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滋賀県高島市の取り組み
正確な封入・封かん作業を実現し住民からの信頼向上につなげる
自治体ではさまざまな部署で、住民に発送する文書を日々取り扱っている。特に、誤封入が許されない個人情報の取り扱いに神経を尖らせている職員は多い。高島市(滋賀県)では、郵便物の封入・封かん作業を自動化することで、作業の正確性向上を実現した。自動化の経緯やえられた効果などについて、同市の櫻井氏に聞いた。
※下記は自治体通信 Vol.17(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―郵便関連業務で抱えていた課題を聞かせてください。
6町村の合併を背景に、住民に発送する文書を封入・封かんする職員の業務負担が急速に増大したことです。合併で職員の数は増えましたが、それを上回る規模で扱う文書の量も増えたためです。
業務量が特に増えたのは税務課で、税務関連の繁忙期にあたる4月から8月ごろまで、発送物は多い月で約1万5000通にのぼります。職員はこれらすべてを手作業で折りたたみ、封筒へ入れ、のりづけしていました。個人情報を扱うため慎重さが求められます。宛先ごとに文書を集約する「名寄せ」を行った後は、別の職員による二重確認を行っていました。
しかし、限られた時間でこれらの作業を行うには、税務課の人手だけでは限界がありました。
―これらの作業にどう対応したのでしょう。
繁忙期には、税務課だけでなく、別の課や支所の職員にも支援を要請し、対応していました。10人以上の人手をかけ、文書の封入・封かんだけに丸々3~4日間を費やしていたのです。
しかし、長時間の手作業が続くと、どうしてもケアレスミスが生じてしまう可能性も出てきます。実際に、町村合併があった翌年の平成18年5月には、固定資産税にかんする通知書を送付する際に、宛先と異なる住民の納付書を誤って封入するという事故を起こしてしまいました。
そこで、住民の信頼を回復するため、二度と同様の間違いを起こさないよう、解決策を探ることになったのです。
3分の1以下の人手で人的ミスをゼロにできた
―具体的にどのようにして解決したのですか。
正確さが求められる名寄せ作業を含め、紙折りから封入、のりづけまで一連の手作業を自動化することで解決を図りました。ピツニーボウズジャパンの封入・封かん機では、宛先情報を付与した専用のバーコードを文書に印字することで、同じ宛名の文書を正確に封入できるのです。この機能により、別人の文書を封入してしまうミスは、平成19年の導入以降、いちども起きていません。
さらには、作業の自動化により、繁忙期の封入・封かんにかかる人手は多くても3人、作業期間は長くても2日程度へと大幅に低減することもできました。発送業務の繁忙期は税金にかんする問い合わせが増える時期でもあるので、省力化によるメリットは強く感じています。
―今後の活用方針を聞かせてください。
封入・封かん業務は外部に委託する方法もありましたが、機密文書を外部に預けるリスクが新たに生じるうえ、発送物に差し替えや変更があった際に柔軟に対応しづらいというデメリットもあります。そのため、庁内で封入・封かん機を使用するのは当市にとって最適な選択だったと思います。
今後も大切な郵便物を正確に住民へ発送し、市民の信頼向上につなげられるよう、活用を続けていきたいですね。
岡山県井原市の取り組み

郵便物の集計作業にしばられずコア業務に専念できるように
郵便物の発送にかんする業務は封入・封かん作業だけではない。郵便物を部署ごとに集計したり、郵便局に持ち込むといった業務にも、時間と人手はかかっている。ここでは、郵便の集計作業を省力化した事例として、井原市(岡山県)総務課の片井氏に話を聞いた。
※下記は自治体通信 Vol.17(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―総務課で行っていた郵便関連業務を教えてください。
毎日15時までに庁内すべての部署から集まってくる郵便物を、手作業で集計していました。集計作業では、郵便物の通数や形状、重さ、特別料金の適用などを確認し、各部署がまとめた伝票に記載されている内容と突き合わせます。
郵便物と差出票は、16時までに郵便局へ持ち込まなければいけません。総務課には住民からの問い合わせがつねに集中するため、発送物が多い時期には、それぞれの対応で手一杯になっていました。とはいえ、郵便局へのもち込みにリミットがあり、集計に余分な時間はかけられないため、伝票の内容が正しいと信じて確認を一部省略することもありました。
―伝票や差出票に誤りがあった場合はどうなるのですか。
郵便局から差出票の訂正が求められるため、職員はあらためて発送物をすべてもち帰り、場合によっては伝票を書いた部署の職員にも再度確認してもらう手間が生じてしまっていました。
そこで、これらの発送物の集計にかかわる業務負担を軽減するために、当市では平成27年に、ピツニーボウズジャパンの郵便料金計器を導入することにしたのです。
―郵便料金計器とはどのような機械なのでしょう。
郵便局の承認のもと、封筒に郵便料金と消印を印刷できる機械です。つまり、郵便料金計器に発送物を通せば、切手を貼らなくてもそのまま郵便物として送ることができるのです。さらに、発送物の形状や重さなどから郵便料金も自動で算出してくれます。
そのため、郵便料金計器を使えば、それまで職員が行っていた、通数や料金の確認や、差出票の作成は不要になるのです。
9割以上の発送物で集計作業が不要になった
―どのような効果を実感していますか。
職員が行う作業は、郵便料金計器を通さない少数の発送物を手作業で集計することと、郵便物の郵便局へのもち込みだけになりました。郵便料金計器を通せる9割以上の発送物では、集計が不要になりました。手作業の集計が必要な発送物はありますが、通数が限られるため、確認作業に余裕が生まれ、集計が正確に。差出票の訂正を郵便局から求められることはなくなりました。
ほかにも、郵便料金などのデータは予算科目と紐づけて郵便料金計器内に履歴として残せるため、庁内で郵便物の記録を管理する作業も省力化。職員は業務の負担が大幅に軽減され、各種相談対応といったコア業務に専念できるようになりました。
―今後の活用方針を聞かせてください。
発送物を郵便料金計器に通す作業は、それぞれの部署の職員にまかせるようになりましたが、使い方も簡単なため、スムーズに運用できています。ピツニーボウズジャパンの郵便料金計器には画像や文字を封筒にカラー印刷できる機能もついているので、今後は、大切な文書が入った封筒を目立たせたり、市のイベントをPRするといった活用も検討しています。
支援企業の視点

郵便業務を自動化すれば省力化と正確性を同時に実現できる
※下記は自治体通信 Vol.17(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―自治体における郵便関連業務の課題はなんですか。
通知や帳票など、発送する文書の種類が多いぶん、発送物を扱う人手や時間もかかりがちで、職員の業務負担をいかに低減するかが課題となっています。 特に昨年7月以降は郵便局の法人向け集荷サービスが全国で順次、廃止され、自治体職員の負担はさらに増しています。
―具体的にどう負担が増しているのでしょう。
発送物をもち込む移動時間だけでなく、郵便局員が差出票と郵便物を差出人ごとに確認する間の待ち時間も生じてしまう。さらに、差出票に記載されている内容に一通でも誤りがあれば、自治体職員は発送物をすべてもち帰って集計し直さなければならなくなります。 こうした集計にかんする業務上の負担は、郵便料金計器を使って大幅に低減することができます。集計作業以外では、高島市における事例のように、封入・封かん作業も自動化することが可能です。省力化だけでなく、作業の正確性も担保できるようになり、機密情報を扱う職員の心理的負担も軽減できるでしょう。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
文書発送業務の自動化により、職員は時間的、心理的な負担を減らすことで、コア業務に専念できます。機械化で作業の正確性が高まれば、住民サービスの信頼向上にもつながります。当社は文書発送業務の幅広いソリューション提供を通じ、職員の業務効率化と行政サービスの向上に貢献していきたいですね。

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井上 亮(いのうえ まこと)プロフィール
昭和50年、大分県出身。平成14年にピツニーボウズジャパン株式会社に入社。平成29年より現職。おもにパートナー協業で、自治体向け営業などに携わる。
ピツニーボウズジャパン株式会社
設立 | 昭和56年1月 |
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資本金 | 4億円 |
従業員数 | 138人(平成31年3月1日現在) |
事業内容 | 物理的な発送業務およびデジタル・トランザクションの支援。フォーチュン誌500社の9割の企業を含む世界のお客さまに、発送と郵便、顧客情報管理、位置情報活用(ロケーションインテリジェンス)、顧客コミュニケーション支援(顧客エンゲージメント)、グローバルeコマースの分野において、製品やソリューション、サービス、データを提供 |
URL | https://www.pitneybowes.com/jp/ |
お問い合わせ電話番号 | 0120-00-9537 (平日9:00~17:00) |
お問い合わせURL | https://www.pitneybowes.com/jp/smb-inquiry.html/ |
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