当社と笛吹市(山梨県)との施策を例にしましょう。山梨県には、富士山という圧倒的に有名な観光資源があります。しかし、隣町にある河口湖駅周辺に訪日客が一極集中するケースが多かったのです。同市には、新道峠から富士山を見渡せる『FUJIYAMAツインテラス』というスポットがあり、河口湖駅から車で約40分の距離にもかかわらず、集客につながっていませんでした。そこで、同市と当社が協働し、エントランスに新たな観光交流拠点として『Lily Bell Hütte(リリーベルヒュッテ)』を今年の4月にオープン。ご当地グルメを用意しているほか、笛吹市の観光情報を発信しています。そして、河口湖駅から施設をつなぐ直行バスツアーを当社が企画。今後は当社のノウハウを活かしたPRや、同施設から市内への周遊を生み出すツアーイベントなども行う予定です。そこからさらに、県全体にまで周遊ルートを広げ、訪日客呼び込みの効果を広域で高めていけるようにしていきます。
本市の観光振興においては、富士山周辺地域を訪れる訪日客をいかに本市に呼び込むかが課題でした。その起爆剤として期待されたのが、『FUJIYAMAツインテラス』です。ただ、近隣に立ち寄れる施設が少ないため、新たな集客施設をつくろうとDBO*方式による事業運営者を公募型プロポーザルで募りました。結果、国内トップクラスの旅行会社ならではの集客力と情報発信力に期待し、JTBを選定。オープンしたのが『Lily Bell Hütte』です。建築基準法で建築物が造れない点を逆に活かし、トレーラーハウスを使用することでインパクトのある外観になりました。これは、DBOならではの発想だったと思います。
―オープン後の成果はありましたか。
本格的に集客していくのはこれからですが、桃の名産地である本市が訪日客向けに情報発信しているSNSを「The Peach City」の名称から「Mt. Fuji The Peach City」に変更したところ、訪日客からのアクセス数が一気に増えました。これは、「『Mt. Fuji』を加えたほうが検索されやすい」というJTBの提案が活かされたものです。またJTBには、河口湖駅から『Lily Bell Hütte』をつなぐ直行のツアーバスの運行を企画してもらっています。今後は、JTBと一緒に『Lily Bell Hütte』から市内の石和温泉を周遊するツアーなどの実施を検討していきたいと考えています。