後、どのようなまちづくりをめざしますか。
瀧岡:人口減少で地方消滅が指摘されている時代、旧態依然とした「お役所仕事」をするだけでは、自治体間競争を勝ち抜けません。このシステムを活用することで、ヤル気に満ち、豊かなアイデアをもった人材を育てていきたいです。
尾﨑:豊富な水資源に恵まれる当市は、住みよい土地柄を前面に、子育てと教育に力を入れています。そんな市の魅力を発信し、特色ある施策づくりを担ってくれる職員の育成に導入した人事評価システムが役立ってくれることを期待しています。