東京都府中市_府中市中心市街地活性化基本計画
東京都府中市では、これまでの取り組みの検証と課題点の抽出を行い、それに基づき基本計画を立てています。
これまでの取り組みとしては「イベントの開催」「府中駅南口第一種市街地再開発事業」「観光事業の展開」「都市機能の整備及び維持」が柱となっていましたが、地域に人を集めるという効果を出せずにいました。
人のにぎわいと商業のにぎわいを効果的に連動させるために、イベント間の連携やイベントと商業施設との調整などが必要であるという課題点がありました。
また、府中駅南口第一種市街地再開発事業により、商業・生活基盤が整備され、大手百貨店やシネマコンプレックス等が誘致されたため、市内や近隣市について人を集めるのに一定の効果はあったものの、地域全体の商業の盛り上がりに欠けていました。市街地再開発事業により整備された商業施設と古くからの商店街との役割分担や連携・協力を調整する場と仕切り役が必要だということがわかってきたのです。
また、府中駅中心に都市機能が集まっているところ、多くの施設は 分散して配置されているものの、市民に求められる機能を十分に果たせていないという状況がありました。そこで、府中市では公共施設マネジメントを展開し、府中駅周辺の公共施設について「新たなにぎわいを創出し、まちの力を高める施設再編」 に向け、多種多様な公共施設の効率的かつ効果的な方法を進めることが求められていました。
府中市では、中心市街地活性化によって解決すべき課題として「経済活力の向上」「回遊性の創出」「市民交流の増進」を挙げました。これらの課題から、府中市は「にぎわい創出により市民や来訪者が集い交流する文化・歴史ある中心市街地の形成」を中心市街地の活性化のテーマとして掲げたのです。にぎわいの要素を一体的に取りまとめ、戦略的に展開することで魅力あるまちづくりを進めるという基本計画を策定しました。
岐阜県中津川市_中津川市中心市街地活性化基本計画
岐阜県中津川市では、「商業店舗の減少」「観光客の入込数の横ばい」「居住人口の減少」「都市福利機能の不足」「にぎわいの核となる施設の不在」という、大都市圏とは異なる継続した課題がありました。
例えば、経営者の高齢化や後継者不足などによる廃業の影響により、営業店舗数は減少傾向にあり、商品販売額も低下して空き店舗や未利用地の増加も見られる状況です。平成 26 年度以降減少の傾向は強まっており、中心市街地内の高齢化率を考慮すると、早期に対応が必要な状況にありました。
また、定例のイベントは毎年安定した集客を続けていたもののマンネリ化などが課題となり、観光客数を大きく増加させていく効果は限定的となっていました。歴史的街並み景観をはじめ、趣きのある町家や史跡 などの地域資源も数多くあるものの、観光に十分活用できていないという課題が続いていたのです。
市民アンケートでは、中心市街地に子育てや福祉など「暮らしに役立つ公共施設の充実」「生活に便利な施設の充実」に対する満足度が低いなど、日常の市民生活や活動に根ざした機能が不十分との意見が多いという結果でした。少子高齢社会の波を受けたこともあり、にぎわいを見せる街を実現できないでいました。
そこで、中津川市としては「まちの担い手不在」「インバウンドの増加」「リニア開業を好機と捉えた準備」を新たな克服すべき課題として見直した基本計画を策定しています。
新たな課題として、イベントで一時的に人の流入を狙うよりも、民間主導で自主的で継続的なにぎわい創出やまちづくりの課題解決に取り組む「まちづくり会社」が地域や各関係主体と密に連携して、中心市街地のマネジメントや活性化につながる企画を展開する必要があるとしています。
また、近年のインバウンドの拡大により、馬籠宿といった観光地では外国人観光客が急増しているものの、まちなかへの回遊にほとんどつながっていないため、中津川市の歴史資源の価値の創出と情報発信、商店街などの受入れ環境が不十分という課題も見えてきました。
さらに、2027 年のリニア中央新幹線の開業により、中津川市はは首都圏・名古屋都市圏と直結し、短時間で往来できるようになるという地理的優位性や車両基地の設置と相まって、観光、産業、雇 用や定住など幅広い分野で様々な人の交流の可能性が広がることを大きな「好機」と捉えています。中津川市が発展するためには、中心市街地の商業、観光、住宅などの各分野において民間事業の活発化が必須なので、準備段階として民間事業者の関心を惹きつける取り組みを行うこととしています。
これまでにもあった課題、新しい課題を踏まえて、中津川市では現在の中心市街地の課題を「空き店舗等を活用した多様な店舗が存在する商業空間の創出」「地域資源となる町家などを活かしたまちなかへの観光客の取り込み」「人々の交流が生まれる中心市街地の形成」の3つに整理して新たな基本計画を策定しています。
佐賀県唐津市_唐津市ホームページ
佐賀県唐津市では、中心市街地活性化基本計画の事業概要として「賑わいあふれる魅力ある商業の創出」「訪れたくなる魅力ある観光の創出」を新たな柱にしています。
以前の基本計画で柱となっていたのは「歩きたくなる『まちなか』」「住みたくなる『まちなか』」でした。具体的には、中心市街地の中心部に位置する旧まいづる百貨店・バスセンターにおいて再開発事業を実施し、バスセンターや商業施設等の都市機能を集約しています。また、未利用地を活用した民間事業者による快適な居住環境整備を進め、早稲田佐賀中学校・早稲田佐賀高等学校の新設に伴う新たな住宅需要を積極的にまちなかへ誘導を図ったのです。
目標数値を達成するには至らなかったものの、再開発事業によって市民や観光客の交流拠点が整備できたことで新たな人の流れが生まれ、まち全体の活性化に好影響がもたらされました。また、早稲田佐賀中学校・高等学校の開校以降、生徒数・職員の増加は順調で、生徒の約6 割が入寮していることもあって相当数がまちなかに居住し、一定の成果が得られています。それを踏まえて、新たな中心市街地活性化基本計画の事業概要を「賑わいあふれる魅力ある商業の創出」「訪れたくなる魅力ある観光の創出」と修正したのです。
「賑わいあふれる魅力ある商業の創出」としては、新天町パティオ街区再開発事、呉服町商店街ファサード整備事業、空き店舗チャレンジ誘致事業を中心としています。商工会議所との連携により世代とのつながり、地域とのつながり、交流を生み出す滞在型空間をつくり出すサポートを行うことを掲げました。
「訪れたくなる魅力ある観光の創出」の具体的な事業としては、城内地区・曳山通り景観まちづくり事業、旧大島邸復原整備事業、南城内駐車場整備事業、唐津城天守閣改修等事業などが挙げられます。
そして「Re・Innovation 唐津」を標榜し、まちなか骨格軸の革新と歴史・文化のリノベーション による憧れの城下町・唐津を目指すことを新基本計画の骨子としています。
山口県宇部市_宇部市 中心市街地 活性化基本計画(素案)
山口県宇部市では「官民協働による、多世代がにぎわう安心・快適・利便性の高いまちづくり~まちなかスマートシティの実現~」をテーマとして中市街地活性化基本計画を策定しました。
目指す中心市街地の都市像としては、歴史的・文化的資源を多く抱えているので、これまで集積されてきた都市施設等のポテンシャルを活かしながら民間活力を取り入れて多くの人でにぎわい、誰もが安心・快適に暮らせる街とされています。
課題としては「居住人口の拡大」「商業・業務の活力拡大」「交流機能強化によるにぎわい創出」を挙げています。
それを解決していくために、活性化の目標として「まちなか居住の推進」「経済活力の向上」「まちなかにぎわい創出」を掲げ、定性目標の他数値目標も挙げています。まちづくりの方針として「安心で、健康で、快適に暮らせるまち」「「商業・業務など、新たなビジネスに挑戦できるまち」「新たな魅力を創出し、人々が交流するまち」を定めています。
島根県松江市_3期 松江市 中心市街地活性化基本計画
島根県松江市中心市街地活性化基本計画では、基本方針である「既存ストックの活用などによる活気の創出」「水辺空間の活用などによるまちなかの賑わいづくり」「歴史・文化資源を活かした観光振興・交流の拡大」の3つの視点から「歴史・文化・水辺を活かす、若者が活躍する松江のまちなか」を目標に設定し、その達成のために各施策を官民一体となって効果的に展開するとされています。
「既存ストックの活用などによる活気の創出」では「遊休不動産の活用による商店街の活性化に取り組む」「まちなかの活性化によって居住の利便性の向上を図り、定住を促進していく」「若者が住み、働き、活躍できる魅力的なまちなかづくりに取り組む」ことが具体的な内容です。
「水辺空間の活用などによるまちなかの賑わいづくり」については「松江がもつ水辺という資源を活用して、新たな賑わいの創出につなげていく」「JR松江駅周辺から殿町周辺までのL字ラインに賑わいの動線をつくることで、 中心市街地の魅力の向上に取り組む」ことを具体化させることが指針となっています。
「歴史・文化資源を活かした観光振興・交流の拡大」では「豊かな歴史・文化資源の保存と活用を推進することで松江の魅力を磨き、国内外 から多くの方に訪れてもらえる、賑わいのあるまちづくりに取り組む」「観光客の誘客に結び付くPRや、夜の観光の魅力づくりに取り組む」「中海・宍道湖・大山圏域の各都市と連携して、国内外からの誘客に取り組む」ことが柱です。
それぞれの基本方針には定性目標と数値目標が掲げられており、目標達成に必要な事業等の考え方についても定めています。
これらの基本方針と目標をもとに、令和6~7年に成果を出せるように考えられたのが島根県松江市の中心市街地活性化基本計画です。