※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
前ページまでに紹介した四條畷市や多摩市の事例では、『LoGoチャット』が庁内の業務改善に大きく貢献した姿を見てきた。だが、その導入効果は庁内にとどまらない。LGWAN環境でも使える特徴を活かし、複数の自治体にまたがる活用事例も出てきているのだ。ここでは、そうした事例のひとつである塩尻市(長野県)の担当者に、活用状況などを聞いた。
塩尻市データ
人口:6万6,386人(令和2年7月1日現在)世帯数:2万7,859世帯(令和2年7月1日現在)予算規模:497億5,570万4,000円(令和2年度当初)面積:289.98km²概要:長野県のほぼ真ん中に位置し、古くから交通の要衝。奈良井宿をはじめ、江戸時代に栄えた中山道の宿場町がいまも当時の面影を色濃く残している。名産のワインと漆器は、国内外で高く評価されている。
3市で235人が参加する、情報連携プラットフォームに
―チャットツールを導入したきっかけはなんだったのですか。
小澤 当市では、副市長が先頭になりチャットツールの導入を検討してきました。庁内には、さまざまなプロジェクトがあるなかで、「より多くの職員の意見を反映したい」との考えから、参加者を制限することなく、議論を展開できる仕組みを求めていたのです。
吉田 庁内で広く活用してもらうためには、使いやすさが求められるうえ、LGWAN環境でも使えることが条件になります。条件にあうツールを探していたところ、LGWAN環境でも使える『LoGoチャット』を知り、すぐに導入を決めました。
―庁内ではどのように使われているのでしょう。
吉田 まずは、正規職員の半分ほどにあたる約240人の職員にアカウントを発行し、「新型コロナ対策本部」や「RPA推進本部」といったプロジェクト単位で開設されたトークルームで情報連携に活用しています。
小澤 また当市では現在、県内の中野市、千曲市と共同で基幹系システムにおける自治体クラウドの導入を進めています。本稼働に向けて3市共同の導入プロジェクトが進んでいますが、中野市や千曲市の担当者にも『LoGoチャット』を導入してもらい、そこでの情報連携手段に『LoGoチャット』を活用しています。自治体クラウドの導入にあたっては、33の業務を共同化しますが、必要なプロジェクトごとに専用のトークルームを開設。3市あわせて235人の関係者が参加する情報連携プラットフォームとして機能しています。
時間やコストへの意識を、より強くもてる職員が誕生
―実感している導入効果を聞かせてください。
小澤 各市の担当者が一堂に会するのは簡単ではなく、最近は新型コロナウイルスの感染拡大で、対面会議をなかなか開きにくい状況にもなりました。しかし、『LoGoチャット』の導入で、会議や議論の調整負担が大幅に軽減されました。
自治体クラウドの要件定義では、所属ごとにさまざまな3市共同会議がかなりの回数重ねられていますが、日程調整や情報共有はすべて『LoGoチャット』で円滑に行われています。従来の情報共有では相手が確認したかもわからず非効率であった部分が解消され、効率的に進行しています。
吉田『LoGoチャット』には、利用する全国の自治体職員が参加するユーザーグループというものがあり、貴重な情報交換の場として活用されています。今回の「新型コロナ」をめぐる特別定額給付金の対応や、教育現場のICT化といった共通の課題に対する各自治体の取り組み状況を知ることができるので、業務改善のヒントをもらえるのもありがたいですね。
―今後、ビジネスチャットをどのように活用していきますか。
吉田 全庁展開を目指します。すでに、財政部門から「予算策定に先立つ各部門からの情報収集にチャットを活用したい」という意向が寄せられるなど、各部署から具体的な要望もあがっています。チャットによる業務効率化を業務改善につなげていきたいですね。
小澤 チャットの導入によって電話対応が減ったことで、「電話相手の時間をいかに奪っていたか」という視点に気づいた職員も多いようです。時間やコストに対する意識をより強くもてる職員が生まれてくることは、今後の役所全体の生産性や住民サービスの向上にもつながると期待しています。