熊本県阿蘇市様では、2021年の2月に教育課にて管理する16ヶ所全ての施設で、全国に先駆けてスマートロックおよびキーボックスを同時に導入し、カギ管理の自動化を実現されました。導入に至った背景および課題、解決策と効果について、教育課 社会体育係様よりお伺いしました。
■コロナ禍における地域住民による管理体制の限界、公共サービス安定提供のために
■施設の設置環境に応じスマートロックとキーボックスを導入、管理施設全体を遠隔管理
■当初抱えていた物理鍵の不便さと担い手不足の課題を解消、副次的な効果も
コロナ禍における地域住民による管理体制の限界、公共サービス安定提供のために
■阿蘇市、およびご担当の業務について教えて下さい。
阿蘇市は、世界最大級のカルデラを有する雄大な阿蘇の自然景観、伸びやかに広がる田園風景、阿蘇神社などの歴史遺産や暮らしに根付いた文化・伝承等、数々の優れた資源に恵まれた地域です。阿蘇地域の中心にあって、九州の南北、東西交流の拠点に位置し、県内最大の観光地を誇ります。
町村合併による誕生以来、人づくりを中心に据えたまちづくりを進めています。多様化・複雑化するニーズに応えるため、市民・事業者・行政等の協働により、熱い情熱と大いなるチャレンジ精神を持った未来志向型の施策を展開し、誰もが住んで良かった・働いて良かった・訪れて良かったと実感できるまちづくりを進めています。
私たちは教育課の担当者として、市内の体育施設を管理し、地域住民への貸し出しをおこなっています。バドミントンやバレーボール等スポーツ目的で手軽に利用ができ、幅広い年代の方にご利用いただいています。こうした社会体育施設の市民への開放が元気な地域づくりのために欠かせない重要な公共サービスだと考えています。 廃校となった施設に加えて、小中学校の体育館・グラウンドを対象に、地域住民に時間貸しし、市で保有する既存の建物・施設を有効活用しています。
■施設管理でどのような課題をお持ちでしたか。
こうした公共サービスを維持する上で、いくつかの解決すべき悩みがありました。その一つが鍵管理です。
全ての社会体育施設に市役所から管理職員を配置することは現実的ではありませんので、鍵管理に関しては各施設の近隣の地域住民に依頼していました。近隣の方に物理鍵を渡して管理をお願いすることは、万が一の時にも現地対応をしてもらえるなどメリットもあります。ただ、鍵の管理を任された住民や利用者にとっては、こうした物理鍵による運用は、不便さを伴うものでもありました。
例えば、予約が入った利用時間帯には鍵管理者は自宅から離れて自由に行動できませんし、利用者は鍵を受け取り、保管、返却する必要があります。これらが利用時に毎回発生し、面倒な対応を強いられていました。一方、市役所では、公共サービスを安定的に提供するため、不足しがちな管理の担い手を継続的に確保する必要がありました。
さらにコロナ禍で、鍵管理者から不特定多数の方との接触は感染リスクが高く怖い、との相談も増えてきていました。 この状況をなんとか改善しようと、人によるカギの受け渡しをやめて、新しい仕組みを構築できないか、検討を始めました。具体的には、全ての社会体育施設を対象に、どんな管理の仕組みが有用か検討し、次の3点を重点ポイントとして選定を進めました。
施設の設置環境に応じスマートロックとキーボックスを導入、
管理施設全体を遠隔管理
■ 管理の仕組みを選定された際、重視したポイントを教えて下さい。
施設の設置環境や管理状況を考慮し、次の3点を重点ポイントに選びました。
①遠隔で管理できること
②物理鍵がなくても運用しやすく安全であること
③子供から高齢者まで使いやすい操作性
いろいろ検討した結果、離れた場所から安心して管理できるIoT製品で、アプリやスマホを必要とせず誰でも使いやすい暗証番号式のカギ、2製品を採択しました。
一つは、ドアに設置するスマートロック製品として「リモートロック」、もう一つは、Wi-Fi環境はあるがドアを加工することに不安のあった学校施設や市街地から離れたグラウンド管理棟などのWi-Fi環境のない施設を管理するスマートキーボックス「igloohome Keybox3」です。
どちらも暗証番号で解錠ができる仕組みで、番号は管理システムで発行・確認ができます。利用者には予約した時間帯だけ暗証番号が有効になるので、利用時間以外の不正アクセスも未然に防ぐことができます。また、いたずら抑制のため、スマートキーボックスには防犯カメラを併設して運用しています。
■ 導入後の状況を教えて下さい。
管理している全16施設のうち、リモートロックは主に室内型の体育館の共用エントランスに設置し、施設内のWi-Fiに接続して運用しています。スマートキーボックスはグラウンドなど、防水性が必要な屋外の施設に導入しています。暗証番号を入力しキーボックスを解錠した後、中にある物理鍵を取り出して施設の入り口を開けられます。
ご利用にあたっては、市役所で予約申請とお支払いをしていただいた後、予約者に暗証番号をメールでお送りします。ご利用当日は、この暗証番号で解錠し、施設を利用いただく流れとなります。
利用団体はある程度固定していますので、操作方法に不安がある団体があれば、初回は私たちも現地に行き、レクチャーした上でご利用いただくようにしました。また、予約完了のメールを送る際は、暗証番号に加え、ロックの設置場所と操作方法をお送りするなどして、少しでもスムーズにご利用いただけるよう心掛けています。
鍵の管理者は、これまでのように施設利用がある日は自宅で待機し鍵の受け渡しをする必要がなくなりました。利用者にも鍵の受け取りや返却の手間がなくなり便利になったと喜んでいただいています。
当初抱えていた物理鍵の不便さと担い手不足の課題を解消、副次的な効果も
■どのような効果がありましたか。
人手不足が解消し、管理体制が向上しました。
近隣住民に管理いただいていた施設利用時のカギ管理は、現在は無人で運用できるようになりました。クラウド上で施設の入室管理ができるようになったので、当初抱えていた物理鍵の不便さと担い手不足の課題を解消することができました。
合わせて、次のような課題解決にもつながり、住民のみなさんに安定した公共サービスを提供できています。
・管理コストの最適化
・実際の利用時間を正確に把握・管理
・新型コロナウイルス感染拡大防止対策の徹底
・平常時のみならず、緊急時のセキュリティ管理の向上(避難所の鍵管理)
また、体育館は選挙の投票所や住民健診の会場として使われることもあります。そういった場合の鍵の開け閉めにも暗証番号を渡すだけで済むといった、副次的な利用用途・効果を感じています。
■導入の効果を教えて下さい。
「ノーベル賞なみの発明だ!」と、それまで管理を担当くださっていた方から喜びの声をいただきました(笑)。
導入前は施設の利用予約があるたびに早めに現地に行かれて対応してくださっていたため、その手間と拘束時間から解放されることをとても喜んでいただけました。キーレス化のおかげで非対面化でき感染症対策の効果もありますので、より便利に安心して使っていただけるようになりました。
また、これまで物理鍵を使っていた際にはどうしても鍵の所在が分からなくなったりと紛失のリスクがあったのですが、そういった心配が一切なくなった点からも、安心して利用いただき、運用できるようになりました。
■ 同じような課題にお悩みの自治体へのメッセージをお願いします。
リモートロック導入により、鍵管理者の担い手不足や物理鍵紛失リスクの軽減、利用者の負担減少やキーレス化による新型コロナウイルス感染防止対策に効果があると感じています。施設管理で同じような悩みを抱えている自治体職員の参考になればと思います。
※掲載内容は取材日、2022年3月時点の情報です。
株式会社構造計画研究所
設立 |
1959年5月6日 |
資本金 |
1,010百万円 |
本所所在地 |
東京都中野区本町4丁目38番13号 日本ホルスタイン会館内 |
従業員数 |
611名 (※2021年9月8日時点) |
上場市場 |
東京証券取引所 JASDAQスタンダード |
URL |
https://www.kke.co.jp/ |
■公共施設のスマート管理に関してはこちらをご覧下さい。
https://remotelock.kke.co.jp/case/public-facilities/
■詳細お問合せやお見積りのご相談はお気軽に下記までご連絡下さい。
株式会社構造計画研究所 すまいIoT部
RemoteLOCK 自治体マーケティング担当
電話:050-5306-6250(平日 9:00 - 17:00)
メールアドレス:remotelock@kke.co.jp
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