5G×eスポーツとは
5Gとは、2020年春にサービスが開始された次世代型通信規格です。「超高速、大容量、超低遅延、多数接続」という特徴があり、通信や遊びの体験を大きく変える可能性を秘めています。5G環境がオンラインゲームの世界に整備されることで、ゲームデータの双方向通信がより快適になり、ライブ通信でも遅延が少なくなります。
eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、ビデオゲームを使った対戦のことです。近年ではこれをスポーツ競技としてとらえるようになっており、世界中で大きなブームを巻き起こしています。2022年に中国で開かれるアジア競技大会では、正式なメダル種目にも認定され、2024年のパリ・オリンピックでも種目入りが検討されているようです。
この5Gやeスポーツを通じたイベント・講演会が、国内でも広がりを見せています。全国で行われた実例を取り上げてご紹介します。
事例①「産学公を掲げ地域の活性化を目指す」京都府
京都府には、株式会社Donutsや株式会社モノリスソフトなど、多くのゲーム企業があります。国内最大級のインディーゲームイベントである「Bitsuumit」を開催するなど、映画やアニメ、ゲームなどのコンテンツ分野、いわゆるクロスメディアパーク整備事業に力を入れています。そのため、京都府ではeスポーツに関するイベントも積極的です。
2019年の3月9日には「京都eスポーツサミット2019 Spring」が開催されました。これは、スマホ向けのアプリケーション事業を発信している、京都が本社のポノス株式会社と京都府が共同で主宰したものです。イベント内容は、ゲーム会社の代表取締役等によるeスポーツの現在と未来、ゲーム開発者講演、プロゲーマーの世界についてのディスカッションなどです。また、エキシビションマッチでプロ選手同士の対戦や、プロ対一般参加者の対戦企画も行われました。総勢300人が参加しました。
2020年1月12日には2回目も開催。「京都eスポーツサミット 2020 Winter」と「Bitsummit 8th」の共催企画の記者発表や、クリエイターやプレイヤーそれぞれの視点からの講演やパネルディスカッション、本格的なeスポーツ対戦の体験などが行われました。
このイベントを通しての京都府の狙いは、府内の企業が開発したゲームなどを取り上げることで、ハードベンダーやVRデバイスメーカーなど、府内の企業をさらに発展・活発化させるというものです。また、ゲームクリエイターの成果を発表し、ゲーム業界やプロとの交流による人材育成を京都市が支援していくことを目標に掲げていました。
これらのサミットの中で、京都府が提唱しているのが「産学公」という考え方です。「産」はeスポーツをきっかけとした人材の活躍のフィールドを提供すること。「学」は京都府出身の優秀な人材に、eスポーツをはじめとするゲーム関連業界に興味や関心を持ってもらうこと。「公」はeスポーツをきっかけにゲーム関連業界を活発化させ、京都府全体を活気づけることとしています。将来的には一般ユーザーでも気兼ねなく楽しめるeスポーツイベントに盛り上げていきたいと京都府は考えています。
事例②「親子や若者をメインにイベントを多数開催」富山県高岡市
富山県高岡市では、2019年7月7日に、イオンモール高岡で全国都道府県対抗eスポーツ選手権の「ぷよぷよeスポーツ」県代表決定戦が開催されました。大会の参加者人数は、市内外から42人。10月にある茨城国体で文化プログラムとして開催される試合の出場者を決める闘いでした。「ぷよぷよeスポーツ」は、同色のブロックをそろえて消していく対戦型のパズルゲームです。
2019年9月8日には、古城公園本丸広場で、高岡開町410周年の記念でもある「高岡城下町フェスタ2019~モザイクアートで創る幻の高岡城~」が開催されました。ここでもeスポーツが行われています。
また、2019年9月28日、29日には高岡テクノドームでeスポーツイベント「Toyama Gamers Day 2019 / 5G Coliseum」が開催されました。北陸最大級のイベントで、富山県、富山県eスポーツ連合などが主催したものです。内容は、eスポーツを楽しむことで次世代の移動通信システムである「5G」を体感できるといったもの。ゲーム体験はもちろん、仮想現実が味わえるVRを利用した5G体験などができ、親子連れや若者にも人気の高いイベントでした。eスポーツ大会では、「ぷよぷよ」や「グランツーリスモ」などの5種目のゲームで盛り上がりを見せていました。
このように、富山県高岡市では、eスポーツの体験ができるイベントを多く開催しています。親子や若者をメインにさらなる発展が期待されます。
事例③「eスポーツの活性化&付き合い方も模索」徳島県
徳島県では、アニメやゲームなどエンターテインメント総合イベント「マチ★アソビ」開催期間中の2019年5月4日に、徳島市の東新町で「茨城国体」の中の「eスポーツ選手権」のメイン種目であるサッカーゲームが行われました。徳島代表決定戦で優勝したチームには、eスポーツでは全国初の知事杯が贈呈されるなど、大きな盛り上がりを見せました。
2019年10月26日、27日には「eスポーツステージとくしま」が開催されました。これはeスポーツで地域の魅力を多くの人に発信し、交流してもらうことを狙いとした地域活性型のイベントです。主催は徳島県、徳島eスポーツ協会で、後援は一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)です。
同イベントで行われたeスポーツは「LINE:ディズニーツムツム」「モンスターストライクスタジアム・マチアソビオープントーナメント2019」「「徳島vs沖縄」5Gによるeスポーツ・オンライン対戦」「モンスターストライクスタジアム・マチアソビオープントーナメント2019」「実況パワフルプロ野球・マチアソビ対戦会」「ぷよぷよeスポーツ・デモンストレーション対戦」「ウイニングイレブン2020・デモンストレーション対戦」「鉄拳7・マチアソビオープントーナメント2019」などさまざまでした。
このように徳島県では、eスポーツの活性化のイベントに積極的に取り組んでいます。
事例④「中心市街地を若者が集う活気ある街に」北海道旭川市
北海道旭川市では2021年に向けて、eスポーツの拠点施設を整備しています。これには、中心市街地に小中高生の子ども向けに楽しんでもらう施設を作りたいという旭川市の想いがあります。
現時点では、eスポーツやICT分野に触れ合える施設にするべく、取り組みを進めている段階です。小学校でのプログラミング教育が義務化される中、学校以外でもeスポーツを通してICTに親しんでもらうことが目的です。子どもの時からICTに触れることで、未来のエンジニアやプログラマーが旭川から育ってほしいという狙いもあります。
また、ゲームやeスポーツに関心を持つ子どもや若者に外に出てもらい、中心市街地への集客や地域活性化につなげていきたいと市は考えています。
このほか、2019年12月7日には、「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」に関する講演会が開かれました。このように旭川市では、中心市街地の活性化を軸に、eスポーツの普及に取り組んでいることがわかります。