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地域通訳案内士について・実施事例【自治体事例の教科書】

地域通訳案内士について・実施事例【自治体事例の教科書】

近年、街中では外国人を目にすることも多く、ビジネスにおいてもグローバル化は進んでいます。しかし、現在の日本は少子高齢化が進んでおり、人口も減少傾向にあることから、経済状況も不安視されています。その一方で、訪日外国人の数は毎年増加傾向にあり、インバウンド需要の獲得が経済状況活性化の鍵を握っているといっても過言ではありません。インバウンド需要獲得のためには、外国人のさまざまな言語やニーズに対応する能力が必要であり、政府は法整備にも勤めています。そこで今回は、インバウンド需要獲得につながる、通訳案内士について各県の取組とともに解説を行います。

【目次】
■広島県における地域通訳案内士制度の取組
■香川県における地域通訳案内士制度の取組
■沖縄県における地域通訳案内士制度の取組
■大分県中津市における地域通訳案内士制度の取組
■京都府京都市他における地域通訳案内士制度の取組

広島県における地域通訳案内士制度の取組

広島県を訪れる外国人に対応できる通訳案内士を育成し、獲得するために、広島県地域通訳案内士制度を策定しています。「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」(平成30年1月4日施行)により、「地域通訳案内士」の制度が策定され、自治体が実施する研修を受講することにより、地域通訳案内士として登録を受けることが可能となりました。

広島県では、広島県に関する深い知識とともに、質の高い通訳案内士の育成を行うために、「広島県地域通訳案内士育成等計画」を策定し平成30年4月9日に観光庁長官の同意を取得しています。広島県が行う研修を修了し、口述試験にも合格したうえで、広島県知事に対して登録申請を行うと、「広島県地域通訳案内士登録証」が交付されます。これにより「広島県地域通訳案内士」として通訳案内を行うことが可能です。

広島県地域通訳案内士の活動区域は広島県内となっており、対象言語は英語と中国語です。

申請にはいくつかの書類と手数料が必要になり、提出書類一覧表や申請様式はホームページよりダウンロードできます。入手できる申請様式と手数料は以下のとおりです。

・登録申請書or登録事項変更届出書or登録証再交付申請書
・健康診断書
・宣誓書
・代理権限受権書(登録を受けようとする人が日本国外に居住している場合)
・代理人の誓約書(登録を受けようとする人が日本国外に居住している場合)

新規登録手数料:5,100円
変更届出手数料:4,000円
再交付手数料:4,000円

香川県における地域通訳案内士制度の取組

香川県にある高松空港は四国の玄関口として機能しており、ソウル、上海、台北、香港の間で国際定期便も就航しています。県内に在籍する全国通訳案内士の数は令和元年7月の時点で92名ですが、今後も大きなインバウンド需要が期待されています。

そこで、香川県は急増する外国人観光客に対応するため、「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」に基づき、地域通訳案内士として登録するための認定研修の受講生を募集しています。

昨年度も研修を実施しており、英語48名、中国語11名の計59名が研修を修了しています。今年度は、昨年度も実施した英語と中国語に加え韓国語も実施し、質の高い通訳案内士の育成と、よりよいサービスの提供につなげる予定です。

また、受講資格として英語、中国語、韓国語のそれぞれに想定人数と語学力の基準が設けられています。英語の想定人数は20名となっており、TOEIC730点以上もしくは英検準1級以上が必要です。中国語の想定人数は30名となっており、中国語検定2級以上もしくはHSK試験5級(180点)以上が必要です。韓国語の想定人数は30名となっており、ハングル能力検定2級以上もしくはTOPIK試験5級以上が必要です。

受講料については、1言語10,000円となっているため、最大で30,000円の受講料となります。

沖縄県における地域通訳案内士制度の取組

沖縄県を訪れる外国人観光客は年々増加傾向にあり、その大半を中国本土や韓国、台湾、香港などのアジア諸国からの来日が占めています。各種施設整備も進んでいることから、外国人の訪日は継続的に増加が続くことが予想されているため、それに対応する人材の確保も必要とされています。

沖縄県における通訳案内士の数は増加傾向にあるものの、まだまだ十分とはいえない状況にあり、「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」に定められている地域通訳案内士の必要性を実感しています。そこで沖縄県は、沖縄県地域通訳案内士育成等事業計画を策定し、沖縄県地域通訳案内士の育成と獲得を推進しています。

沖縄県地域通訳案内士の活動地域は沖縄県全域とし、沖縄県を訪れる外国人観光客のニーズの多様化・高度化に対応できる人材を育成し、受け入れ体制強化が図られるとともに外国人観光客の満足度の向上と再訪意欲の向上を狙っています。沖縄県地域通訳案内士の登録目標は、中国語470人、韓国語90人、英語140人となっており、この目標に向けて推進しています。

研修の内容は通訳ガイドの心得からはじまり、地元学、ホスピタリティ、プレゼンテーション、旅程管理、危機管理、救急救命、現場研修となっています。

大分県中津市における地域通訳案内士制度の取組

大分県中津市における平成30年の外国人宿泊者数は4,000人を超えており、対前年比140%を越えています。この結果は「明日の日本を支える観光ビジョン」実現に向けた取組の成果であり、今後も継続的に取り組むことで、訪日外国人獲得に努めるものとしています。今後も増加することが予想される訪日外国人に対応できる人材を育成し獲得するために、中津市では中津市地域通訳案内士を導入し、サービスの向上を図っています。

中津市地域通訳案内士として登録されるためには研修を受講する必要があり、英語を使用し、TOEIC600点以上を基準としています。研修内容はオリエンテーション、語学研修、コミュニケーション・ホスピタリティガイドスキル、地域に関する知識、旅程管理、実地研修、救命措置、効果測定からなっています。

京都府京都市他における地域通訳案内士制度の取組

京都府は日本を代表する観光地の1つであり、毎年多くの外国人観光客でにぎわっています。そのような京都ですが、近年はアドベンチャーツーリズムやウェルネスツーリズム等により多様なニーズがあるため、それらに対応することも求められています。

外国人観光客の多岐にわたるニーズに対応するために、京都市、宇治市、大津市では、京都市観光協会や京都文化交流コンベンションビューローと連携し、「京都市ビジターズホスト」と呼ばれる京都市認定通訳ガイド(京都市・宇治市・大津市地域通訳案内士)の育成を行っています。京都市ビジターズホストの対象言語は英語、中国語、フランス語、スペイン語であり、募集定員は50名程度となっています。受講にはそれぞれの言語に基準が設けられており、それは以下のとおりです。

英語:TOEIC730点以上、実用英語技能検定凖1級以上、TOEFL iBT80点以上いずれか
中国語:中国語検定2級以上
フランス語:実用フランス語技能検定試験凖1級以上
スペイン語:スペイン語技能検定2級以上、DELE B2以上いずれか

受講費用は86,560円であり、内訳が基礎研修50,920円、専門研修1科目35,640円となっています。また、認定登録料として別途1言語につき5,000円が必要です。

〈参照元〉

国土交通省観光庁_国土交通省観光庁ホームページ
(https://www.mlit.go.jp/kankocho/news05_000273.html)

広島県_広島県ホームページ
(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/i/soshiki/78/hiroshimatuyaku3012-3104.html)

香川県_香川県ホームページ
(https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir5/dir5_1/dir5_1_1/w1i5cd190703193341.shtml)

沖縄県_沖縄県地域通訳案内士育成等事業計画
(https://www.pref.okinawa.jp/site/iken/h29/documents/h29_plan2.pdf)

大分県中津市_中津市ホームページ
(https://www.city-nakatsu.jp/mayor-docs/2019100400076/file_contents/2-5_.pdf)

京都府京都市_京都市認定通訳ガイド(京都市・宇治市・大津市地域通訳案内士)第5期研修受講生の募集について
(https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/cmsfiles/contents/0000257/257869/Release.pdf)

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