TikTokは、国境を越えて取り組むべき課題である気候変動に継続的に取り組んでいます。その一環でTikTok Japanは2023年から、気候変動への意識を高め、理解を促進する「みんなで学ぶ気候変動」プロジェクトを実施しています。
2024年のプロジェクト第3弾として、2024年11月24日(日)、京都新聞が主催する『「みんなで学ぶ気候変動」プロジェクト 2024 フォーラム』に協賛しました。2024年においては6月5日(水)の「世界環境デー」に仙台で実施した「気候変動ワークショップ」、同じく6月に姫路市で開催された「防災グローバルフォーラム2024:自然災害リスクへの理解を深める」への出展・TikTok LIVEに続くイベントとなりました。
今回フォーラムの会場となったのは、1997年に京都議定書(COP3)が採択された国立京都国際会館です。京都議定書は、先進国各国が初めて温室効果ガス排出量の削減目標を定めた国際条約で、国際的な温暖化対策として大きな一歩となりました。
そんな気候変動にとって歴史的な地である国立京都国際会館を舞台に開催された本フォーラムには、京都市や米国戦略国際問題研究所(CSIS)、東北大学 災害科学国際研究所、一般社団法人 地球温暖化防止全国ネット(JNCCA)、一般財団法人世界防災フォーラム、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)などから専門家の皆さまが参加。また人気TikTokクリエイターのあああつしさん(@aaa_tsushi_)、しんのすけ🎬映画感想さん(@deadnosuke)、そば湯さん(@sobayu8055)、みいるか🐬🎨さん(@miiruka_)、MOSCO|モスコさん(@dufayel_)の5名が出演しました。また来賓として京都府副知事の鈴木一弥氏、京都市副市長の岡田憲和氏、環境大臣政務官兼内閣府大臣政務官で衆議院議員の勝目康議員、京都市会議員の寺田一博議員にもご出席いただきました。司会はフリーアナウンサーの登坂淳一氏が務めました。
会場には120名以上が集まり、気候変動に関する災害リスクへの緩和と適応の取り組みなどのテーマについて考えました。フォーラムの模様はTikTok LIVEで配信され、延べ6.2万人以上の方がリアルタイムでイベントを視聴。多くの方が気候変動について学びました。
イベントの冒頭では、株式会社京都新聞ホールディングス取締役で京都新聞COM(コム)社長の雑賀和美氏、京都府副知事の鈴木一弥氏、京都市副市長の岡田憲和氏、そして環境大臣政務官兼内閣府大臣政務官で、衆議院議員の勝目康議員がスピーチしました。勝目議員は、「つい先ほどCOP29の議論が合意に至りました」と報告。CO2(二酸化炭素)には国境はないので、地球規模で解決していかなければならない、と説明。「貧困に取り組むために、エネルギーを使ってでも経済を回す方がいい場面もあるし、年配の方々が健康を守るために夏場にはクーラーをつけるべき場面もある。これら多面的な社会公正の中に気候変動をしっかり位置付け、全体として社会を良くするきっかけになれば」と今回のイベントに対する期待を述べました。
気候変動対策に必要なのは、「緩和」と「適応」
最初のセッションは「気候変動とは何か」「地球にどんな影響を及ぼしているのか」がテーマです。気候変動の専門家として、一般財団法人世界防災フォーラム 代表理事、東北大学災害科学国際研究所教授 副研究所長の小野裕一氏と、一般社団法人地球温暖化防止全国ネット事務局長の平田裕之氏が登壇。ステージにはみいるかさん、そば湯さん、あああつしさんの3名のTikTokクリエイターが登場し、会場の皆さまやTikTok LIVEの視聴者と一緒に学びました。
左)一般財団法人世界防災フォーラム 代表理事、
東北大学災害科学国際研究所教授 副研究所長の小野裕一氏
右)一般社団法人地球温暖化防止全国ネット事務局長の平田裕之氏
小野氏は、人類の活動により排出される温室効果ガスが原因で、地球全体の平均気温が上昇し、世界中でさまざまな影響が出始めていることを説明しました。具体的な影響として、平田氏は食物の不作と高騰、漁業の不漁や生態系の変化などを紹介。小野氏は気候変動によって異常気象が増え、熱中症が増加したり冬にドカ雪が降ったりするなど、身近なところにも大きな影響があることを指摘しました。
そんな気候変動への対策として、「緩和」と「適応」の2つが大切だと平田氏は説明します。「緩和」は、温室効果ガスの排出を抑え、気候変動の進行をできるだけ遅らせること。節電や再生可能エネルギーの活用、エコカーの利用などが挙げられます。一方で、「適応」は、気候変動による被害を回避・軽減することで、熱中症予防や感染症・虫刺され対策などがあります。これを歯の健康に例えると、毎日ハミガキするのは「緩和」、虫歯になって歯医者さんで治療するのは「適応」に当たります。
ステージ上の3名のクリエイターのうち、みいるかさんとそば湯さんは、実は今年6月に仙台で実施した本プロジェクトのワークショップを受講し、「緩和と適応」について学んでいました。会場ではその模様を動画で紹介しました。
動画を見たあああつしさんは「みんなすごく楽しそうですね!」とうらやましそうにコメント。みいるかさんは「私たちは実際に仙台の街を歩きながらフィールドワークをしました」、そば湯さんは「駅の節電の取り組みや、自動販売機横のリサイクルボックスなど、いろいろな取り組みを見てきました」と6月のワークショップを振り返りました。
脱炭素に向けた国内外の取り組みを紹介
次のセッションでは、米国戦略国際問題研究所(CSIS)エネルギー安全保障・気候変動問題 シニアフェローのJane Nakano氏と、京都市 環境政策局 地球温暖化対策室「DO YOU KYOTO?」プロジェクト推進課長の松本紗代子氏、そしてTikTokクリエイターのMOSCOさんが登壇し、国内外の気候変動に関する取り組みをテーマにディスカッションしました。
左)米国戦略国際問題研究所(CSIS)
エネルギー安全保障・気候変動問題シニアフェロー Jane Nakano氏
中央)京都市 環境政策局 地球温暖化対策室「DO YOU KYOTO?」
プロジェクト推進課長の松本紗代子氏
右)MOSCOさん
米国戦略国際問題研究所(CSIS)は、1960年代に設立された公共政策を専門とする非営利の研究機関です。Nakano氏は、そこでエネルギー安全保障と気候変動問題について研究しています。また京都市の松本氏は、京都市は「DO YOU KYOTO?」(=「環境にいいことしていますか?」)という呼びかけをこれまで行っており、国内外の都市との連携や、市民のライフスタイルを脱炭素なものに転換していく取り組みを担当しています。
MOSCOさんは、京都は山に囲まれており夏が暑いイメージで、これは気候変動でどうなるか気になるといいます。それに対して京都はどんな取り組みをしているのでしょうか。京都市の松本氏によると、気候変動に都市化の影響なども加わり、京都の気温は100年で約2℃上昇したそうです。さらにこの50年で、年間猛暑日(気温35℃以上)は5.5日増加し、年間冬日(最低気温0℃未満)は37.5日も減少しました。
そこで京都議定書の採択の地である京都市では、2004年に全国で初めて地球温暖化に特化した条例を制定し、「2050年二酸化炭素排出量正味ゼロ」を目指すことを宣言するなど、積極的に気候変動対策への取り組みを進めています。例えば、修学旅行生が市内の神社仏閣を脱炭素転換しているEVタクシーで巡る「脱炭素修学旅行」もそのひとつです。こうした取り組みの効果として、京都市の2022年度の温室効果ガス排出量は2013年度比で22.6%減、エネルギー消費は1997年のピーク時より31.0%減少しているといいます。
次にNakano氏は、米国の取り組みを紹介。一般的な先進国で最も温室効果ガスを排出するのは電力部門ですが、米国は自動車大国なので、交通・運輸部門の排出量が最も多いそうです。そこで米政府は電気自動車や水素自動車の普及に力を入れている、とNakano氏は説明。また米国はベンチャー投資も盛んです。そこで「大気中の二酸化炭素を直接回収する技術(DAC)やフュージョンエネルギー(核融合エネルギー)といった新技術に対するベンチャー投資も進んでいます」と現状を紹介しました。 「気候変動は全人類にとって重要な課題」と話すNakano氏。いかに気候変動対策に力を入れる仲間を増やし、今世紀中の気温上昇を最低限にとどめるかが大切だと言葉に力を込めました。
最後に、地球全体で足並みをそろえて気候変動対策に取り組むためにはどうすればいいか、3名の登壇者がそれぞれ考えを発表しました。Nakano氏は「気候変動対策とエネルギー安定供給は表裏一体」、MOSCOさんは「小さなステップから、エコな活動を背中で示す」、松本氏は「1)気候変動について調べてみる、2)自分でできるアクションを考える、3)「楽しい、おしゃれ、お得」ポジティブに」と、それぞれの気候変動の思いを表し、セッションを締めくくりました。
ここで、会場は休憩時間に。その間、しんのすけさん、そば湯さん、MOSCOさんがここまでの講演内容をおさらいします。ホワイトボードを使って「気候変動についてと対応策」「国内外の気候変動取り組み」について解説しました。
気候変動をテーマにしたカードゲーム実践
次のセッションは、「TikTok気候変動カードゲーム」です。これは気候変動について楽しく遊びながら学ぶことを目的にTikTok Japanが作成したオリジナルカードゲームで、平田氏に監修いただき制作しました。6月に実施した仙台のワークショップでクリエイターたちがプレイし、その後も改良を続けてきたもので、クリエイターたちが考案した気候変動へのアクションも収録されています。
司会進行はしんのすけさんとみいるかさんが務め、「MOSCO・あああつしチーム」vs「同志社大学チーム」で対決がスタートしました。同志社大学チームの原さんと服部さんには、そば湯さんがサポートとして入りました。
TikTok気候変動カードゲームは、トランプのようなカードを使って対戦するゲームです。2つの遊び方があり、今回はそのうちの1つである「脱炭素大きさ比べ」で対戦しました。カードの表面には、「ゴミを分別する」「衣類を長く着る」「冬のエアコン設定温度を1℃下げる」などの脱炭素アクションが描かれています。カードに描かれたアクションのCO2の排出量を予想し、左から小さい順に並べるというルールです。
プレイした結果、「MOSCO・あああつしチーム」は2ポイント、「同志社大学チーム」は4ポイントを獲得。同志社大学チームの勝利となりました。今回、会場を訪れアンケートに答えた方にはこのTikTok気候変動カードゲームをプレゼント。「ゲームで楽しく遊びながら、脱炭素について学んでください」とクリエイターたちは呼びかけていました。
人類は宇宙に住める?気候変動と宇宙の関わりについて対談を実施
続くセッションでは、しんのすけさんが宇宙航空研究開発機構(JAXA)地球観測研究センター長の沖理子氏に気候変動と宇宙の関わりについて対談しました。気候変動のメカニズムを解明し、温暖化によって何が起こるかを予測するためには、「気候モデル」をつくる必要があります。ところが、大気中を漂う微粒子や気体で構成されるエアロゾルや雲などは、まだその性質が十分に解明されていません。そこでさまざまな手段を用いて気候変動を「観測すること」が重要になります。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)地球観測研究センター長 沖理子氏、しんのすけさん
観測の一例として、沖氏は、世界中の雨観測衛星を総動員して1時間単位でその結果を表示する「世界の雨分布速報(GSMaP)」を紹介。クリエイターの発信によって、このようなデータを公開していることを多くの方々に知ってもらえば、より有効活用してもらえるのではないか、と沖氏は期待を寄せました。
SF映画が大好きというしんのすけさん。「人類が地球に住めなくなり別の惑星に移住する」というストーリーもよくあるそうですが、人類は別の惑星に移住できる可能性はあるのか、沖氏に尋ねました。「かなり遠い将来には、人類が地球から脱出しなくてはならない事態が起こるかもしれない」と沖氏。多くの人が移住するには移住先の惑星に資材や資源が必要になるなどハードルは非常に高く、現時点では何十億人も移住できそうにないため長期的に研究するしかない。従って、今の段階では地球環境を守るほうが大事である、と回答しました。
さまざまな映画の話題が登場した沖氏としんのすけさんのセッション。お互い「もっと話していたい」「沖氏の解説を聞きながら映画を見たい」と振り返るほどの盛り上がった対談となりました。
TikTokクリエイターと振り返る「みんなで学ぶ気候変動」プロジェクト
最後に、2023年から続く「みんなで学ぶ気候変動」プロジェクトの歩みについて振り返りました。プロジェクトの第一弾は、2023年10月18日(水)に開催された「気候変動リテラシー向上ワークショップ」です。気候変動に関する専門家をお招きし、約10名のTikTokクリエイターが自分たちにできるアクションのアイデアを出し合いました。みいるかさんとMOSCOさんは、この初回のワークショップからすべて参加していました。
2023年11月19日(日)には、一般の方も招待して本プロジェクト初のフォーラム「みんなで学ぶ気候変動フォーラム 〜地球環境のために今私たちができることを考える〜」を東京・渋谷で開催しました。2024年は6月5日(水)の「世界環境デー」に合わせ、14組のTikTokクリエイターが仙台に集まり、「『みんなで学ぶ気候変動』プロジェクト クリエイターワークショップ in 仙台」を開催。座学に加えフィールドワークも実施し、気候変動に関する知識を深めました。
同じ6月には姫路で「『みんなで学ぶ気候変動』プロジェクト2024 第2弾・防災グローバルフォーラム2024」を実施。世界銀行主催の防災に関する国際会議「防災グローバルフォーラム2024:自然災害リスクへの理解を深める」にTikTokブースを出展して活動内容を紹介するとともに、気候変動や防災について学び発信するTikTok LIVEを配信しました。
そして2024年のプロジェクトの集大成として、今回の「『みんなで学ぶ気候変動』プロジェクト 2024 フォーラム in 京都」が開催されました。会場では、各クリエイターがプロジェクトを通じて得た学びをもとに制作した啓発動画が上映されました。
「ひとりで学ぶのは難しかったけど、一緒に学べて理解が深まった」(あああつしさん)、「しっとりした動画から爆笑動画まで、いろいろな動画があるからこそ多くの人に届くと思う」(しんのすけさん)、「自分たちが学んだことを自分で実行するのはもちろん、多くの人に伝えていきたいと思った」(みいるかさん)、「しっかり学べたからこそ行動に移せる」(そば湯さん)、「地球に住むみんなが同じチームとしてできることをやっていければいいと思う」(MOSCOさん)と、クリエイターたちはそれぞれの思いを語りました。
こうしてすべてのセッションが終了し、京都市会議員の寺田一博議員より閉会のあいさつをいただきました。寺田議員は「多くの皆さんの力で気候変動を止めなければいけません。今後も学びを広げていってほしいし、TikTokクリエイターの皆さんは発信を続けてほしい」と語りかけ、フォーラムを締めくくりました。
イベント終了後には、出演したクリエイターが会場出口に並んでハイタッチでお見送りを実施。当日会場に足を運んだファンとの交流を楽しみました。また、会場前に設置された「みんなで学ぶ気候変動」プロジェクトの歩みの展示には、多くの方が熱心に見入っていました。
京都議定書が採択された歴史的な地で開催された、「みんなで学ぶ気候変動」プロジェクトの総集編ともいえる今回のフォーラム。気候変動について楽しく学び、皆で力を合わせて気候変動に立ち向かっていこうと決意を新たにしたイベントとなりました。
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