出版の経緯
本書のテーマについて執筆することを決めたのは、新人時代に感じた多くの課題からです。
新人研修は確かにありますが、正直、実際の業務に直結する内容かと言うと、抽象的な内容ばかりで、そう感じることは少なかったです。そして何より、本書に書いているような「現場で使える知恵」「公務員としての常識」のようなことを、あえて教えてくれる先輩も少なかったです。
多くの先輩職員は、後輩の成長を支援する余裕がなく、目の前の仕事で手一杯でした。本書でも触れていますがそれは『仕組み』なので仕方がないことでもあります。
それならば、業務の進め方や職場での立ち回り方に悩む新人職員が少しでも早く現場に馴染めるように、具体的なアドバイスをまとめて私が作ろうと思ったのが、本書出版のきっかけです。
本書を簡単に表現すると
本書のテーマをシンプルに言えば「私が新人の頃に知っておきたかったことまとめ」です。行政の現場に足を踏み入れてすぐに直面する数々の壁や課題、その中でも特に「知っていればもっとスムーズに進められたのに」と後悔したことを中心にまとめています。
公務員としての日常的な業務は、法令遵守への気遣いや膨大な書類作成、そして調整業務といった「細かいけれど絶対にミスが許されない」業務が大半を占めます。新人職員にとって、この複雑な業務をこなしながら自ら学び取っていくことはかなり難しいことだと思います。
さらに「配属ガチャ」と揶揄されるように、配属される部署ごとに得られる知識に大きな差や偏りがありますが、本書では市役所職員として知っておくべき知識を分かりやすく、どの部署に配属されていても関係のある内容を広く紹介しています。
また、行政業務においては、上司や同僚とのコミュニケーション、さらに市民との信頼関係を築くための姿勢や対応も非常に重要です。
このように「仕事の進め方」だけでなく、「職場での立ち回り方」や「人との関わり方」についても、本書は重点的に取り上げています。新人の時期は、誰にとっても苦しい時期ですが、こうした知識をしっかりと身につけることで、将来のキャリアに大きな影響を与えることは言うまでもありません。
本書の特徴・読み進め方
本書の特徴は、大きく「仕事編」「用語編」「その他編」に分かれているため、非常に読みやすく構成されています。これにより、自分が直面している課題に応じて必要な部分をすぐに見つけ、実践することができるようになっています。お好きな部分から読み始めていただければと思います。
《仕事編》
業務の進め方や時間管理、報告書作成のコツなど、日々の業務で即実践できる具体的な方法が詰め込まれています。
《用語編》
行政特有の専門用語や概念についての解説を通じて、新人がつまずきやすい部分をカバーしています。
《その他編》
組織内外でのコミュニケーションや、職場での心構えについて深掘りしています。
また、本書では、ただ業務をこなすだけでなく、いかにして効率よく仕事を進め、周囲との信頼関係を築きながら成長していくかに重点を置いています。
新人時代に重要なのは「完璧を目指さず、まずは動くこと」です。本書では、このような心構えを持ちながら業務に取り組むための具体的なポイントを簡潔に示しています。
新人職員のみなさんへメッセージ
新人職員のみなさん、まずは新しい環境で日々奮闘していることに敬意を表します。
最初は不安や戸惑いが多いかもしれませんが、それは誰もが経験することです。重要なのは、その困難をどう乗り越えて成長していくかです。本書に書かれている66のポイントは、私自身が経験し、試行錯誤の末に得た知識や知恵です。これを参考にして、少しでも早く現場に慣れ、効率的に仕事を進められるようになってほしいと思います。
また、新人時代は多くの失敗がつきものです。しかし、失敗を恐れずに挑戦し、そこから学ぶ姿勢を持ち続けることが、やがて大きな成長につながります。焦らず、少しずつでも着実に進歩することで、自分のペースで成長していってください。この本が、みなさんのキャリアの第一歩を支える一助となれば幸いです。
そして、未来の自治体を支える存在として、日々成長していく姿を楽しみにしています。みなさんの成功を心から応援しています。
◎お知らせ
小柳 至さんのX
小柳至|市議会議員の財政知識を底上げ:https://x.com/koyanagi_g
その他の著書
『市議会議員必読!議員として最低限知っておきたい自治体の財政知識』(Kindle版)