岡元 譲史おかもと じょうじ
寝屋川市 教育委員会事務局 社会教育推進課長。1983年生まれ。2006年に同市入庁後、12年間にわたり、様々な債権の滞納整理に従事し、市税滞納額70%(約25億円)削減に貢献。2024年より現職。「滞納整理に価値を見出して伝えることで、受講者の不安や葛藤を取り除く」という独自スタイルによる研修を全国で実施し、9年間で延べ6,300人が参加。受講者が給食費の滞納ゼロを達成するなど、すぐに使えて再現性の高いノウハウを伝えている。執筆に「滞納整理のための空地・空家対策」(『税』2018年2月号)など。「地方公務員が本当にすごい! と思う地方公務員アワード2018」受賞。プライベートでは2男児の父。PTA会長を務めるなど地域の活動も行う。2021年5月21日に『現場のプロがやさしく書いた 自治体の滞納整理術』(学陽書房)を刊行。同書の印税は「全額、寝屋川市の発展のために使う」としている。
寝屋川市(大阪)職員の岡元 譲史さんが滞納整理というハードな仕事を通じて得た経験、気づきなどをシェアする本連載。今回は嫌なもの、憂鬱なこととの向き合い方について。マイナスなことだってプラスのチカラに変えることができるんです!
実は「厄年ど真ん中」でした
私は昭和58年(1983)生まれでして、実は今年は世間で言うところの男性の大厄。厄年ど真ん中です。
厄年というのは、人の一生の中でも"大きな変化がある年"であり、肉体的・精神的・社会的にも移り変わりが大きいとされる年のこと。私と同じで今年が本厄だった女性と男性の年齢は次のとおりです。【数え年(干支):生年(西暦)】の順でまとめてみますね。
【女性】
19歳(いぬ):平成18年(2006)
33歳(さる):平成4年(1992)
37歳(たつ):昭和63年(1988)
61歳(たつ):昭和39年(1964)
【男性】
25歳(たつ):平成12年(2000)
42歳(いのしし):昭和58年(1983)
61歳(たつ):昭和39年(1964)
厄年は一般的には「よくないこと」が起こる年とされています。しかし、別の捉え方があるのをご存じですか?
実は、この「厄年」にあたる年齢について、昔は「役年」といって「神様にお仕えする大事な役目を任される年」であると捉えられていたのです。
「良くないもの」にも価値がある
「神社学」を提唱する、自由大学神社学教授(元尾道自由大学校長)の中村真さんは、次のようにおっしゃっています。
女性は19歳、男性は25歳で、一人前の大人としての「お役を担う」。
女性は30代、男性は40代で、世の中の中堅としての「お役を担う」。女性は出産、子育てという大役も担いますから、30代は重責です。
そして男性は60代で、年長者としての「お役を担う」。
私自身、ちょうど前厄にあたる昨年に課長に昇格し、本厄である今年に新設課の課長となりましたので、まさに「役を担っている」感覚があります。
このように、同じ厄年でも「何かよくないことが起こるかも」とみだりに恐れるのではなく「重要な役を担う年なのだ」と前向きな力に変えるように、物事には様々な側面・捉え方・解釈がある中で、自分自身にとって最適な、都合の良い解釈を選んでいくことで憂鬱なことでも気楽に構えることができそうですよね。
この考え方は、出来事だけでなく人やモノにも応用が可能でして、たとえば他の人にとっては“厄介”な人でも、自分にとって“役に立つ”付き合い方ができるかもしれない。誰かにとってはガラクタでも、「これは原石だ」と、磨き上げて宝物にしてしまえるかもしれません。
皆さんが何げなく「良くないものだ」と決めつけている人、モノ、起きる出来事を、今一度、見直してみてください。もしかしたら、隠れた価値に気付くかもしれません。
自分だけは自分自身の応援者であり続けよう!
大厄で思い出しましたが、私も一時期、まさに“大厄”と呼ぶべき精神状態の時期がありました。仕事のプレッシャーに追い詰められてしまって、朝、出勤しようとすると嗚咽が出たり、土日もずっと動悸が止まらなかったりと、かなり危ない水準までいった経験があります。
しかしながら、改めて振り返ってみると当時の経験や気づきは今の私にとってとても役に立っていて、まさに「厄は“役”なり」を実感しています。
当時の私はずっと、うまくいかない自分自身を全否定して、「こいつ、ほんまにポンコツやな」と心の底から卑下して蔑んでいました。「お前には存在価値がない」と。自分のことを、とにかく責めて、責めて、責め続けて、上司にも注意され続けて、そういう日々が続くと、本当に立ち上がれなくなるんですよね。
今なら、どれだけうまくいかなくても、「お前は大丈夫。たまたま調子が悪いだけで、これから全然、巻き返せる。お前のこと、ほめてくれる人いっぱいおるやん」と、自分で自分を励ます側に回れますし、そういう状態になっている子を応援することもできます。我ながら、成長を感じますね(笑)
「世界中の人間が自分のことを見捨てても、自分だけは、自分自身の応援者であり続けよう」。これが、心が折れそうだった当時の私へのメッセージです。未来は、明るいぞ!
もし、皆さんの周りで心が折れそうな人がいたら、「自分で自分を全否定しちゃいけないよ」「自分だけは、自分自身の応援者であり続けよう」そう伝えてあげてください。
『~現場のプロがやさしく書いた~自治体の滞納整理術』(学陽書房)の表紙カバー
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