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岩手県北上市の取り組み
先進事例2023.08.04
自治体専用ツールによる業務改革①

自治体専用チャットツールの活用が、住民サービス向上の新たな一手に

[提供] 株式会社トラストバンク
自治体専用チャットツールの活用が、住民サービス向上の新たな一手に
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株式会社トラストバンク
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※下記は自治体通信 Vol.51(2023年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

DX推進が急務となるなか、その第一歩として、まずは職員間の情報連携の円滑化に着手する自治体が増えている。チャットツールの導入はその代表的な手段といえる。そうしたなか、北上市(岩手県)では、LGWAN環境とインターネット環境の両方から使用できる「自治体専用ビジネスチャット」を導入し、大きな効果を上げているという。この取り組みを主導した同市担当者2人に、導入の経緯やその効果などについて詳しく聞いた。

[北上市] ■人口:9万1,867人(令和5年5月末現在) ■世帯数:4万1,260世帯(令和5年5月末現在) ■予算規模:616億3,268万4,000円(令和5年度当初) ■面積:437.55km² ■概要:旧北上市、和賀町、江釣子村の3市町村合併により平成3年4月1日に誕生。北上盆地のほぼ中央に位置し、北上川と和賀川が合流する肥よくな土地に美しい田園地帯が広がる。古くから交通の要衝として栄え、現在では東北新幹線、東北縦貫自動車道、東北横断自動車道釜石秋田線などの高速交通体系も整備され、「北東北の十字路」として交通の利便性が高まっている。令和3年には市制施行30周年を迎えた。
インタビュー
大塚 知彦
北上市
企画部 都市プロモーション課 主幹 DXプロジェクト統括
大塚 知彦おおつか ともひこ
インタビュー
佐々木 幸江
北上市
企画部 都市プロモーション課 情報政策推進室 情報管理係 主任
佐々木 幸江ささき ゆきえ

全職員にアカウントを配付し、全庁規模で運用する方針に

―北上市がチャットツールを導入した経緯を教えてください。

佐々木 コロナ禍を機に、会議など対面でのコミュニケーションが困難になったことが直接のきっかけです。そこで、多くの自治体で活用事例のあった自治体専用ビジネスチャット『LoGoチャット』の導入を検討することにしました。庁内での情報連携手段の確保だけでなく、相手の手を止めてしまう内線電話がチャットに置き換わることが業務効率化に寄与するとの期待もあり、令和2年4月から企画部など4部署でトライアルを開始しました。

―結果はいかがでしたか。

佐々木 期待通りの効果が出ました。庁内のLGWANとインターネットの両環境からアクセスできる利便性は特に高く、アプリを使い庁外でスマートフォンから利用する職員もいました。運用後は電話が減り、業務が遮られなくなったなど導入部署での評価は総じて高かったです。そこで当市では、令和3年4月からの本格導入を決めました。本格導入にあたっては、利用者が多いほど効果も大きいと考え、最初から全庁規模ですべての職員が使えるように開始する方針を立てました。現在でも普段、PCを使わない保育士なども対象に職員703人にアカウントを配付し、会計年度任用職員にも希望者に付与しています。

―職員に広く活用してもらうために行っている工夫はありますか。

大塚 実際に運用開始すると、アカウント配付や使い方のガイドだけでは利用が伸び悩みました。そこで、従来「電話やメールが常識」と思われていた連絡や資料のやりとりを『LoGoチャット』に置き換える価値を職員が体験する機会をつくりました。

 公立保育園DXの取り組みでは、私と市内6園の保育士との間でトークルームを設定し、意見交換や情報共有の基盤として意図的に『LoGoチャット』を使いました。資料共有機能やアンケート機能を使うことで、「これ便利」と体感した職員はチャットを積極的に使うようになります。その評判を聞いた他部署も活用を始めるという好循環が生まれ、庁内で利用が広がりました。さらに、新たな場面で成果が出ている例が「北上市こども療育ネットワーク」です。

新たな価値創造につながる、意義あるDX成果

―詳しく教えてください。

大塚 「北上市こども療育ネットワーク」は、発達支援が必要なこどもに、市が民間を含む支援事業所の紹介から早期利用開始までを支援する仕組みです。当初、民間の事業者と連携したサービス拡大だけでは、支援開始までに公立施設利用時の数倍の時間がかかることに気づきました。そこで、すでに活用していた『LoGoチャット』の使い勝手の良さとアンケート機能を施設間調整に利用できることに気づき、情報連携基盤に『LoGoチャット』を採用しました。その結果、「北上市こども療育ネットワーク」を早期構築でき、民間施設利用時でも支援開始までの時間を公立施設利用時と同等程度に縮めるメドがつきました。

―チャットの活用で市民サービスはどう変わりましたか。

大塚 従来は民間の支援事業所の選択や見学予約は保護者が行う必要がありましたが、現在では、市の相談窓口に来たタイミングで利用可能な施設の紹介や見学予約ができる体制となりました。早期療育の選択肢を広げ、保護者の不安や負担を軽減しながら利用開始できることは、重要な子育て支援策です。北上スタイルの市民サービス創造につながった意義あるDX成果だと自負しています。

三重県桑名市の取り組み
自治体専用ツールによる業務改革②
現場が使える「電子申請サービス」は、いまや庁内DXを支える標準ツールに

ここまで紹介した北上市が導入したビジネスチャットは、LGWAN環境からもインターネット環境からもアクセスできるという特徴を有していた。昨今、この利便性を活かした「電子申請サービス」が登場するなか、各種の行政手続きにおけるDX推進で成果を上げる自治体が増えている。桑名市(三重県)もそうした自治体のひとつである。ここでは、同市の担当者2人に、導入の経緯とその効果などを聞いた。

[桑名市] ■人口:13万9,101人(令和5年5月末現在) ■世帯数:6万1,326世帯(令和5年5月末現在) ■予算規模:993億8,620万5,000円(令和5年度当初) ■面積:136.65km² ■概要:三重県の北部、木曽三川が注ぐ伊勢湾最奥部に位置する。西に鈴鹿、北に養老の山並、東に濃尾平野が広がる、水と緑豊かな自然環境のもと、江戸時代から東海道五十三次の宿場町・城下町・湊町として栄えた。今でも、東名阪自動車道や国道1号などの主要国道、JRや近鉄など主要幹線が集中する交通の要衝として発展を続けている。
インタビュー
村山 雄紀
桑名市
スマートシティ推進課 スマートシティ推進係 主事
村山 雄紀むらやま ゆうき
インタビュー
堀田 千晶
桑名市
子ども未来部 子ども総合センター 母子保健係 保健師
堀田 千晶ほった ちあき

約60部署で約180人が活用。作成フォーム数は約1,000

―新たな「電子申請サービス」を導入した経緯を教えてください。

村山 当市では、各種申請やアンケートを行う際、各部署が独自に表計算ソフトを使ってシートを作成し、それを印刷するという紙中心の運用が続いていました。コロナ禍で行政手続きにおけるオンライン化の需要が高まったこともあり、デジタル化を検討したなか、使用している『LoGoチャット』を介して自治体専用電子申請サービス『LoGoフォーム』の存在を知り、令和2年8月に試験導入を開始しました。

―結果はいかがでしたか。

村山 特別な知識がなくても作成できるというのは本当で、多くの部署で「使いやすさ」が確認されました。LGWANとインターネットの両環境から回答できる利点を活かし、人事課では早速、試験導入中に職員採用試験の申請フォームを作成しました。こうした各部署での実績を評価し、令和3年4月から本格導入を開始しています。

 その後、現在までに庁内ほぼすべてにあたる約60部署において、約180人が活用し、約1,000ものフォームが作成されています。この数字は、職員の間に『LoGoフォーム』が浸透し、利便性が実感されていることを如実に物語っています。当市では新規採用職員に対しても、研修の標準メニューとして『LoGoフォーム』講座を設けており、現場で積極的に使ってもらうよう働きかけています。

庁内アンケートでは、作業時間が50分の1に短縮化

―本格導入後、どのような場面で活用されているのでしょう。

村山 庁内向けには、全職員対象の「DX・デジタル化に関する意識調査」で『LoGoフォーム』を活用しました。従来は表計算ソフトでシートを作成し、回収結果は別シートに転記、集計していました。この作業を効率化するとともに、全職員へ『LoGoフォーム』を周知したいと考えたのです。

堀田 また庁外の市民向けには、今年2月に開始された「出産・子育て応援給付金事業」の申請手続きで『LoGoフォーム』を活用しています。子ども総合センターはこれまで、給付金の申請事務の経験がありませんでしたが、『LoGoフォーム』であればなんとか使いこなせるのではないかと挑戦しました。

―活用効果はいかがでしたか。

堀田 フォーム作成は我々でも半日程度でできました。これまでは申請者が書類の記入や本人確認書類の複写、添付、窓口来庁などで1件あたり約90分を要していましたが、これが『LoGoフォーム』ではわずか10分程度に短縮されました。申請者全体の約9割が『LoGoフォーム』を介したオンライン申請を利用したことから、市民のみなさんにも利便性を感じていただけたと考えています。申請を受ける職員側も、1件あたり約10分を要していた申請内容完了までの確認作業が約3分へと約3分の1に軽減されています。

村山 庁内アンケートでも大きな効果が確認されました。これまでは、アンケートの作成に約4時間、回収と転記・集計に約90時間、結果のグラフ化などに約6時間を要していました。これが『LoGoフォーム』では、約2時間でフォームを作成でき、回収や転記・集計、グラフ化が自動で行われることから、作業時間は50分の1に短縮化できました。

―今後の方針を聞かせてください。

村山 『LoGoフォーム』には、自治体と住民側が双方向のコミュニケーションをとれる「デジタル窓口」やオンライン決済といった拡張機能があります。当市でも一部業務ですでに活用を始めていますが、こうした機能とともに『LoGoフォーム』を使いこなすことで、今年度中には200手続きのオンライン化を図りたいと考えています。

支援企業の視点
自治体専用ツールによる業務改革③
《 LoGoチャット 》「自治体専用ビジネスチャット」は、3分の2の団体が使う標準ツールに

これまでは、各自治体でDX推進に貢献する『LoGoチャット』『LoGoフォーム』両ツールの導入効果を見てきた。ここでは、これらのツールを提供するトラストバンクの木澤氏に、この2つのツールが選ばれる理由などを聞いた。

インタビュー
木澤 真澄
株式会社トラストバンク
取締役兼パブリテック事業部長
木澤 真澄きざわ ますみ
昭和53年、大阪府生まれ。大阪大学を卒業後、平成15年、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社(現:日本アイ・ビー・エム株式会社)に入社。システム開発や業務改革プロジェクトに従事した後、株式会社チェンジに入社。海外事業、自治体向け事業開発担当を経て、株式会社トラストバンクに出向。平成30年12月より現職。

生成AI利用サービスも、提供開始

―『LoGoチャット』は現在、どの程度自治体に広がっていますか。

 今年5月8日時点で1,211自治体に導入されています。全国のおよそ3分の2の自治体に使われているわけで、都道府県から小規模町村に至るまで、自治体規模を問わず導入が進んでいる状況です。昨今は、会計年度任用職員や議員、教員といった正規職員以外にもアカウントを付与する自治体が増えています。『LoGoチャット』は、メールアドレスがなくてもアカウントを発行できますので、業務用メールアドレスを持っていない現場職員の活用範囲を広げることで、導入効果をさらに高めている自治体が目立ちます。

―選ばれる理由はなんでしょう。

 インターネット環境からもLGWAN環境からもアクセスでき、アプリを使えばスマートフォンからも利用できるため、幅広いシーンで活用できることがひとつの理由です。最近では、被災地からの状況報告など外出先からの迅速な連絡が必要となる災害対策の現場での活用も増えています。また、『LoGoチャット』内にはテーマ別のユーザーグループが設けられていますが、ここにはすでに3万人以上が参加し、自治体職員による最大規模のコミュニティを形成しています。日々の業務をめぐる課題や知見、最新の行政情報などを、自治体の枠を越えて共有し合う有益な場として活用されています。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 『LoGoチャット』では、ユーザーの声を反映した機能強化を図っています。その一環として、今後自治体の現場でも活用が進むと考えられる『ChatGPT』など生成AI技術をチャットボット内で利用できるサービスの提供を開始しました。利用にあたっては、カスタマーサクセスチームが伴走して導入を支援する体制も整えています。最大6ヵ月間の無料トライアルを利用し、ツールの利便性をぜひ味わってみてください。


《 LoGoフォーム 》電子申請で得る職員の「成功体験」が、自治体DXを加速させるカギ

便利な機能・サービスを、誰でも使いこなせる

―一方、『LoGoフォーム』の導入はどれくらい進んでいますか。

 同じく5月8日時点で、530自治体に導入されています。既存の電子申請システムと併用、もしくは置き換えるかたちで導入が進んでいる傾向が見られます。これまで導入自治体で作成されたフォーム数は2万8,000以上、フォームへの回答数も約997万件を数え、幅広く活用されていることを物語っています。内閣府の「デジタル田園都市国家構想(デジ田)交付金 デジタル実装タイプ」を活用して『LoGoフォーム』を導入するケースも多く、スタートアップ別採択件数では当社が1位*にランキングされています。

*1位 : 内閣府公表資料(令和5年4月)より

―どのような強みが、この評価につながっているのでしょう。

 特別な知識がなくても簡単にフォームがつくれる点が『LoGoフォーム』の最大の特徴です。昨年度のデータですが、4月に『LoGoフォーム』を導入した自治体における初月の平均フォーム作成数は86であり、導入早々から現場が使いこなしている状況が見てとれます。また、LGWAN環境からもインターネット環境からもアクセスができる強みは、『LoGoチャット』と同様で、庁内の職員向けのみならず、住民を対象とした幅広い行政手続きに活用が可能です。

 この『LoGoフォーム』も機能拡張を重ねており、最近では「デジタル窓口」というオプション機能がとても高い評価を受けています。

―どのような機能ですか。

 申請者に対して、自治体側からも連絡がとれるサービスです。このなかには、住民が登録したメールアドレスに対し、申請審査の過程での訂正依頼やご案内を通知できる「通知メール管理機能」があります。また、申請受理の通知書などをファイル添付し交付できる「電子文書交付機能」といった機能を実装しています。これらは、まさに職員が窓口で丁寧に手続き完了まで住民を導くような機能となります。こうした便利な機能・サービスを簡単に使いこなすことができ、自治体DXの小さな成功体験を積み重ねていける。それが『LoGoフォーム』が評価される所以です。ぜひ無料トライアルで効果を実感してください。

株式会社トラストバンク
株式会社トラストバンク
設立

平成24年4月

資本金

1億2,224万3,816円

事業内容

メディア事業、教育事業、パブリテック事業

URL

https://www.trustbank.co.jp/

お問い合わせ先
logo_support@trustbank.co.jpパブリテック事業部
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