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民間企業の取り組み
地域における訪日客の周遊促進

観光資源を結んで「周遊」を創れば、地域をつないで訪日客を呼び込める

[提供] 株式会社JTB
観光資源を結んで「周遊」を創れば、地域をつないで訪日客を呼び込める
この記事の配信元

※下記は自治体通信 Vol.60(2024年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

観光庁が令和6年4月に公表した調査*によると、令和6年1~3月期の訪日客の旅行消費額は推計1兆7,505億円で、コロナ禍前の令和元年の約1.5倍を記録した。この好況は今後も続くと見込まれており、各自治体は訪日客を呼び込む施策を積極的に行っている。そうしたなか、観光業を通じて自治体支援を行っているJTBの大川氏は、「訪日客を地域に呼び込むには周遊を生み出す仕掛けをどうつくるかが重要になる」と話す。その理由と具体的な方法を、同氏に聞いた。

*調査 : 観光庁「訪日外国人消費動向調査2024年1~3月期(1次速報)」

インタビュー
大川 正勝
株式会社JTB
甲府支店長
大川 正勝おおかわ まさかつ
東京都生まれ。平成5年に入社後、埼玉支店営業推進課長、本社事業創造部企画開発マネージャーなどを経て、平成31年2月から甲府支店長を担当している。

観光資源を磨き上げ、点ではなく線でつなぐ

―訪日客を地域に呼び込むためのポイントはなんですか。

 周遊を生み出すための施策を行うことです。日本には、自然、歴史、文化、食などさまざまな観光資源があります。各地域が観光資源の磨き上げを行い、それを点ではなく線でつなぐことで周遊が生まれ、地域をまたいで広範囲に訪日客を呼び込めるのです。

―どうすれば観光資源を線でつなぐことができるでしょう。

 観光資源の周遊を促すPR活動や、二次交通などが必要になります。しかし、ノウハウやコスト面などから自治体だけでそれを行うのは難しいでしょう。そこで当社では、周遊を生み出すための支援を行っています。

―具体的に教えてください。

 当社と笛吹市(山梨県)との施策を例にしましょう。山梨県には、富士山という圧倒的に有名な観光資源があります。しかし、隣町にある河口湖駅周辺に訪日客が一極集中するケースが多かったのです。同市には、新道峠から富士山を見渡せる『FUJIYAMAツインテラス』というスポットがあり、河口湖駅から車で約40分の距離にもかかわらず、集客につながっていませんでした。そこで、同市と当社が協働し、エントランスに新たな観光交流拠点として『Lily Bell Hütte(リリーベルヒュッテ)』を今年の4月にオープン。ご当地グルメを用意しているほか、笛吹市の観光情報を発信しています。そして、河口湖駅から施設をつなぐ直行バスツアーを当社が企画。今後は当社のノウハウを活かしたPRや、同施設から市内への周遊を生み出すツアーイベントなども行う予定です。そこからさらに、県全体にまで周遊ルートを広げ、訪日客呼び込みの効果を広域で高めていけるようにしていきます。

 当社はこうした地域ごとの課題解決に取り組んでおり、この協働も当社が推進する『地域交創プロジェクト』の一環です。

各地域に密着した専門家が伴走支援を行う

―それはどのようなプロジェクトなのでしょう。

 「地域」「旅行者」「社会」の三方よしを目指し、当社が自治体や地域の多様な関係者と連携して地域課題の解決を通じ、持続可能な地域づくりに貢献するプロジェクトです。今回の場合、「地域」は笛吹市と地元関係者、「旅行者」は訪日客、「社会」は山梨県や日本全体などを表します。具体的には、47都道府県の各地域に密着した、当社の観光開発プロデューサーなどが伴走支援をします。細やかなフォローを行うので、まずは相談してほしいですね。

*『地域交創プロジェクト』は、株式会社JTBの登録商標です

協働自治体の声
民間ならではの集客・情報発信力が、訪日客を呼ぶ施策に活かされている
[笛吹市] ■人口:6万7,119人(令和6年7月末日現在) ■世帯数:3万782世帯(令和6年7月末日現在) ■予算規模:665億9,895万 8,000円(令和6年度当初) ■面積:201.92km² ■概要:甲府盆地の中央部、やや東寄りに位置している。桃とぶどうの栽培面積・収穫量・出荷量は全国屈指を誇る。石和温泉郷、春日居温泉郷は、山梨県の観光宿泊拠点として、四季を通じて多くの観光客が訪れる。
インタビュー
角田 一満
笛吹市
観光商工課 課長
角田 一満 つのだ かずま

―JTBと協働して訪日客の誘致に取り組んでいるそうですね。

 本市の観光振興においては、富士山周辺地域を訪れる訪日客をいかに本市に呼び込むかが課題でした。その起爆剤として期待されたのが、『FUJIYAMAツインテラス』です。ただ、近隣に立ち寄れる施設が少ないため、新たな集客施設をつくろうとDBO*方式による事業運営者を公募型プロポーザルで募りました。結果、国内トップクラスの旅行会社ならではの集客力と情報発信力に期待し、JTBを選定。オープンしたのが『Lily Bell Hütte』です。建築基準法で建築物が造れない点を逆に活かし、トレーラーハウスを使用することでインパクトのある外観になりました。これは、DBOならではの発想だったと思います。

―オープン後の成果はありましたか。

 本格的に集客していくのはこれからですが、桃の名産地である本市が訪日客向けに情報発信しているSNSを「The Peach City」の名称から「Mt. Fuji The Peach City」に変更したところ、訪日客からのアクセス数が一気に増えました。これは、「『Mt. Fuji』を加えたほうが検索されやすい」というJTBの提案が活かされたものです。またJTBには、河口湖駅から『Lily Bell Hütte』をつなぐ直行のツアーバスの運行を企画してもらっています。今後は、JTBと一緒に『Lily Bell Hütte』から市内の石和温泉を周遊するツアーなどの実施を検討していきたいと考えています。

*DBO : Design Build Operateの略。公共が資金調達を負担し、設計・建設、運営を民間に委託する方式のこと

創立

明治45年3月

事業内容

交流創造事業

URL

https://www.jtbcorp.jp/

お問い合わせ先
03-5796-5971(平日 9:30〜17:30)
isr_mktg@jtb.com
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