自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 自治体職員寄稿
  3. 霞が関を筆頭に「職員向け資産形成セミナー」を実施する自治体が拡大中
自治体通信Online Report
公務員の“お金事情”レポート

霞が関を筆頭に「職員向け資産形成セミナー」を実施する自治体が拡大中

    自治体職員の「資産形成意識」が高まっています。ある調査では公務員の資産形成に対する関心や金融商品保有率は高いとの結果になっているほか、「職員向け資産形成セミナー」を実施する自治体も拡大中。そこで、公務員の間で資産形成意識が高まっている背景等を取材しました。そこから見えてきたものとは?

    公務員300人以上が来場した「霞が関 資産形成セミナー」

    大きな背景は岸田政権の「資産所得倍増プラン」。同プランの実現に向け金融庁では資産形成や金融知識を学んでもらうセミナーを民間向けだけではなく公務員向けにも実施しています。

    昨年6月には国家公務員向けの「霞が関 資産形成セミナー」を開催(金融庁、厚生労働省、内閣官房の共催)し、新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)について専門家が解説。会場には300人以上の中央省庁の職員が来場する等、資産形成に対する職員の関心の高さがうかがわれました。

    同庁では企業や自治体がセミナーを開催する場合、金融庁や財務局職員のほか外部からの講師派遣を支援しており、各地域の財務局では昨秋頃から資産形成をテーマにした自治体向け「出前セミナー」を順次実施。ある財務局では「今年度内には約20自治体で職員向け資産形成セミナーを実施する予定です」(ある財務局担当者)とのことです。

    公務員のiDeCo認知率・利用率は高い!

    「iDeCo等に対する公務員の関心は高い」―。こんな事実をうかがわせる調査結果を発表したのが一般社団法人 投資信託協会(以下、投資信託協会)です。

    投資信託協会では昨年2月に、全国 20歳~79 歳の男女2万人を対象に、NISA、iDeCo等の税制優遇制度、ETF・J リートの利用実態・意識等について調査した「【2022 年 NISA、iDeCo 等の制度に関する調査】」の結果を発表。同調査によれば公務員のiDeCoに対する認知率(「名前も制度の内容も知っている」と「名前は知っているが、制度の内容はよく分からない」を足した比率)や金融商品保有率は他の職業に比べて高く、iDeCoの利用率も高いことが明らかになりました。

    少し詳しくご紹介しましょう。まずiDeCoに対する認知率について。全体の認知率は 66.4%ですが、職業別では公務員の認知率が82.3%と比較的高くなっています(下グラフ参照)

    投資信託協会「【2022 年 NISA、iDeCo 等の制度に関する調査】」より引用し、自治体通信Onlineが加工

    その一方で「名前も制度の内容も知っている」と回答した公務員は40.6%と他の職業と比べておよそ10~30ポイント以上高いものの、「名前は知っているが、制度の内容はよく分からない」と回答した公務員の比率は他の職業とそれほど大差ないことがわかります。

    次のグラフで紹介しますが公務員のiDeCo利用率は相対的に高いことから、iDeCoに対して“前向きな認知”をしている公務員が多い一方で「名前は知っているが、制度の内容はよく分からない」とする公務員も少なくなく、「制度の内容を詳しく知りたい」と考えている公務員は潜在的に多いのではないかと推測できそうです。

    冒頭で紹介した専門家が制度の内容等を公務員向けに解説した「霞が関 資産形成セミナー」が盛況だったのは、そのためではないでしょうか。

    公務員の資産形成意識が高い背景とは?

    次に、公務員の資産形成意識の高まりをうかがわせるデータとして、公務員のiDeCo利用率を見てみましょう。

    同調査の「iDeCoでの現在の金融商品保有率」を見ると、「口座を開設して、現在も金融商品を保有している(掛金を拠出している)」のは全体では11.7%でしたが、公務員では20ポイント以上も多い約3倍の32.8%に上りました(下グラフ参照)

    投資信託協会「【2022 年 NISA、iDeCo 等の制度に関する調査】」より引用し、自治体通信Onlineが加工

    人事院は国家公務員の退職金について定期的に減額勧告しており、これに準じるかたちで地方公務員の退職金額(全職種)もこの10年で約400万円以上減少(全職種)しているとされます。一方で公務員は民間と異なり営利目的の副業は実質的に禁止されているほか投資活動も制限されています。また、たとえば制限されていない株式保有・売買についても、公務員はさまざまな未公開情報を知り得る立場にいるため慎重に“自主規制”せざるを得ないのが実態です。

    こうした背景から「老後資金等のためにお金を増やすにはiDeCo等が有効」と思考する公務員が増えているのは間違いないでしょう。

    公務員はどんな「資産形成セミナー」を受講すべき?

    では、資産形成のためにNISAやiDeCoの利用をこれから検討したい自治体職員は何から手をつけるべきでしょうか。まずは情報収集ということになると思います。近年は老後の備えなどを理由にNISAを利用し始める若年層が多く、SNSを通じて活発に情報交換が行われています。しかし、SNSの情報はオーソライズされたものではなく、公務員向けに特化した資産形成に関する情報もそれほど多くありません。

    そのため、公務員向け資産形成セミナーに対する需要はますます強くなっていくことが予想されます。では、自分が所属している自治体が職員向け資産形成セミナーを実施していない場合、どんなセミナーを受講すべきでしょうか。

    冒頭で紹介した金融庁などが昨年6月に実施した「霞が関 資産形成セミナー」では金融商品に対して中立的な講師が登壇し、受講者は全員国家公務員であることから「公務員ならでは」の事情に寄り添ったセミナーが実施されました。こうした条件が担保されているセミナーかどうかをチェックするとよいのではないでしょうか。

    いち早く情報をお届け!
    メルマガ登録はこちらから

    本サイトの掲載情報については、企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。

    提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。

    電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
    自治体通信 事例ライブラリー
    公務員のキャリアデザイン 自治体と民間企業の双方を知るイシンが、幅広い視点でキャリア相談にのります!