―施設に新しく監視カメラを設置した経緯を教えてください。
当市の都市集客施設整備室では、市民体育館『高崎アリーナ』の開館にともない、約500m離れた野球場の近くに、立体駐車場と公衆トイレを新たに建設しました。
ただ、建設に際しては、夜間の治安を心配する声が近隣住民からあがっていました。そのため当市では、駐車場内の監視カメラにくわえ、公衆トイレにも監視カメラを設置することにしたのです。
市内ではそれまで、撮影した映像をSDカードに記録するタイプの監視カメラの設置を進めてきましたが、映像を常時監視できず、カードの回収にも手間がかかっていました。そこで、新設するカメラでは、映像を『高崎アリーナ』の防災センターへ送り、常時監視できるようにしました。しかし、通信網の整備には課題がありました。
―どのような課題でしょう。
公衆トイレの前のカメラで撮った映像を、約100m離れた立体駐車場に送ることです。立体駐車場と防災センターとの通信は公衆回線を用いて整備する計画だったため、立体駐車場と公衆トイレをどうつなぐかが課題だったのです。
道路を隔てた立体駐車場と公衆トイレとの有線接続は、敷設や、敷設のために道路占用許可を取得する手間や費用がかかるため、選択肢から外れていました。
次に検討したのがWi-Fiによる電波無線。しかし、Wi-Fiでは安定した通信の維持に不安があります。通信会社と回線を契約することもできますが、わずか約100mの通信に回線使用料を毎月支払うのは行政として割に合いません。
そこで、光無線通信のソリューションを提供している民間企業の提案を受け、光無線通信を活用した通信網を構築することになりました。
回線使用料をかけずに安定した通信を実現
―内容を詳しく教えてください。
光を使った高速通信により、ハイビジョン画質の映像を、有線や電波無線で通信するときと同様に見られるようにしたのです。
通信会社との回線契約も不要なため、長期的なコスト面でのメリットを感じました。Wi-Fiなどの電波と違い、傍受される心配がないので、セキュリティ面でも安心できます。システムの整備も簡単で、15分程度で通信を確保できました。
―今後は光無線通信をどのように活用していきますか。
公園や運動場など広い場所に監視カメラを設置する際には、通信ケーブルを敷設する必要のない光無線通信が活躍しそうですね。太陽誘電ではさらに長距離で通信できる技術を開発中と聞いています。多くの施設間の通信に活用して住民サービスの充実につなげられるのではないかと期待しています。