千葉県御宿町の取り組み
学校給食費の公会計化①
クラウドサービスで徴収を自動化し、学校給食費の公会計化を推進
御宿町 教育課 課長 吉野 信次
※下記は自治体通信 Vol.33(2021年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
昨今、学校現場の業務負担増大が深刻化するなか、国は学校給食費の徴収・管理業務を自治体へ移管し、その歳入と歳出を管理する「公会計化」を進めている。一方で、自治体側の業務負担増大も同じく課題とされており、移管が進まない実態もある。そうしたなか、御宿町(千葉県)では、クラウドサービスの活用によってこの課題に対応している。同町担当者の吉野氏に、導入の経緯や期待する効果などを聞いた。
[御宿町]■人口:7,229人(令和3年6月30日現在) ■世帯数:3,692世帯(令和3年6月30日現在) ■予算規模:36億5,300万円(令和3年度当初) ■面積:24.85km2 ■概要:大正3年4月に町制を施行。その後、昭和30年3月に上布施、実谷、七本地区の一部と浪花村岩和田地区との合併を行い、現在の御宿町が誕生した。「御宿」という名称は、鎌倉時代に北条時頼が諸国行脚のおり、当地を訪れ、あまりにも景色が良いので宿泊することになり、それにちなんで詠んだ歌に由来すると伝えられている。
公会計化への移行後も、教員や自治体の負担は課題に
―御宿町が学校給食費の公会計化を進めた経緯を教えてください。
これまで町立の小中学校2校では、センター方式で学校給食を運営しており、給食費は教材費やPTA会費などとともに、それぞれの学校の教員が現金を取り扱ってきました。しかし、調理施設の老朽化を背景に、今年度から調理・配送を、隣接する勝浦市に委託することを決めました。これを機に、公会計化に移行し、歳入と歳出の管理を町が行い、町から勝浦市に支払う方式に切り替えたのです。
ただし、現金による徴収自体は引き続き学校側が行うこととしており、教員の業務負担や現金を持ち歩くことの危険性などは課題として残っていました。一方で、管理業務の受け皿となる我々としても、そのために人員を増やすことはできず、対応を検討しなければならない状況でした。
―具体的にどのような検討を行ったのですか。
ちょうど公会計化に移行する直前、NTTファイナンスから、学校徴収金の請求・管理業務を自動化できる『楽々クラウド決済サービス』について提案を受けており、その導入について検討しました。このサービスは、期初に名前や口座情報、徴収時期などの徴収計画を登録すれば、徴収、管理といった一連の業務をクラウド上で自動化できるというものです。学校現場における徴収業務や教育委員会での管理業務といった負担軽減は喫緊の課題でしたので、庁内で検討を重ね、今年6月の議会定例会でクラウドサービス活用のための予算承認を得て、10月の給食費から運用することを決めました。
生徒や児童との時間を増やし、教育の質を高めていく
―導入の決め手はなんだったのでしょう。
ひとつは、クラウドサービスであるため、導入コストを大きく抑えられたこと。近隣の自治体では既存の学齢簿システムを改修し、徴収管理を集約した例があります。しかし、その場合はシステム改修に多額の費用が必要に。当町としては、導入時の重い財政負担は避ける必要がありました。
また、給食費のみならず、教材費やPTA会費といった学校徴収金全般に活用できる点も評価しました。従来通りまとめて定額を支払っていただき、その後に給食費は町会計へ、その他は学校の口座へと振り分けることができるため、保護者にも負担をかけません。口座振替やクレジットカード決済など多様な決済手段にも対応しているため、むしろ保護者の利便性は高まるとの見通しもありました。
―今後の運用方針を聞かせてください。
クラウドサービスの活用により、課題となっていた学校現場の負担軽減にめどをつけることができました。今後はその成果によって、教員が生徒や児童と向き合う時間を増やせれば、教育の質を高められるのではないかと期待しています。
支援企業の視点
徴収・管理の自動化ツールで、公会計化の運用負担は減らせる
NTTファイナンス株式会社
ビリング事業本部 南関東総合料金センター 法人ビリングソリューション営業部 アドバイザー 萩原 千鶴子
ビリング事業本部 南関東総合料金センター 法人ビリングソリューション営業部 岡田 順子
―全国の自治体で学校給食費の公会計化は進んでいますか。
岡田 進めたいとの意向はあるものの、公会計化によって自治体に移管される業務は多岐にわたるため業務負担の増大が懸念されるうえ、システム導入の費用負担も重なり、二の足を踏んでいる自治体は多いです。また、ほかの学校徴収金と給食費を分けて徴収することになるため、支払う保護者の負担になりかねないという課題も聞きます。
そこで当社では、導入コストを抑え、運用に人手や手間がかからない徴収・管理の自動化ツールとして『楽々クラウド決済サービス』を提案しています。
―特徴を教えてください。
萩原 給食費のほか教材費やPTA会費といった保護者への徴収を一元的に管理することができます。また、徴収や管理だけではなく、未納者への催促や料金返還、その他周辺業務まで幅広くサポートできるのも特徴です。システム構築が不要なクラウドサービスのため短期間で運用を開始することができ、自治体職員の方の負担も小さくすることが可能です。
―今後、どのように自治体の公会計化を支援していきますか。
岡田 最近では、学校徴収金以外での導入についてもご相談をいただいておりますが、当社では、クラウドの導入を支援するだけではなく、導入後の運用や公会計化に伴う業務の見直しなど、トータルにサポートいたします。政府が提唱する「クラウド・バイ・デフォルト原則」のとおり、まずはクラウドサービスの活用を優先的にご検討いただきたく、その際は、ぜひお問い合わせください。
萩原 千鶴子 (はぎわら ちづこ) プロフィール
NTTファイナンス株式会社(旧:エヌ・ティ・ティ・リース株式会社)に入社。法人営業担当として各種法人、自治体への提案実績が豊富。令和2年7月より現職。
岡田 順子 (おかだ じゅんこ) プロフィール
日本電信電話公社(現:日本電信電話株式会社)に入社。自治体への提案経験が豊富。その後、国際電話サービスの法人営業を経て、平成29年4月より現職。
【東京都立川市の取り組みはこちら】
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