自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 先進事例
  3. 平時と災害時の両面で機能する、住民サービスの集約化基盤を構想
福岡県豊前市
先進事例2024.06.18
住民サービスの集約プラットフォーム構築

平時と災害時の両面で機能する、住民サービスの集約化基盤を構想

[提供] 株式会社バカン
平時と災害時の両面で機能する、住民サービスの集約化基盤を構想
この記事の配信元
株式会社バカン
株式会社バカン

※下記は自治体通信 Vol.58(2024年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

自治体DXの推進が重要テーマになる今、デジタル化が迫られている行政サービスは多い。公共施設の予約受付はその代表的な業務の1つであろう。豊前市(福岡県)ではこのほど、マイナンバーカードによる個人認証と紐づけ、公共施設予約のデジタル化を実現。さらに施設予約にとどまらず、災害時などにも使える住民サービスの集約プラットフォームへと機能を発展させているという。取り組みの概要について、同市担当者に聞いた。

[豊前市] ■人口:2万3,580人(令和6年4月末日現在) ■世帯数:1万1,761世帯(令和6年4月末日現在) ■予算規模:190億4,756万7,000円(令和6年度当初) ■面積:111.01km² ■概要:福岡県の東端に位置する。南に修験道の遺跡で知られる求菩提山、天然記念物「ツクシシャクナゲの自生地」のある犬ヶ岳をひかえ、ここに源を発する岩岳川を中心に豊前平野が扇状に開け、北は波静かな周防灘に面している。発足当初の市の名称は宇島市だったが、昭和30年4月14日に豊前市と名称を変更し、今日に至る。
インタビュー
木戸 亮一
豊前市
総務部 デジタル化推進室長
木戸 亮一きど りょういち

住民に不便な公共施設予約は、デジタル化が課題だった

―公共施設の予約受付をデジタル化した経緯を教えてください。

 きっかけは、国の「デジタル田園都市国家構想交付金」の募集でした。当市で応募テーマを検討した際に浮上したのが、かねてより課題となっていた「公共施設の予約管理」のデジタル化だったのです。紙と電話を中心としたアナログ的な予約管理は住民と職員双方に不便なものでした。そこで、スマートフォンからでも簡単に行える施設予約のデジタル化を考えたのです。

 しかし、システム設計の段階で、別の検討材料も浮上しました。

―どのような内容ですか。

 市長から、住民との間のコミュニケーションツール機能も盛り込めないかとの提案を受けたのです。さらに、防災情報なども盛り込めれば、日常的に使うツールを活用して住民の災害への意識を高められるとの議論に発展しました。そこで、マイナンバーカードによる個人認証機能と組み合わせ、まずは「電子回覧板」の機能を持たせ、将来的には防災関連など複数の機能を集約できる、スーパーアプリ的な「情報プラットフォーム」を構想することにしました。令和5年4月の交付金採択を受け、プロポーザルの結果、当市に「避難所混雑可視化システム」を納入しているバカン社を事業パートナーに選定。ともに開発を進め、令和6年4月から運用を開始しています。

―開発したのは、どのような仕組みですか。

 マイナンバーカードの個人認証基盤と連動した『tami tami』というアプリです。日常的に使う「公共施設予約」や「電子回覧板」といった機能が組み込まれているほか、災害時には防災情報を迅速に送れるというデュアルユースを意識した設計です。たとえば、公共施設予約の場合、利用者には最初にマイナンバーカードを認証してもらい、カードに登録された基本4情報で本人確認のうえ予約が実行できます。一方、電子回覧板機能では、基本4情報の住所に対応した公民館を登録すれば、回覧板で伝えられる地域情報がスマートフォン上で確認できます。この機能を使えば、地域に特化した防災情報も発信でき、災害時には避難者リストの生成や安否確認での利用も考えられます。

防災サービスの集約も図り、安全・安心を提供へ

―今後のプラットフォームの運用方針を聞かせてください。

 平時か災害時かを問わずに機能できれば、防災向けサービスで課題とされる「持続性」を持たせられると期待しています。すでに当市が導入している「避難所混雑可視化システム」もマイナンバーカードを利用した避難所チェックインや避難者名簿の自動作成などの機能強化が図られています。このシステムも、『tami tami』と連携し、プラットフォーム上で提供する機能の1つとすることも検討しています。住民にとっての利便性を高めるサービス集約を図りながら、安全・安心をも提供できる情報プラットフォームに育てていきたいですね。

支援企業の視点
便利な機能を集約できる拡張性こそ、ツールの普段使いを促すカギになる
インタビュー
五十嵐 則道
株式会社バカン
執行役員 DX事業本部 本部長
五十嵐 則道いがらし のりみち
千葉県出身。総合商社などを経て、組織人事コンサルティングファームの立ち上げに参画し、執行役員、取締役社長を歴任。その後、教育系スタートアップなどを経て、令和2年2月に株式会社バカンに入社。

―現在の自治体における施設予約業務の課題はなんでしょう。

 空き状況の確認や予約、料金支払いや鍵・備品の受け渡しと回収など、施設予約には職員との直接・間接のやり取りが多く発生していることです。それが、住民の不便さや職員の業務負担につながっています。そこで当社では、マイナンバーカードと連携し、さらにスマートロック機能やキャッシュレス決済機能も実装することで、個人認証から一連の予約管理をデジタル化し、対面でのやり取りを一切省くことができる公共施設予約システム『tami tami』を開発しました。

―特徴を教えてください。

 利用者に優しいUI/UXや、複雑な料金体系や施設レイアウトの変動にも対応する柔軟性に加えて、最大の特徴といえるのは、システムの拡張性です。豊前市の事例に見るとおり、『tami tami』には複数の住民サービス機能を集約することができます。たとえば、すでに約200自治体に導入されている当社の「避難所混雑可視化システム」と連携するなど、防災情報のハブ的機能を担うことも可能になります。住民サービスを集約し、利便性が高められれば、普段使いが進む情報プラットフォームとして地域防災力を高めるキーツールになるはずです。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 『tami tami』は、施設予約のみならず、各自治体の要望に応じて多様な機能を組み込めます。国の「デジタル田園都市国家構想交付金」のサービスカタログにも登録されていますので、ぜひお問い合わせください。

株式会社バカン
株式会社バカン
設立

平成28年6月

資本金

1億円

従業員数

約80人(令和6年5月1日現在)

事業内容

AI、IoT関連サービス

URL

https://corp.vacan.com/

お問い合わせ先
contact@vacancorp.com
サービス資料を確認する
電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー