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自治体職員のための「心の運転方法」#16(寝屋川市 職員・岡元 譲史)
心が折れそうになったら…

時には“自分の価値”を最優先して図々しくあれ

    時には“自分の価値”を最優先して図々しくあれ
    プロフィール
    岡元 譲史
    《本連載の著者紹介》
    寝屋川市 職員
    岡元 譲史おかもと じょうじ
    寝屋川市 教育委員会事務局 社会教育推進課長。1983年生まれ。2006年に同市入庁後、12年間にわたり、様々な債権の滞納整理に従事し、市税滞納額70%(約25億円)削減に貢献。2024年より現職。「滞納整理に価値を見出して伝えることで、受講者の不安や葛藤を取り除く」という独自スタイルによる研修を全国で実施し、9年間で延べ6,300人が参加。受講者が給食費の滞納ゼロを達成するなど、すぐに使えて再現性の高いノウハウを伝えている。執筆に「滞納整理のための空地・空家対策」(『税』2018年2月号)など。「地方公務員が本当にすごい! と思う地方公務員アワード2018」受賞。プライベートでは2男児の父。PTA会長を務めるなど地域の活動も行う。2021年5月21日に『現場のプロがやさしく書いた 自治体の滞納整理術』(学陽書房)を刊行。同書の印税は「全額、寝屋川市の発展のために使う」としている。

    寝屋川市(大阪)職員の岡元 譲史さんが滞納整理というハードな仕事を通じて得た経験、気づきなどをシェアする本連載。今回は、理不尽なまでに怒鳴られて心が折れそう…そんな息が詰まる苦しい状況を切り抜ける“奥の手”について。時には「自分を守ること」を最優先したっていいんです!

    「理不尽に怒鳴られた」はどんなチャンス!?

    今回は春先に「寝屋川リーダーズ」で『これからの時代に求められる“ほめるリーダー”になろう』というタイトルでお話させていただいた特別講義の内容の一部をお伝えします。

    「寝屋川リーダーズ」とは、寝屋川市在住・在学・在勤の青少年を対象とした寝屋川市の社会教育活動で、年齢や所属組織をこえて、ボランティア活動だったり、キャンプだったり、勉強会だったりを通じて学び合い、互いに成長することを目的としています。「小学生クラブ」「中高生クラブ」、そして18歳以上から概ね30歳ぐらいまでを対象とした「ユースクラブ」があり、特別講義はユースクラブで行いました。ユースクラブは、小学生クラブ・中高生クラブの子達を指導する立場にもなります。

    90分、熱を込めて話をしました。特にウケが良かったのは「これは何のチャンスでしょう?」というテーマでお話した「『人から理不尽に怒鳴られた』ことを、どんなチャンスと捉えることができるか?」のくだり(この質問は僕が参加している「一般社団法人 日本ほめる達人協会」が実施している検定試験より拝借したものです。一見、ピンチに見える状況をチャンスと捉えることができるか? という頭の体操ですね)。

    リーダーという立場になると、時に厳しい言葉を浴びせられることがあります。クレーム対応などで「責任者を出せ!」と言われた場合、矢面に立つのもリーダーの役割ですよね。それに備えておこうという趣旨です。

    私は、「滞納整理」という人からお金を徴収する仕事を長年、担当していたこともあって、窓口で怒鳴られることが多々ありました。こちらのミスが原因で迷惑をかけた結果、怒鳴られて反省が必要な場合もありましたが、時には「なぜ、こんな理不尽なことで怒鳴られなければいけないのか?」「滞納に陥ったのは、あなた自身の行動の結果であって、それをこちらに怒鳴り散らすのは責任転嫁では?」と疑問に思うような場面もありました。

    「心が折れそう…」そんな時の奥の手!

    そんな私が「理不尽に怒鳴られた」ことにチャンスを見出すとしたら?

    参考解答例は3段階に分かれていて、「自分の心身の状態によって、最適解は変わる」という前置きから始まります。

    ひとつ目の参考回答例は「指摘されたことに感謝し、今後は予防策を講じて怒鳴られない状況を作る」チャンス。自分の心身の調子が良い時は、「理不尽に怒られたことにすら感謝できる」ということですね。相手が何に怒りを覚えたのか? を把握することで、今後、同様の状況が起こらないような対策を講じることができるチャンスと捉えられます。とっても前向き!

    ふたつ目の参考解答例は、「自分は、こんな風に人を怒鳴りつけるような人間にならないようにしようという反面教師にする」チャンス。そこまで調子がよくない時は、「感謝できる程の余裕はないけど、せめて反面教師として捉えようぜ」という話ですね。

    最後、3つ目の参考解答例は「心を図太くして、心臓に毛を生やす」チャンス(笑)。相手を真っ向から否定して、怒鳴り声に耳を傾けない姿勢・態度を身に着けるチャンスと捉えることができます。

    この3つ目に関しては、「こっちにも全然余裕がなくて、心が折れそうなぐらい調子が悪かったら、まずはなりふり構わずに、自分を守ることを最優先しよう」という話をしました。

    この場合、表面上は謝ったり、頭を下げたりしますが、心の中では「自分は間違っていない。理不尽なことに怒鳴ってくる相手が悪いだけだ。自分が傷つく必要は決してない」と、自分に言い聞かせて心の平安を保ち、精神的に落ち込まないことに集中するわけですね。

    少なくとも私には、3番目の参考解答例のような時期がありました。そうでもしないと乗り切れなかった。怒鳴ってくる相手に寄り添って、適切に対応できれば良かったのかもしれませんが、今、振り返っても「あれが、あの時の最適解だった」と、後悔は一切ありません。

    公務員になる人やこういうリーダーズ事業に参加するような子達は素直な性格の人が多いので、こんな風に“相手のせいにする”ことってなかなかできないかもしれないんですけど、「相手のせいにするというよりは、自分の価値を守ることを優先するんだよ」と伝えると、腑に落ちているようでした。

    あなたには絶対に価値がある

    人生において、どれだけ罵倒されても、自分自身が「自分には絶対に価値があるんだ」という確信・希望さえ捨てなければ、生き残れるんじゃないかと思っています。

    そして、自分自身の価値を見出すためには、時に外部の声は無視したり、受け流したり、心の中で踏みつけたりする等して、図々しくあることも必要なんです。相手の罵声をそのまま受け入れて、「自分はダメだ。価値がない」なんてこと、絶対に考えてはいけません

    これは、相手が市民であれ、同僚であれ、家族であれ、誰であれ、同じです。自分の心身の調子に合わせて、取るべき対応は変わって然るべきでしょう。もちろん、ずっと調子がよくて、どんなことがあっても「感謝」の思いを持てることがベストですが、調子には波がありますからね。人間だもの。

    というわけで、時には“自分の価値”を最優先して図々しく生きましょう!

    (続く)


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    ■ 岡元 譲史さんの著書紹介

    『~現場のプロがやさしく書いた~自治体の滞納整理術』(学陽書房)の表紙カバー

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