プレイネクストラボ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:柏 匠、以下 プレイネクストラボ)は、GovTechプログラムの「スマート公共ラボ」で提供している最新の行政DX事例を紹介する無料オンラインセミナーの第5回を6月27日(火)に開催しました。今回は「公式LINEで行政DX。施設予約と電子申請の導入」をテーマに、福岡県宮若市の事例を交えて紹介。このブログでは、セミナーの内容をわかりやすくレポートします。
VIDEO スマート公共ラボのサービス スマート公共ラボは、自治体職員の業務効率化と住民の満足度向上をサポートするサービス。スマート公共ラボ with LINE SMART CITY GovTechプログラムと電子申請を柱に、「役所に行かない・窓口で待たない・文字を書かない」を叶える自治体のデジタル総合窓口として活用されています。
スマート公共ラボ with LINE SMART CITY GovTechプログラムについて スマート公共ラボ with LINE SMART CITY GovTechプログラムを導入すると、帳票作成、細かく条件設定したセグメント配信、複雑なシナリオ配信(チャットボット)、施設やイベントの予約に役立つカレンダー予約、緊急時に特化した災害モード、位置情報から案内できるスポット検索、決済の機能を使うことが可能。LINE公式アカウントの標準機能だけでは補えない、充実したサービスが特長です。
電子申請について スマート公共ラボの電子申請は、マイナンバーカードを用いて本人確認が必要な申請と、交付料や手数料の支払いに便利なオンライン決済が可能。LGWANのアクセスにも対応しており、既存の業務用パソコンから利用できるため、導入の負担が少ないのも魅力です。
スマート公共ラボは現在、全国約70の自治体公式アカウントにサービスを提供。各自治体のご要望に合わせて、機能やデザインのカスタマイズにも柔軟に対応しています。
施設予約の活用事例 山形県山形市では、児童遊戯施設の予約に施設予約システムを導入。予約開始から4日間で1ヶ月先の予約枠が埋まるほど大きな反響を呼びました。多くの予約が入っただけでなく、LINEアカウントの友だち登録数も急激に増えたそうです。
セグメント配信の活用事例 鳥取県鳥取市では、セグメント配信の機能を活用。ごみの品目ごとに分別方法を答えるチャットボットと、捨てる日を地域に合わせて通知するリマインド配信を行っています。
管理機能と導入サポート スマート公共ラボは自治体向けの分かりやすいシステムとなっており、住民に配信するメッセージやアンケートフォームなどを作成する際は、プレビューを見ながら操作可能。実際に作った帳表やチャットボットを検証用環境で試した後、本番に適用することができます。
アカウントの発行数に制限はなく、権限チーム作成や機能別の閲覧制御も可能。統計情報の表示機能では、友だち数やリッチメニューのタップ数、アンケートの起動数を取得できます。実際に住民が使ったチャットボットのログを出力すると、例えば子育てのところがどれぐらいタップされたかというデータ分析ができるほか、管理者操作ログの出力も可能となっています。
導入時は企画からサポートし、設計と設定を代行。分からないことがあればチャットやビデオ会議で気軽に質問できる環境が整えられています。
福岡県宮若市の活用事例 セミナーでは、福岡県宮若市 総務課 情報政策担当課長 吉田様と、総務課 情報政策係主任主事 行實様に施設予約と電子申請の導入事例を紹介していただきました。
宮若市は人口約2万6,500人で、自動車産業が盛んな地域。「リモートワークタウン ムスブ宮若」をはじめ、多岐にわたって官民で連携しながら新たなまちづくりに取り組んでいます。
導入経緯 宮若市がスマート公共ラボを導入した主な理由は以下の4つ。
・LINEで市民とのインターフェイスを統一したい ・いつでもどこでも申請を可能にしたい ・デジタル化による職員の業務量の削減 ・令和3年度補正予算のデジタル田園都市国家構想交付金と新型コロナ感染症対応臨時交付金の活用
宮若市は、市の公式LINEを入り口にして市政情報や各種手続きを完結させることを理想としていました。交付金によって自治体は実質約1割の負担でシステム構築が可能となったため、LINEを活用した手続きのオンライン化事業に取り組みました。
令和2年12月にスマート公共ラボのGovTechプログラムを導入し、セグメント配信やアンケート機能を実装。令和4年2月にデジ田交付金が創設され、「手続オンライン化事業」を申請し、交付が決定。令和4年8月に「施設予約・電子申請システム構築業務」の公募型プロポーザルを実施しました。
公募型プロポーザルは、各所管課の担当職員が審査。複数社から提案がある中で、市の様々な手続きの入り口を公式LINEに統一できるという点が職員に支持され、プレイネクストラボが最も高い評価を獲得しました。
宮若市の公式LINEの機能
リッチメニューは受信設定、電子申請、施設予約、タクシー予約、チャットボットなどで構成。これまで出産子育て応援給付金の電子申請が多かったことを受け、多くの人が使うものは分かりやすい場所に表示する工夫をしています。
スマート公共ラボの施設予約機能を用い、これまで窓口のみで受け付けていた公共施設の予約を電子化。利用者は市の公式LINEからいつでもどこでも空き状況を確認して予約でき、職員は窓口での対応が少なくなるため、業務負担の軽減が期待されています。
各種申請は市の公式LINEから手続きでき、マイナンバーカードを利用して本人確認が可能。出産子育て応援給付金は申請の約7割が電子申請でした。日中は家事や育児で時間が作れない人も、子供が寝た時などの空いた時間で申請ができて便利という声があり、好評だったとか。電子申請は引き続き増やしていく予定です。
リッチメニューの電子申請からカテゴリ別に申請を案内する仕組み。市の公式LINEから、国の「ぴったりサービス」への導線も作成しています。
市内を走るAIデマンドタクシーの予約や、問い合わせ対応用のAIチャットボットなど、他社システムとAPI連携したシステムをリッチメニューから利用可能。他社製のAPI連携が柔軟に対応できた点も、プレイネクストラボに依頼して良かった点のひとつだとか。
申請フォーム作成について 庁内の体制は、総務課情報政策係が市の公式LINEの管理者で、リッチメニュー作成や電子申請のフォーム作成、友だち募集の施策などを実施。各所管課は任意のタイミングでセグメント配信による情報発信、申請や予約の受け付け業務を行っています。
運用の課題は、各所管課に情報発信を一任しているため、部署ごとに差が生まれていること。市の情報発信は広報担当で運用するという方法も今後検討していく必要がありそうです。
導入の際は、庁内で電子化したい申請を募集し、職員に事務フローなどをヒアリングしながら、プレイネクストラボと一緒にフォームを作成。入力項目が複雑ではなく、若年層がメインの申請は特に反応が良く、電子申請の割合も多い傾向となりました。
一方、ジャンルによっては電子申請があまり伸びず、従来通り紙での申請が多い場合も。申請フォームの作成において、既存の紙の申請書が電子申請に適していなかったり、電子申請の事務フローが整備されていなかったりという課題もありました。手続きのフローや利用者を事前にリサーチして、どの申請を電子化するかを選ぶことも重要なポイントです。
電子化を進める中で、申請フォーム作成よりも大変だったのは、電子化に向けた環境づくり。申請項目や添付資料、決済方法を見直したり、内容によっては規則の改正を依頼したりする必要がありました。紙の申請を単純にデジタル化するのではなく、既存の業務フローを見直して再構築する意識で取り組む必要があるとのこと。
公式LINEの今後の展望 宮若市は、市の公式LINEの友だちになっていれば、市役所に行かなくてもほとんどの用事は手元で完結することを理想とし、今後も友だち募集の施策を強化。情報発信や窓口の機能をLINEに集約し、様々な問い合わせに対応するコンシェルジュのような機能の強化にも取り組む考えです。
現在、宮若市ではChat GPTをはじめとした各種AIツールを業務で活用するための実証実験にも取り組んでいます。市の公式LINEとの連携も視野に、AIを活用した新たな総合窓口について研究し、今後は自治体の活用モデルを提案していくそう。
まとめ 今回のセミナーでは福岡県宮若市の事例をメインに、スマート公共ラボを導入して良かった点、課題と感じている点も含めて紹介していただきました。実際に活用している自治体の取り組みや感想は、これから導入を考えている自治体職員の方の参考になるかと思います。住民と職員の双方にとって使いやすいスマート公共ラボは、デジタル化を進める際の大きな足がかりとなるはずです。
プレイネクストラボは今後も、LINEアカウントを活用した「with LINE SMART CITY GovTech プログラム」による充実した機能と、公的個人認証に対応した「電子申請」によって、行政サービスのデジタル化を実現していきます。
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