岐阜県羽島市
岐阜県羽島市の「羽島市業務継続計画」は、平成28年4月に策定され、その後令和元年7月までに4回改訂されています。首長(市長)不在時には副市長・市長室長・総務部長の順で職務代行を行うこと、本庁舎が使用できなくなってしまった場合には、保健センターや防災ステーションなどを使用することが盛り込まれています。また、市役所本庁舎、防災ステーションや情報・防災庁舎内にある災害対策本部では、それぞれ非常用発電機と燃料(軽油)が備蓄されており、職員用の飲料水や食料についても十分に確保されている旨が記載されています。こうした情報は職員にとって災害時に備えた有益な情報であり、パニックにならず落ち着いて業務にあたることができると言えるでしょう。
また、住民記録や介護受給者情報をはじめとする重要な行政データについても、バックアップ方法が詳細に記載されているほか、非常時に優先するべき業務内容・考え方も記載されています。たとえば、最優先すべき内容としては職員やその家族の安全確保、初動体制を確立させることや、被災状況を把握することなどが挙げられ、次いで応急活動や重大な行事の手続き、避難生活支援の開始という流れです。
これらの業務を、誰がどのタイミング(災害発生から何時間以内)で行うものなのかが細かく記されており、災害発生時に職員一人ひとりが適切に業務にあたることができるようになっています。
愛知県豊明市
次は、愛知県豊明市の「豊明市業務継続計画」を見てみましょう。平成30年4月に策定されたこの業務継続計画は、今後やってくると考えられている南海トラフ地震を主に想定した内容になっています。南海トラフ地震が発生した際、豊明市の推定震度は6割以上が震度6強、その他の地域でも震度6弱だろうと言われており、揺れ・液状化現象によって多くの市民に影響が出ることが想定されます。
さらに、電気やガスをはじめとしたライフライン被害についても被害予測や想定復旧機関などが細かく想定されており、甚大な被害をいかに最小限に食い止め、復旧させていくかが重要なポイントであることがわかります。
これに伴い、非常時の業務継続体制としてそれぞれ対策する部を設け、さらに役割分担を行うために班を分けて細分化しているのが、豊明市の特徴です。たとえば、災対行政経営部には情報班と会計班があり、災対健康福祉部には高齢者班・福祉班・児童班・医療防疫班が設置されることになっています。それぞれの部や班の代表者も決められており、職員の参集基準も震度の大きさなどによって発令基準が異なるなど、非常に細かく決められています。
南海トラフ地震はこれまでにないクラスの巨大な地震であり、甚大な被害を想定しておく必要があることからも、豊明市ではこのような業務継続計画が策定されているのです。
山梨県南部町
続いては、山梨県南部町の「南部町業務継続計画」です。こちらも愛知県豊明市と同様、地震を想定した業務継続計画が平成30年2月に策定されました。
南部町の被害想定調査報告書によると、地震動(揺れ)については町のほぼ全域で震度6強または震度6弱、一部地域や富士川流域では震度7になると予想されており、斜面崩壊のおそれが非常に高いことも危惧されています。揺れが非常に大きいことから、南部町ではインフラへの被害、特に水道(上水道)への被害は長期化するおそれがあるとしており、さらに液状化や斜面崩壊によって道路が寸断される可能性も非常に高い結果になりました。
これをふまえ、南部町では基本的な災害対策業務を対策班(課)ごとに定めているものの、被害が甚大であることが予想されるため、災害規模や被災状況によって業務の規模・人員などを変化させる旨を記載しています。
群馬県甘楽町
群馬県甘楽町の「甘楽町業務継続計画(BCP)」は、平成29年12月に策定されました。
この業務継続計画では、関東平野北西縁断層帯主部の地震(マグニチュード8.1)を想定しており、冬の早朝や夏の真昼など複数のシチュエーションで被害想定を行っています。
甘楽町では、災害発生を想定して職員にアンケートを行っており、災害時に自宅から職場到着までにかかる時間・手段を聞くとともに、災害発生時の参集困難者の予測を立てました。発生当日(1時間以内)に参集困難となるのは職員のうち40%、1日以内の参集困難者は20%と予測されており、災害時の人員不足が想定されるとともに、限られた人員でどの業務を優先的に対応するか体制を整える必要があるとわかりました。そのため、非常時優先業務を各対策班内で行い、災害時の状況によって柔軟に対応していくとしています。
北海道登別市
平成31年3月に策定された、北海道登別市の「登別市業務継続計画(BCP)」について見てみましょう。
北海道ではさまざまな災害が起こり得ます。雪害はもちろん、大きな地震や津波、風水害。これらのさまざまな災害に備えた状況を考えて対策を行う必要があり、どの災害においても警戒態勢・非常配備(第1~第3)という段階的な体制を構築するとしています。
過去には東日本大震災をはじめ、平成24年11月暴風雪(大停電)、平成30年北海道胆振東部地震の被害があることからも、今後どのような災害が発生するかわかりません。地震発生に伴う津波への対策、暴風雪による大規模な停電への対策、ライフライン等の被害想定を行い、さまざまな災害に備えた業務継続計画が策定されています。
愛知県西尾市
愛知県西尾市が平成29年度に修正を行っている「西尾市業務継続計画(BCP)」は、南海トラフ地震を主とした内容が策定されています。西尾市全体の被害想定では、一部で震度7の揺れを想定しており、それに伴った液状化現象が起こる可能性が高い地域の想定、津波による浸水が起こることなど、さまざまなケースが記載されています。
どの方面の庁舎も建物の構造上の被害は発生しないとしながらも、電力はすべてが停電しうること、電話はほとんど通話不能になるであろうこと、インフラの復旧には上水道で4週間程度かかると予測されているなど、その被害は非常に大きいものになると考えられています。