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初の「シティプロモーションアワード」で13自治体が受賞

    初の「シティプロモーションアワード」で13自治体が受賞

    【自治体通信Online レポート】
    CPの第一人者・河井教授が語る「アワードの意味と役割」

    地域に関わる人々の幸せにつながる的確なシティプロモーションを行っている地方自治体等を積極的に評価・顕彰する「シティプロモーションアワード」(以下、アワード)がこのほど発足、13自治体が記念すべき第1回アワード金賞を受賞しました。ここではアワードの概要をレポートするほか、アワードの創設者でシティプロモーション(以下、CP)の第一人者である河井 孝仁・東海大学文化社会学部 教授(アワード委員長)に取材。アワード創設の想いや狙い等をお届けます。

    河井教授らが審査

    アワードの主催は、河井教授のほか、合同会社政策支援の細川 甚孝代表(アワード副委員長)、島根県立大学 地域政策学部の田中輝美准教授(同審査員)、東京都市大学 都市生活学部の西山敏樹准教授(同)、一般財団法人地域活性化センターメディアマーケティング マネージャー 兼 月刊「地域づくり」副編集長の畠田千鶴さん(同)ほか有志21名で構成された任意団体。一般社団法人日本経営協会、合同会社政策支援、公共コミュニケーション学会が後援しています。

    第1回アワードには35団体が応募し、河井教授らの厳正な審査によって次の13自治体が金賞を受賞しました。

    <第1回アワードの受賞自治体>五十音順、凡例=※は特別賞、カッコ内は都道府県名
     足立区(東京)
     尼崎市(兵庫)
     小美玉市(茨城県)
     春日部市(埼玉)
     北本市(埼玉)
     佐久市 ※未来創造賞(長野)
     多度津町(香川)
     田辺市 ※人材育成賞(和歌山)
     中井町(神奈川)
     八王子市(東京)
     彦根市(滋賀)
     福知山市(京都)
     富士市(静岡)
    ※各自治体の取り組み内容はシティプロモーションアワードのサイト(https://www.cpaward.net/winner)を参照

    オンライン形式で行われた表彰式の模様とアワードのロゴ

    「説明できるシティプロモーション」

    CPの現状についてアワード創設者で委員長を務める河井教授は「近年、地方自治体では地域の持続的発展を目的に、地域の魅力を創出し、地域内外に効果的に訴求することにより、人材・物財・資金・情報などの資源を地域内部で活用可能とするCPが積極的に行われています」と解説します。

    事実、専門部局を創設する等してCPに力を入れる自治体は年々増加しており、いわば“CPブーム”が起きています。

    しかし、見えてきた課題もあるようです。それは、「具体的に、何をすればいいのかわからない」「どんなKGI(最終ゴールや最終到達目標の指標)を設定すべきなのか、わからない」といったこと。SNS発信や観光PR映像の制作、“ゆるキャラ”の作成といった、いわゆるハコモノ行政に通じるような“モノづくり”でとどまっているCP事例も少なくないようです。

    なぜ、こうした“迷走”が生まれるでしょうか?

    その理由について河井教授は「CPのそれぞれの取り組みが、データとロジックモデルによって、地域に関わる人々の幸せの実現につながることが説明されていないためです」と指摘します。

    そこで、「的確なCPを行っている地方自治体等を積極的に称揚するとともに、CPに注力している他の自治体に有益な参考材料を提供する」(河井教授)ため、アワードが創設されました。

    定量的データとロジックで『説明できるCP』、戦略性のあるメディア活用に基づくCPを行っている自治体を顕彰し、そうした取り組みがほかの多くの地域でも実現することを期待して(アワードを)立ち上げました」(河井教授)

    個別の優れたCP事業を顕彰するだけではなく、再現性や継続性のあるCPの輪を全国に広げていくことがアワードの役割のひとつだと言えそうです。

    受賞自治体の評価シートを公開するワケ

    ところで、前出の河井教授のコメントに出てきたキーワード「説明できるCP」は、どうすれば実現可能なのでしょう?

    その指標となるのがアワードの審査項目(評価シート)です。

    審査項目は
    ①目標設定
    ②ブランド構築
    ③ターゲット
    ④競合または連携
    ⑤シティプロモーションを実現するメディア活用の的確性
    ⑥PDCA
    ⑦内部理解
    ⑧実験的活動の把握
    ⑨目標実現
    上記の9項目に分かれ、さらにこれらの大項目ごとに複数の細かいチェックポイントを設定。応募書類審査のほかオンラインまたは訪問調査により、約全60項目にわたって厳正に審査します(審査項目は下の「シティプロモーションアワード評価シート」を参照)

    アワードの評価シート

    見方を変えると、アワードの審査項目にしたがってCP事業を組み立てることで「データとロジックモデルによって説明されている的確なCPの取り組みが実施できる」とも言えます。

    アワードを受賞した自治体の評価シートはシティプロモーションアワードのサイト(https://www.cpaward.net/)ですべて公開・ダウンロードでき、外部からも「この取り組みのどこが、どのように評価されたのか」がわかるようになっています。

    評価シートからは、成功事例が生まれた“裏側”の着眼点や取り組み、庁内調整のあり方等をうかがい知ることでき、的確なCPを行うための“生きた教材”として活用できそうです。

    惜しくも選に漏れた自治体等に評価シートの内容をフィードバックしていることも、アワードのもうひとつの特徴です。

    「選外になってしまった自治体へのフィードバックが重要だと思っています。それがアワードの目的でもあります」(河井教授)

    アワードは応募団体のすべてに“CPの本質を伝える”場になっているようです。

    ~アワード創設者の河井教授に聞く~
    “まちの人を幸せにするCP”を実現するため「元気な職員」を増やしたい

    河井教授

    シティプロモーションを担当している自治体職員のなかには、動画作成やイベント企画といった慣れない仕事に意味を見いだせず、消耗し、悩んでいるケースがあるようです。
    確かに、それは自治体職員がすべき仕事ではないと私も思います。そもそもシティプロモーションは“まちの人が幸せになるツール”。担当職員が自分の仕事に意味を見出し、「いかに自分の仕事が地域に必要とされているのか」を実感できなければ、まちの人を幸せにする的確な事業はできないのではないでしょうか。
    そのためには「なぜ、この取り組みを行うのか、その意味を説明できるシティプロモーション」であることが必須だと思います。
    自分が担当している仕事には意味があり、必要とされていると感じることができれば、担当職員も元気にイキイキと仕事ができるはず。そんな元気な職員を増やしていきたい、と思ったこともアワード創設の理由のひとつです。
    イキイキした職員を増やし、的確なシティプロモーションを通じて地域の価値が上がっていく。今回、アワードを受賞した自治体にはそんな好循環が共通しています。その輪を全国に、もっと多くの自治体に広げていきたいですね。
    これまで自治体はエピソードでものごとを進める傾向がありました。そうした従来の文化から脱却し、定性的なストーリーではなく定量化されたデータに基づいてさまざまな事業を進める風土づくりにもアワードを通じて貢献できればと思っています。

    今年のアワードも要注目!

    2022年の第2回アワードの応募受け付けは6月から開始予定しています(詳細はシティプロモーションアワードのサイトで発表)。コロナ禍で満足なCPができなかった自治体も多かったと思いますが、逆にwithコロナ、アフターコロナを見据えた新しいカタチのCPが全国で生まれていそうです。今年のアワードも間違いなく要注目です。

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