大阪府阪南市の取り組み
郵便関連業務の自動化
ミスのない正確な封入・封かんを、少人数でスピーディに実現
阪南市
未来創生部 まちの活力創造課 主事 根耒 昌美
未来創生部 まちの活力創造課 主事 楠本 祥平
※下記は自治体通信 Vol.30(2021年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
さまざまな通知や帳票を住民に発送している自治体では、職員が手作業で文書の封入・封かん作業を行っているケースは多い。個人情報を取り扱う場合は、誤封入を起こさないよう慎重な作業が求められ、職員が精神的な負担を感じていることが少なくない。こうしたなか、阪南市(大阪府)では、これらの作業を自動化し、正確な封入・封かんを実現している。自動化の詳細や具体的な成果について、まちの活力創造課の根耒氏と楠本氏に聞いた。
[阪南市] ■人口:5万2,795人(令和3年3月末日現在) ■世帯数:2万4,150世帯(令和3年3月末日現在) ■予算規模:342億5,100万6,000円(令和3年度当初) ■面積:36.17km2 ■概要:大阪府の南部に位置し、大阪市の中心部から約45km、和歌山市の中心部から約10kmの距離にある。東は泉南市、西は岬町、南は和泉山脈を境として和歌山県にそれぞれ接し、北は大阪湾に面する。漁業、農業、地酒造りなどの地場産業が盛ん。山中渓の桜や箱作海水浴場、波太神社、歴史的なまちなみ(尾崎地区、山中渓地区)など、豊かな自然や多彩な歴史・文化の地域資源を有している。
10時間の手作業が、職員の精神的な負担に
―どのような業務で封入・封かん作業が発生していますか。
根耒 ふるさと納税の寄附を受けた翌日以降、寄附者に送る「受領証明書」と「ワンストップ特例申請書」「申請書の書き方に関する通知」の、封入・封かん作業を行っています。以前は、職員が宛先ごとに文書を集約する「名寄せ」を行ったうえで、文書を3つ折りにし、封入。これを別の職員が再度確認し、のりづけしていました。
―作業にはどのくらいの時間がかかっていたのでしょう。
楠本 普段は2人がかりで1日30分程度ですが、年明けの繁忙期には文書数が約1,500通にのぼり、10人で約10時間かかることもありました。作業が長時間続けば、疲労によって誤封入のリスクが高まるため、作業の正確性を求められる職員は精神的な負担を感じていました。こうしたなかで、一連の作業を自動化する機械の存在を知りました。幅広い文書や封筒に対応できることから、ピツニーボウズジャパンの「封入・封かん機」を令和2年9月に導入しました。
―封入・封かん機とはどのようなものですか。
楠本 文書と封筒をセットしてボタンを押すと、紙折りから名寄せ、封入、封かんまでの一連の作業を自動化する機械です。このうち名寄せの機能では、文書に付与されたバーコードを読み取り、名寄せのミスや文書の抜け・重複が検知されれば、稼働を停止してくれます。この機能により、正確な封入を実現でき、職員は誤封入への不安を解消できました。同時に、作業にかかる人手と時間も大きく減らせています。普段の作業は1日5分程度に短縮され、年明けの繁忙期でも3人の動員によるわずか2時間で作業を完了できました。
庁内全体の、業務効率化につなげたい
―今後の活用方針を聞かせてください。
根耒 ピツニーボウズジャパンが提供する専用のソフトウェアでは、既存の文書PDFに名寄せ用のバーコードを付与できます。今後もこのソフトウェアを使い、封入・封かん機を活用できる文書の種類を増やしていきたいです。さらに、郵便物を取り扱う業務は庁内に多く存在するため、封入・封かん機の存在を他の部署にも知ってもらい、庁内全体の業務効率化につなげられればと考えています。
支援企業の視点
機械による二重確認で、誤封入リスクは低減できる
ピツニーボウズジャパン株式会社
Sending Technology ソリューションズ営業本部 西日本営業1部 中世 孔平
―自治体における封入・封かん作業で、職員はどのような課題を抱えていますか。
特に多くの職員が抱えているのは、「誤封入をいかに防ぐか」という課題です。実際に、目視による二重、三重の確認を行っていても、誤封入が起きるケースは少なくありません。さらに、大量の送付物を大人数で扱う場合は、「作業時間の短縮」や「職員による密の回避」などの課題も耳にします。そこで当社では、これらの課題を一挙に解決できる手段として、「封入・封かん機」の導入を提案しています。当社の製品では1時間に最大3,500通の速さで正確に処理。令和元年度~2年度だけでも44自治体で導入されていますが、これまでに一度も誤封入の事故は報告されていません。
―どのような仕組みで正確な封入を実現しているのですか。
まず、文書内のバーコードを機械が読み取り、送り先ごとに正しい枚数で名寄せする仕組みを構築。文書の抜けと別文書の差し込みを防いでいます。さらに、文書が複数枚重なっていても機械が自動で停止できるよう、紙の厚みの自動検知機能も実装しています。こうした二重の確認を機械が行うことで、封入の正確性を担保しているのです。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
当社では、郵便物の集計作業を自動化する「郵便料金計器」も提供しています。多くの自治体の郵便関連業務を支援してきた実績や、郵便制度に関する知見を活かし、今後も自治体の業務効率化を支えていきたいです。
中世 孔平 (なかせ こうへい) プロフィール
昭和53年、大阪府生まれ。大学卒業後、健康食品メーカーや機械メーカーの営業職を経て、平成20年、ピツニーボウズジャパン株式会社に入社。関西地方の営業を担当する。
ピツニーボウズジャパン株式会社
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