2024年12月18日(水)、TikTok Japanは京都市と共催で、「京都で働く・地域の魅力発信」をテーマに、京都市内の地域企業と大学生を対象としたショート動画の情報発信に関する企画を立案するワークショップ「CBC MEETUP NIGHT ~若者の視点で京都のローカルな魅力を引き出そう!~」(※)を開催しました。 ※CBCは、Community Based Companies(地域企業)のこと
本ワークショップは、同年11月22日(金)に開催した「TikTok成功事例から学ぶ!地域企業のためのショート動画活用セミナー in 京都 」に続く第2弾で、地域企業がデジタルネイティブ世代である若者との対話を通じ、若者の視点で魅力発信について考えることを目的として実施しました。地域企業は若年層の視点を取り入れた発信方法を学び、若者は地域企業の魅力や事業内容への理解を深めるとともに、将来に向けショート動画発信に関する企画力を磨くことができます。当日は9社の地域企業と、京都市内の学生をはじめとする19名が参加し、約2時間にわたって活発に話し合いました。
京都市では、規模の大小に寄らず、地域に根差し、地域とともに継承・発展する「地域企業(Community Based Companies)」とその取り組みを市民ぐるみ・地域ぐるみで応援するため、「京都市地域企業の持続的発展の推進に関する条例」を2019年4月1日に施行しました。本企画は、地域企業振興や人口減少・担い手不足といった課題解決に向けた取り組みの一環です。
京都市産業観光局地域企業イノベーション推進室地域企業振興係長の野沢陽子氏
開会にあたり、京都市産業観光局地域企業イノベーション推進室地域企業振興係長の野沢陽子氏があいさつ。京都市の企画で広報やマッチングのイベントをした際、若者たちから「京都の地域企業のことを知らない」「企業の出す情報が自分たちが求めている情報じゃない」「地域企業の情報が自分たちに届いていない」といった声を聞いたといいます。それならば「若者目線で地域企業の魅力発信企画を考えてもらおう」ということで、若者目線で地域企業の魅力を発信するためのワークショップを開催することになった、とイベントの趣旨を説明しました。
情報の「出し手側」と「受け手側」のギャップをどう埋めるか 続いて西日本旅客鉄道(JR西日本)京滋支社の別所弘茂氏がモデレーターを務め、京都市をはじめとする地方自治体や企業などのショート動画を数多く手がけるシェイクトーキョー代表取締役の汐田海平氏、『京都の地域と、京都の若者を、「カワイイ」で繋ぐ』iroiro kyoto 代表の大谷穂高氏が、ワークショップを始めるにあたり、企業と若者がお互いの解像度を上げることを目的として、ブレインストーミングセッションを対談形式で実施しました。
JR西日本京滋支社の別所弘茂氏
モデレーターの別所氏は、「JR西日本は鉄道だけでなくいろいろな事業をやっているが、学生の方々には知られてない」と切り出し、まだ社会人経験がない学生の方々に仕事内容を伝えるにはどうすればいいのだろう、と問題を提起しました。
iroiro kyoto 代表の大谷穂高氏
それに対して大谷氏は、「大手企業が掲載された採用情報サイトを見ることが就職活動だと捉えている学生さんが多い」といいます。しかし、そのような就職活動はキャリアデザインの中の1つの要素に過ぎず、就職への道はほかにもたくさんある、と大谷氏は指摘します。例えば、以前大谷氏が話を聞いたある企業の若手社員は、当時その企業が人材募集をしていなかったため、直接訪問して「ボランディアでもいいので関わらせてください」と頼み込み、その後アルバイトを経て正社員になったとのことです。だからこそ「学生はもっと頭を柔らかくして多様な手段で情報を得たほうがいい」と呼びかけ、企業もそういった方々に情報を届ける工夫をすれば、お互いのミスマッチも減るのではないか、と話しました。
シェイクトーキョー代表取締役の汐田海平氏
企業は若者に対してどのようにメッセージを伝えていけばいいのか、という別所氏の問いかけに対し、汐田氏は「どんなコミュニケーションにも齟齬(そご)は生まれる」と返答。それを前提として、ショート動画でもTVCMでも、メッセージを発信するときは「情報の出し手と受け手の間にあるギャップをどうやって埋めていくのかを常に考えている」といいます。 情報を発信するときは、一度自分が受け手側に立ち、メッセージを客観的に見ることが大切だと汐田氏は強調。今回のワークショップでも、情報の出し手である企業と受け手である学生が、お互い「どのような情報を伝えたいのか」「どんな情報を知りたいのか」を出し合いその共通点を探していくと、齟齬のないコミュニケーションのヒントがあるのではないか、と呼びかけました。
若者ならではの発想で情報発信のアイデアを提案 続いて、参加企業9社に対してそれぞれ学生が2、3名つく形でグループに分かれ、グループワークを実施しました。デパートや旅行代理店のような大手企業から京都の伝統技法を生かしたサービスを提供する企業まで、幅広い企業が参加しました。 参加者が企業の情報をゼロベースから調べるところからスタート。Webを検索して公式ホームページをみたり、SNSやTikTokでの発信を見たりと、さまざまな手段で、「どんなことをしている企業か」「どのようなサービスや商品があるか」などを調べ、「どんな印象をもったか」を発表しました。企業側の担当者も、自分たちの情報発信がどのように参加者たちに受け止められているのか興味津々です。
次に企業側が、自社の商品や取り組みについて、伝えたいメッセージを学生たちに共有。先ほど学生たちが調べて知った情報とどのようなギャップがあるのかを確認しました。そのギャップをもとに、学生と企業が話し合って課題を洗い出し、その課題を解決する情報発信のテーマ設定をします。その後学生と企業が共同で、設定したテーマに対してどのような発信ができるか、企画アイデアを出し合うアイデアソンを実施。45分間のアイデア創出タイムの後、各グループがまとめたアイデアをプレゼンテーションしました。
京都の伝統的な木工芸である京指物を手がける美術木箱小島は、「京指物の素材である桐に興味を持ってもらいたい」という思いがありました。そこで学生たちは「桐箱のふたがゆっくり閉まる様子」をショート動画で紹介することを提案。桐箱はゆっくり閉まれば閉まるほど精巧につくられていることを示すそうです。「焚火の炎を眺めるような癒やしの感覚で見られるかもしれない」と若者ならではの感覚に、登壇者からも納得の声が上がりました。
福祉施設を運営する社会福祉法人 健光園は、採用活動に課題を抱えていました。まず選択肢の土台に上がるために知名度を上げるアイデアを考えました。この施設では、入所者のポートレート写真を撮影しています。そこで学生たちは、写真を撮っている様子を撮影し、ショート動画で公開することを提案。福祉施設であること、採用活動をしていることを前面に押し出しすぎず、ショート動画をきっかけに興味を持ってもらえるのでは、とプレゼンテーションしました。 EV(電気自動車)などの研究開発を行っているピューズは、企業秘密が多く公の場で業務について語れることが少ないという課題がありました。またBtoB企業のため、学生からの知名度も高くありません。そこでまず会社名を知ってもらうために、TikTokでインパクトのあるキャッチコピーを使って動画を投稿し、視聴者に覚えてもらうというアイデアが出ました。ピューズでは展示会などで側面に大きな窓を備えた自動運転EVを展示しており、それを紹介するときに企業担当者がふと口にした「走る観覧車」という言葉をキーワードに、走行シーンやインテリアなどを紹介することで知名度が高められるのでは、と学生たちはプレゼンテーションしました。 参加企業それぞれが抱える課題に対して、参加者が「情報の受け手側」の視点から出した柔軟な発想に、各社の担当者たちも真剣に聞き入りました。 グループワークを見守った登壇者の3名も「この短時間の中でターゲットやメディアを絞って議論しており、若者の思考の柔軟さがすごい」(別所氏)、「若者が共感するトレンドもたくさん出ていた」(大谷氏)、「企画会議としてクオリティが高い」(汐田氏)と、各グループのプレゼンテーションを絶賛。別所氏は「今回のワークショップでは企業と若者が完全にフラットな関係になって、直接対話をしたことに大きな意義がある」と強調し、京都市の野沢氏も「実際の企業活動では、予算などのハードルがあるが、今回は制限なく自由に議論してもらえた。これをきっかけに就活やアルバイトなどの点ではなく、面で企業と若者が有機的なつながりをつくっていく大切さを実感し、今後につなげてほしい」と期待を寄せました。
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