山形県大石田町の取り組み
郵便関連業務の効率化①
書類の封入作業を自動化し、正確かつ迅速な郵便発送業務を実現
大石田町
総務課 財政グループ 財政主査 佐々木 洋平
まちづくり推進課 政策推進グループ 主事 笹原 章宏
※下記は自治体通信 Vol.41(2022年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
日々、さまざまな通知や帳票を住民に発送している自治体において、郵便物の封入・封かん作業を庁内で行っているケースは多い。発送業務の繁忙期には、この作業に多くの人手と時間が奪われてしまうことも珍しくない。こうしたなか、大石田町(山形県)では、封入・封かん作業を自動化し、業務の大幅な省力化を実現した。取り組みの詳細について、同町担当者の2人に聞いた。
[大石田町] ■人口:6,439人(令和4年6月1日現在) ■世帯数:2,266世帯(令和4年6月1日現在) ■予算規模:69億9,275万円(令和4年度当初) ■面積:79.54km2 ■概要:山形県のほぼ中央に位置する。町の中央を南北に最上川が流れ、最上川三難所の下流にある。陸路と水路の接点という地の利から、町の中心部はかつて「大石田河岸(かし)」と呼ばれ、最上川舟運最大の舟着場として栄えた。水と緑の豊かな景観に恵まれた大石田には、元禄年間に松尾芭蕉が訪れ、その足跡を追って正岡子規や齋藤茂吉などの文人が、また、金山平三ら多くの画家が足を運んだ。
ふるさと納税関連では毎日、半日がかりの封入作業が発生
―大石田町ではどのような郵便物発送業務を行っていますか。
笹原 私が所属するまちづくり推進課では日々、ふるさと納税の寄附者に対し、受領証明書や「ワンストップ特例制度」の申請書といった書類を発送しています。以前は、これらの書類を封入・封かんする作業を人手で行っており、担当職員は毎日、負担を感じていました。書類を手で折ったうえで封筒に入れ、のりづけするという単純な作業ではありますが、宛先ごとに文書を集約する「名寄せ」を行ったり、「ワンストップ特例制度」の申請の有無に合わせて書類を入れ分けたりする必要があるため、誤封入を起こさないような慎重さも求められるのです。
―作業にはどのくらいの時間がかかっていたのですか。
笹原 平常時は、ひとりの職員が半日かけてこの作業を行っていました。これが年末の繁忙期となると、5人以上の職員による丸一日の作業が、数日間続く状況になります。作業時は密状態も生まれ、感染症対策の観点での課題も感じていました。
佐々木 そうした折に、業務効率化策に明るい、当時の副町長から「封入・封かん機」という機械の活用を勧められ、導入の検討を行いました。この機械は、その名の通り、郵便物の封入・封かん作業を自動化するものです。これを使えば、大量の郵便物を扱う際の職員負担を確実に軽減できると期待し、自治体での導入実績が豊富なピツニーボウズ製の封入・封かん機を令和4年3月に導入しました。
宛先ごとに異なる封入物も、自動で正確に名寄せできる
―導入効果はいかがですか。
笹原 まず、封入・封かんにかかる作業時間を大幅に短縮できました。1時間当たり最高3,500通という高速処理がなされるため、従来半日かかっていた平常時の作業は、10~20分程度で済んでしまいます。書類の名寄せから紙折り、封入、のりづけはすべて機械が自動で行うため、職員は最初に書類や封筒を機械にセットするだけで、ほとんど手間がかかりません。
この機械を使えば、約1万通の郵便物を封入・封かんする繁忙期であっても、ひとりの職員が数時間程度をかければ、作業を完遂できると見込んでいます。
佐々木 導入によって得られているメリットは、職員の負担軽減だけにとどまりません。
―ほかにどういった導入メリットを感じていますか。
佐々木 正確な名寄せ作業によって、誤封入を防げていることです。ピツニーボウズ製封入・封かん機の名寄せ機能は、単純に同じ宛名を集約するだけではありません。あらかじめ専用のアプリケーションを使って書類にバーコードを印字しておけば、宛先に応じて封入が必要な書類と不要な書類を判断して処理できるのです。ふるさと納税関連業務で発生する封入・封かん作業は寄附者の個人情報が記載された書類を扱うため、外部委託を行っていなかったのですが、封入・封かん機を使うことで、誤封入のない正確な作業を、庁内で労力を抑えて行えています。
―今後の活用方針を聞かせてください。
佐々木 いま、封入・封かん機を使っているのはおもに、まちづくり推進課ですが、庁内では税金や健康福祉、子育て、介護といった部門でも封入・封かん作業が発生します。今後は、作業の自動化で得られる業務効率化の効果を全庁に広げていく方針です。多くの部署がかかわる郵便関連業務を効率化することで、職員がそれぞれのコア業務に、より集中できる体制をつくっていきます。
青森県むつ市の取り組み
郵便関連業務の効率化②
郵便物発送にかかわる全職員を、日々の煩雑な集計作業から解放
むつ市
総務部 総務課 行政グループ 主幹 徳 学
総務部 総務課 行政グループ 主査 菊池 亘
郵便物の発送に伴い、自治体で発生する作業は封入・封かんだけにとどまらない。多くの自治体では日々、郵便局員に郵便物を手渡す前に、職員がその煩雑な集計作業に追われているケースも多い。こうしたなか、むつ市(青森県)では、郵便物の集計作業を自動化したことで、全庁的な業務効率化を実現させている。取り組みを始めた経緯やその成果について、同市の担当者2人に聞いた。
[むつ市] ■人口:5万4,203人(令和4年7月1日現在) ■世帯数:2万8,606世帯(令和4年7月1日現在) ■予算規模:575億4,004万円(令和4年度当初) ■面積:864.20km2 ■概要:本州最北端、青森県北東部の下北半島に位置する。三方を海に面しており、北は津軽海峡を隔てて北海道を望み、西に平舘海峡、南には陸奥湾を抱いている。面積は青森県内最大で、広範にわたる地域が下北半島国定公園に指定されている。恐山、川内川渓流などの景勝地や、湯野川、薬研などの温泉が点在するほか、陸奥湾のホタテ、津軽海峡のイカなどの海の食材が豊富。
時間に追われる集計の負担は、多くの部署におよんでいた
―むつ市では郵便物の発送にあたり、どのような作業を行っていましたか。
徳 まず、各部署の職員が、発送したい郵便物を午後2時半までに総務課へ届けます。その後、総務課の職員が、集まった郵便物の重さを一通ずつ量り、郵便物の数と料金をまとめた「差出票」を作成。午後3時までに、郵便物とともに郵便局員へ手渡していました。決まった時間までに大量の郵便物を集計するこの作業は、総務課職員の心理的な負担となっていましたが、じつは、郵便物を集計する同様の作業負担は、総務課以外の部署の職員にもおよんでいました。
―それはなぜでしょう。
菊池 部署ごとで郵便物の数や料金を把握し、郵便物発送にかかるコストを全庁で抑えるという目的から、各部署にも毎日、郵便物の数や重さを集計し、記録してもらっていたからです。職員それぞれに本来のコア業務があるなか、日々発生するこの集計作業の手間はなんとか解消したいと我々は考えていました。そうしたなかで、ある事業者から提案されたのが、「郵便料金計器」でした。
―郵便料金計器とはどのような機械なのですか。
菊池 郵便物の形状や大きさを自動で計測したうえで、重量に応じた正確な郵便料金を印字する機械です。導入前のデモでは、大量の郵便物があっという間に集計される様子を見て、大きな業務効率化が見込めると確信しました。そこで、自治体に対する郵便関連業務の効率化支援で定評のある、ピツニーボウズジャパンの機械を令和2年10月に導入しました。
毎日1部署5分程度の作業で、全庁の郵便物発送状況を把握
―導入成果を聞かせてください。
徳 現在は、各部署の職員それぞれが、郵便物を郵便料金計器に通すという運用を行っており、1部署当たりわずか5分程度で正確な集計を簡単に行えています。また、郵便物を機械に通す前に部署名を登録すると、その部署ごとに郵便物の数や料金がデータとして蓄積されるので、郵便物の発送状況把握にも役立っています。ピツニーボウズ製の郵便料金計器には、登録した画像データを郵便物に印字するといった機能もあると聞いています。こうした機能を活用したり、ほかの自治体での機械の運用方法も参考にしたりして、今後も郵便関連業務の効率化を図っていきたいですね。
支援企業の視点
複数部署で発生する日常業務こそ、自動化による業務改善効果は大きい
ピツニーボウズジャパン株式会社 Sending Technology ソリューションズ 営業本部 東日本営業2部
営業4課 仙台営業所 所長 大槻 茂
―郵便関連業務の効率化に着目する自治体は増えていますか。
はい。特に、コロナ禍を機に住民へ発送する郵便物が急増した自治体などでは、関連業務の効率化に着目するケースが増えています。ただし、業務の量や内容に大きな変化がない場合でも、職員が業務に負担を感じていることは少なくありません。そうした業務負担は、取り扱う郵便物の多寡だけでは測り知ることができないものです。
―どういうことでしょう。
郵便物の数が少なくても、マンパワーが足りず職員が毎日集計作業に追われていたり、繁忙期に他部署の職員を集めて人海戦術で封入・封かん作業に対応していたりするケースは多いのです。そこで当社では、郵便関連業務のさまざまな負担を軽減できる、封入・封かん機や郵便料金計器を提案しています。いずれも、職員の労力を抑えつつ、作業の正確性を高められるのが特徴です。たとえば当社の郵便料金計器は、大きさや形状が異なる郵便物をまとめて通しても、1通ずつ適正な郵便料金を印字できます。複数部署がかかわる日常業務だからこそ、自動化で得られる業務改善効果を実感する導入自治体は非常に多いです。
当社の機械は、これまでに480以上の自治体で導入された豊富な実績があります。また、機械の保守を行えるネットワークも全国に形成し、安心して利用してもらえる体制も整っています。郵便関連業務に少しでも課題を感じている自治体のみなさんは、ぜひご連絡ください。
大槻 茂 (おおつき しげる) プロフィール
昭和47年、宮城県生まれ。平成8年に東北福祉大学を卒業後、事務機器メーカーに入社。令和3年、ピツニーボウズジャパン株式会社に入社。東北エリアでの営業活動を担う。
ピツニーボウズジャパン株式会社
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