


複雑すぎる税制・課税業務をわかりやすく紐解いた初任者のための実務書でありながら、さらに一歩先に進むためのヒントも盛り込みたい―。こんな想いを込めた公務員本を長岡京市 職員の清原 茂史さんと神戸市 職員の原田 知典さんがこのほど共著で出版しました。今回ご紹介する『自治体の課税担当になったら読む本』(学陽書房)です。同書のポイント、出版の“裏側”を清原さんと原田さんがお届けします。
これまでなかった課税業務の入門書
はっきり言って、税制は難解です。「固定資産税○○人分を課税ミス」といった課税誤りの報道もよく目にします。あってはならないことですが、課税業務を経験した身としては気持ちもわかるというぐらい制度が複雑です。
本書『自治体の課税担当になったら読む本』(学陽書房)は、そんな難しい内容を初任者にわかりやすく説明した本としては、随一ではないかと自負しています。
制度の大枠、業務の全体像をイメージしてから各論の細かい説明を展開するという構成とすることで、読んでいて迷子にならないように心掛けました。また、多く登場する専門用語も、できるだけかみ砕いて紹介し、巻末に用語集を付けました。
他にも図表を多く使ったり、Q&A事例集を付けたりするなど、初任者の方は最初に是非読んでもらいたい一冊となっています。

本書の表紙カバー
本書の目次 |
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“当たり前レベル”を上げたい
本書の狙いは、新たに課税業務を担当することになった方が少しでも早く業務に入って、正しい課税業務を行えるようになるための手助けをすることにあります。
しかし、もう一歩踏み込んで、業務の質を向上させ続けるという視点を持ってもらいたいという想いも込めました。
本書は入門書でありなりながらも、第5章「一歩先に進むための+α」で業務改善のヒントをお伝えしています。「当たり前レベルを上げたい」、そんな願いも織り込んで執筆しました。
清原さん~裏テーマは「越境」
よく聞かれる「出版に至った経緯」について、紹介させてください。この本が産まれるまでには、こんな経過がありました。
- 清原:Webサイト「隣の公務員」に「固定資産税課税というお仕事」を寄稿(全10回連載)
- 清原:同じWebサイトに自治体通信Onlineにも寄稿連載している島田 正樹さん(さいたま市 職員)の『公務員の働き方のデザイン』(学陽書房)の感想を寄稿
- 『公務員の働き方のデザイン』の編集者さん:2.を見つける→1.に辿り着く
- 編集者さん:清原に「話が聞きたい」として連絡
- 清原:原田さんを紹介し、出版の話に発展
私と「隣の公務員」の出会いは「よんなな会」というイベントでした。また島田さんとは、「二枚目の名刺」という活動をされていたときに、お話を聞きに行ったのがご縁でした。そして、本書の共著者である原田さんとも「よんなな会」で出会っていて、その後も「オンライン市役所」で交流を続けていたというご縁がありました。
このように、この本が産まれるきっかけは、職場から「越境」したところでの人と人とのつながりでした。人とのつながりが機会を生む、そのような意味でも、自身の所属する組織の外に目を向けることには大変意義があると感じています。
このことは、先に触れた第5章「一歩先に進むための+α」やコラムの中で取り上げており、読者の皆さんに伝わればとても嬉しく思います。
原田さん~出版後のお話(反響)
この本を出版後、多くの方から感想をいただきました。「知識ゼロの人でも読むことができる」「この本の内容で研修をしてほしい」などです。実際に、本書の出版を機に、清原さんはJIAM(全国市町村国際文化研修所)で固定資産税の研修講師を務め、日程等の都合で実現しなかったものの、私には公務員向けにeラーニング研修プログラムを提供している企業から研修講師依頼がありました。
いくつかのオンライン記事でも、この本は紹介されています。たとえば、このたびの記事を掲載していただいている自治体通信Onlineでは、「税務担当の服装」について考えるというテーマで、元東京都職員/イメージコンサルタントの古橋香織さんに、この本を参考にした記事を執筆していただきました。
(参照:【連載】自治体職員の「装合計画」#15~「税務担当の服装」について考える)

初任者のための実務書であると同時に業務の質を向上させ続けるヒントも詰め込んだ
今後は、オンライン市役所で、初任者向け研修を企画することなども検討しています。
この本を手に取っていただいた方が、複雑な税制と課税業務について理解を深め、さらに業務改善などに取り組み続けていく、その一助となれば幸いです。