

寝屋川市(大阪)職員の岡元 譲史さんが滞納整理というハードな仕事を通じて得た経験、気づきなどをシェアする本連載。今回は失敗して自分に自信がもてなくなったときの心のもちようについて。そんな辛くて悲しい時こそ「過去の栄光」を思い出しましょう!
「絶望的な状況」を救うのは?
スポーツの祭典、パリ五輪が絶賛開催中ですけど、皆さんはご覧になられていますか? アスリートたちが真剣勝負に挑む姿には手に汗握りますよね。
勝負の世界は勝者と敗者を残酷なまでにわけます。勝利に歓喜する選手の陰には敗れて悔し涙を流す選手が絶対に存在するわけで、その心中を思うと胸がズキンとします。「自分にも悔しい負けや失敗があったよなぁ…」と思い出したくもない過去を思い出しながら(苦笑)
今回はパリ五輪での敗者たちの姿を見ながら思った「絶望的な状況の乗り越え方」について。ズバリ「そんな時こそ、過去の成功体験を大事にしよう」というお話です。
心の支え
よく「過去の成功にしがみついていると、新たな挑戦ができない。そんな奴はダメだ」的なことがビジネス書等で書かれていますよね。僕も過去にそうアドバイスされたことがあるんですよ。「滞納整理で成果を上げたからって、その成功体験にしがみついていたらダメだよ」って。
確かに、一理ある。一理あるんですが、僕はそのアドバイスに逆らって、成功体験を捨てずに、大事に取ってあります。
じゃあ、大事に取ってあるその成功体験を、どんな風に使うか? ということなんですが、告白すると、「失敗が続いたり、うまくいかないことが続いたりした時の、心の支え」として有り難く使わせてもらっています。
実際、異動して慣れない状況で必死にもがくけれど、うまくいかないことが続いて、ミスにミスが重なって、追い込まれて自分に価値を見出せなくなった時に僕がしたことは、「過去に講師として実施した研修のアンケートを取り出して、僕のことをほめてくれているコメントを読む」というものでした。
「大丈夫、大丈夫。今は確かに力を発揮できていないけれど、自分にはこうして、誰かにほめてもらえる価値があって、この世に存在していいんだ」ということを再確認する。
少なくとも僕は、そうして絶望的な状況をなんとか乗り越えました。成功体験にしがみついて、生き延びたわけですね。僕の研修を受講して、僕のことをほめてくださった皆さんに、改めて感謝申し上げます(笑)
万人に通じる成功法則なんてない!
鋼のメンタルを持ち、心の支えなんか何もなくてもやっていける強い人であれば、成功は一日で捨て去ってもいいでしょうし、向上心を奪う成功体験は邪魔なのかもしれません。
しかしながら、僕のような凡人には、そんなノーガード戦法は危険過ぎます。傷ついた時に支えとなるものを手元に置いておかないと、安心して挑戦もできない。そういう人もいていいでしょ。多様性の時代ですからね。

“ノーガード戦法”は危険過ぎ!
ついでに言っておきたいなと思うのは、「本に書かれていることや、人からのアドバイスを鵜呑みにしていい時と悪い時がある」ってことですね。
万人に通じる成功法則なんてないし、自分のコンディションや置かれた状況、周囲の環境は唯一無二なわけですから、誰かの成功体験が今の自分にジャストフィットする可能性の方が低いんじゃないかと。もちろん、「参考にする」「取り入れる」のは非常に大切ですし、大賛成です。
「今、うまくいってないなら、自分の考えを捨てて、成功者のやり方を100%真似しろ」みたいなやり方も、上手くいく場合もあれば、失敗する場合もありますしね。
捨てずに少しは取って置く
だいたい成功した人にスポットが当たりますけど、うまくフィットせずに壊れた人もいるのでは? でも、だからといって、その成功者は助けてくれない。どこまでいっても、自分の人生の決定者は結局、自分自身なんだよなぁと思いますね。
僕なりにまとめると「成功体験は、後生大事に抱えすぎると重くて次の挑戦の邪魔になるかもしれないけど、全部捨てるんじゃなくて、自分が弱った時の支えになる分ぐらいは取って置いとこうぜ」ってことになります。
なので、僕は「過去の成功にしがみつくな!」…なんて言わないよ、絶対(笑)
■ 岡元 譲史さんの著書紹介
