自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 自治体向けサービス最新情報
  3. 放置自転車対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

放置自転車対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

放置自転車対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

多くの自治体がさまざまな工夫で放置自転車対策に取り組んでいます。そのなかでも実効性が期待できる対策や取り組みとは? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。
 
【目次】
■「放置自転車」の実態とは
■事例①【リサイクル】千代田区(東京都)・中央区(同)
■事例②【官民協働】板橋区(東京都)・豊島区(同)
■事例③【地域一体】静岡市(静岡県)
■事例④【住民参画】大阪市住吉区(大阪府)

「放置自転車」の実態とは

国土交通省がまとめた「平成30年調査 放置自転車の実態」によれば、駅周辺における自転車の放置状況は長期的には改善傾向にあります。

同調査の「駅周辺における自転車の放置台数の推移」を見ると、日本全国と東京都における昭和52年から平成29年(東京都は昭和50年から平成29年まで)までの放置自転車の数は、いずれも昭和56年の放置台数が最も多くなっており、その後は年々減少を続けています。平成29年の時点では全国で6万2千台、東京都で1万6千台と、いずれもピーク時の10分の1以下にまで減少しました。

駅前整備などハード面での対策のほか、放置自転車についてのさまざまな取り組みや啓発活動が実を結んだ成果だと言えますが、それでも“万単位”で放置自転車が存在していることも事実です。

次に、放置自転車について成果のあった自治体の取り組みなどを紹介します。

事例①【リサイクル】中央区(東京都)・千代田区(同)

中央区(東京都)では放置自転車の有効利用を目的として、中央区放置自転車リサイクル事業協力組合と協力し、放置自転車の一部をリサイクル自転車として販売する事業を実施しています。

これは、中央区が撤去・管理を行う放置自転車について、持ち主からの返還請求のないものの一部を協力店で点検・整備を行い、一般向けに販売しているものです。

千代田区(東京都)でも同様の施策を推進しています。自転車商組合と協働し、放置自転車を修理・再生したうえでリサイクル自転車として区内の「リサイクルセンター鎌倉橋」において、再生自転車の有料販売を行っています。原則として先着順で販売します。

事例②【官民協働】板橋区(東京都)・豊島区(同)

東京都の板橋区・豊島区では平成13年10月から平成14年2月にかけて、有効な放置自転車対策を見つけるための社会実験を行いました。少し以前のデータですが、両区の取り組みは、実効性がある放置自転車対策として、今日でも有用な方法だと言えます。

これは「いたばし・としま官民協働自転車が走るまちづくり社会実験」との名称で行われた社会実験で、駐輪場への案内・誘導をする標識の設置、啓発チラシの自転車への貼り付け、自転車専用走行レーンの設置、オートバイの駐車場への誘導などを実施し、その効果を検証しました。

原色を使うことで目立つように工夫された標識を主要な交差点に設置したほか、標識などで「自転車放置禁止区域」であることを知らせつつ、駐輪場へ誘導する動線をつくるなどしました。目立つ標識で、注意喚起と適切な誘導を行う対策は、今日でも活用できる手法のひとつだと言えるでしょう。

事例③【地域一体】静岡市(静岡県)

静岡市(静岡県)では地域一体で「放置自転車等クリーンキャンペーン」という街頭広報活動を行っています。昭和62年から継続して行われている取り組みで、平成30年11月には静岡駅北口周辺と清水駅北口周辺の2ヵ所で同キャンペーンを実施しました。

実施主体は静岡市と静岡市自転車対策協議会で、町内会・商店会・大型店などの商業関係者も多数参加し、街頭広報を中心としたさまざまな取り組みを行っています。

具体的な活動内容は、街頭における自転車等の路上放置防止指導、啓発品等の配布、商店会・大型店での放置防止啓発ポスターの貼付、館内放送での放置防止の呼びかけのほか、市中心繁華街に位置する有料駐輪場の一時利用を対象とした無料開放、放置された自転車への指導書の取り付けなども行っています。

平成30年の街頭広報では放置自転車対策キャンペーンの一環として「最寄りの駐輪場をご利用ください」などの内容が印刷されたエコバッグを啓発品として配布しました。

事例④【住民参画】大阪市住吉区(大阪府)

大阪市住吉区(大阪府)では歩行者の安全確保や環境整備を目的として、多様な放置自転車対策に取り組んでいます。なかでも特徴的なのは、CB(コミュニティビジネス)の手法を用いた、地域住民による啓発指導員の配置です。

地域住民だからわかる地域の実態に合わせた啓発を目的として、平成26年度から地下鉄「あびこ駅」で啓発指導員の配置が開始されました。駅周辺における放置自転車の台数減少が確認され、平成29年度からは南海電鉄「粉浜(こはま)駅」周辺でも同様の取り組みを行っています。

地下鉄「あびこ駅」では苅田南地域活動協議会(受託者)と我孫子東振興町会(事業依頼者)が共同で実施し、南海「粉浜駅」では大阪市住吉区東粉浜連合振興町会が実施しています。

そのほか、児童絵画路面シートの設置活動も特徴的な施策です。区内の小学校児童が描いた放置自転車啓発をテーマとした絵を路面シートにして、放置自転車が多い路面への設置を継続的に行っています。

<参照元>
国土交通省「自転車施策先進都市の紹介」「交通安全対策室 駅周辺における放置自転車等の実態調査の集計結果」等

電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー
公務員のキャリアデザイン 自治体と民間企業の双方を知るイシンが、幅広い視点でキャリア相談にのります!