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高知県北川村の取り組み
先進事例2025.01.17
農機シェアリングを通じた農村振興

【農業効率化・コスト削減】農機シェアリングによる資源活用で、「稼げるスマート農業」の確立に挑む
農機シェアリングアプリFamcon / 日本の農村を元気にする会

[提供] 一般社団法人日本の農村を元気にする会
【農業効率化・コスト削減】農機シェアリングによる資源活用で、「稼げるスマート農業」の確立に挑む(農機シェアリングアプリFamcon / 日本の農村を元気にする会)
この記事の配信元
一般社団法人日本の農村を元気にする会
一般社団法人日本の農村を元気にする会

※下記は自治体通信 Vol.63(2025年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

農業従事者の高齢化や担い手不足は地方における深刻な課題である。農業経営の持続性を高めるためには、生産性向上や新規就農者確保が求められるが、そのためには高額化する農機の利用に伴う経済的障壁を引き下げ、農作業のさらなる効率化を図ることが必要である。そうしたなか、北川村(高知県)では、農機シェアリングの実証実験を行い、地域における農機利用の促進や農業のスマート化を図っているという。村長の上村氏に取り組みの経緯と成果を聞いた。

[北川村] ■人口:1,180人(令和6年10月31日現在) ■世帯数:626世帯(令和6年10月31日現在) ■予算規模:31億7,395万円(令和6年度当初) ■面積:196.73km² ■概要:高知県の東部に位置する。年間を通じ温暖多雨で、平均気温16.3℃、降雨量3,000~4,000mmと農産物の生産に適した気候でもある。県のシェアの4分の1を占めるゆずをはじめ、多彩な作物の栽培が行われている。村の総面積の約95%を占める森林は、木材生産や村土の保全など大切な役割を果たしている。
インタビュー
上村 誠
北川村
村長
上村 誠かみむら まこと

経済的負担を抑えながら、栽培技術の高度化を図る

―農機シェアリングの実証実験を行った経緯を教えてください。

 当村は、将来的に永続できる村を目指し、今後も人口1,000人規模を維持することを政策目標に掲げており、住み続けたいと思える「生活環境の整備」とともに、収入を得られる「産業の構築」を進めてきました。具体的には、基幹産業の「ゆず栽培」において「稼げる農業」を確立するために、圃場整備といったハード面のほか、データを駆使した栽培技術の高度化といったソフト面の充実にも力を入れてきました。いわゆるスマート農業の実践です。農機シェアリングは、その一環として検証しているもので、当村では急な傾斜地においても、夏場の炎天下のような条件でも効率的に農薬散布が実施できるよう、農機としてのドローンの活用を推進しています。その際、最適な気象条件を選び、複数の農園で経済的負担を抑えながら短時間で効率良くドローンを活用できるシェアリングを検討しました。将来的には広く農機全般に適用できる仕組みを構想し、農林水産省の実証実験を行っているのです。

―具体的に、どのような実証実験を行っているのですか。

 実証実験には、これまで当村のスマート農業の取り組みを支えてきた一般社団法人「日本の農村を元気にする会」に参画してもらい、ここが開発した農機シェアリングアプリ『famcon(ファムコン)*』を使ったドローンと操縦者の予約管理を実践しています。このアプリの特徴は、天気予報や過去の天気履歴、累積降水量などのデータをもとにAIが農機の使用推奨度を数値化する「AIスコア」機能にあります。各農場に設置した農業用ITセンサーと連携し、園地の詳細な環境条件をもとに、ゆずに最適な農薬散布のタイミングをAIが算出します。そのスコアをもとに、黒点病などのゆず特有の病気を防ぐ効果的な農薬散布を、複数農園で実施できるかを検証してきました。

*FAMCON特許番号(特許第7351035号)

広がるスマート農業への期待

―成果はいかがでしたか。

 農薬散布用のドローンはまだまだ高価ですが、シェアリングによって複数の農園で有効活用できました。ゆずに最適な農薬散布時期は短く、ドローンの台数も限られるなか、農薬散布の最適なタイミングを考慮した予約管理を行ううえで、AIスコアの有用性も確認できました。今回の実証実験を通じて、村内にはスマート農業への期待が広がっています。地域の産業を学ぶ良い機会として、ドローン操縦には地元の小中学生にも参加してもらっていますが、その経験を通じて「将来の夢はゆず農家」と語る子どもも出てきていることは、なによりの成果と言えるかもしれません。当村が目指す「稼げる農業」の確立や農業の魅力づくりに、『famcon』は大きく寄与してくれるのではないかと期待しています。今後は、ドローン以外の農機のシェアリングにも『famcon』を活用し、スマート農業をさらに推進していく考えです。

支援企業の視点
アプリによる農機シェアリングで、小規模農家へも最先端技術の恩恵を
インタビュー
本田 真悠
一般社団法人日本の農村を元気にする会
famcon担当
本田 真悠ほんだ まゆ
平成10年、福島県生まれ。実家は米農家で、農業の魅力を広めるため、複数の地域活性化活動に参加。令和6年には一般社団法人日本の農村を元気にする会に参画し、『famcon』のPR活動や地域活性化イベントにも積極的に従事している。

―農業を基幹産業とする自治体における課題はなんでしょう。

 担い手不足が顕著になり、地域の生産力の低下が深刻化しています。農作業の生産性向上とともに、新規就農者の確保が急務となりますが、そこで課題となるのが農機の導入費用の高さです。そこで当会では、農機を地域全体で活用していけるよう、国のスマート農業への支援も活用し、農機シェアリング調整アプリ『famcon』を開発しました。

―どのようなアプリですか。

 農機の貸借管理を基本機能としていますが、特徴は天気などの諸条件をもとにAIが農機の利用推奨度をスコア化する機能です。天気予報や過去の天気履歴といった情報を取り込み、日付ごとに農機の利用推奨度を数値化します。農薬の使用履歴から、「栽培記録表」を自動作成する機能もあります。北川村では、ゆずの特性や農薬の散布条件をもとに農機の利用推奨度を算出しましたが、それはあくまで一例です。幅広い用途へのカスタマイズが可能で、実際にある自治体では、リモコン式草刈機のシェアリングでの導入検討が進んでいます。また、圃場の農業用ITセンサーと連携しているため、近くにアメダスの観測所がなくても、圃場の気温や地温、降雨量など詳細な気象情報を遠隔で確認することができます。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 使いやすさを重視した機能開発も進め、小規模農家でも先端技術の恩恵を受けられるよう支援していきます。国の支援も活用し、全国でデモを受け付けています。お問い合わせください。

: 農林水産省「スマート農業実証プロジェクト(スマート農業産地モデル実証〈ローカル5G〉)」
: 農林水産省「令和5年度補正 農業支援サービス事業体ビジネス確立支援事業」

一般社団法人日本の農村を元気にする会
一般社団法人日本の農村を元気にする会
設立

令和2年4月

事業内容

農村地域を元気にする事業

URL

https://nousongenki.org/

お問い合わせ先
info@nousongenki.org
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