国土交通省_国土交通省ホームページ
国土交通省では、将来の持続的な下水道事業の運営に向けて、処理場の統廃合や汚泥処理の集約化等により、施設管理の効率化を図るとともに、下水道が有する資源・エネルギーポテンシャルを活かした収入の多角化、雇用の創出、地域の憩いやにぎわいの創出等、下水道施設を魅力あふれる地域の拠点として再生する取り組みを推進しています。2019年3月29日に、この取り組みに必要な整備を「下水道リノベーション計画」として登録して支援することを決定し、発表しました。
具体的なイメージとしては、下水処理場の在り方を見直し、単なる処理場から地域バイオマスを受け入れて発電し、エネルギー供給拠点として地域に電力を供給する拠点とすること、下水熱や再生水等を活用し、農業生産拠点として雇用を創出すること、地域の防災拠点として避難者の受け入れに活用することなどを挙げています。
今後の取り組みの例として、大阪府堺市にある三宝水再生センターのリノベーション計画の概要が発表されました。この計画では、処理水、下水熱、オープンスペースなどの貴重な資源を活用することで下水処理場としての枠を超えた様々な役割を担ってきた三宝水再生センターを。各種の「拠点」としての機能を維持・向上させ、地域の活性化及び防災力の強化を図ることとしています。具体的な教科ポイントは、エネルギー供給拠点化、防災拠点化、憩い・賑わいの拠点化です。
国土交通省国土技術政策総合研究所_国土交通省における技術開発関係施策に関する最近の動き
国土交通省では、下水道リノベーションのため、下水道技術開発支援の施策について最近の動きをまとめています。全体像としては、技術開発の研究段階から開発段階、実規模施設を用いた水平展開までの段階的な支援を実施することを決定しました。これまでに、ガイドラインが策定された20技術のうち、6技術51件がすでに導入済みという進捗状況です。
また、下水道事業の抱える様々な課題に対して、ICTの活用による下水道事業の質・効率性の向上や情報の見える化を行い、下水道事業の「持続」と「進化」を実践する取り組みを「i-Gesuido」として推進することとしています。i-Gesuidoの内容は、既存のICTを各地方公共団体において積極的に導入できるよう、ガイドライン等基準類の整備を行うとともに、関係する技術の開発を推進するなど、下水道事業におけるICTの導入を促進することです。
経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)でも、資源・エネルギー、環境対策のため、社会資本整備や)地方行財政改革・分野横断的な取組等の一環として下水道技術開発関連部分は重視しています。IoT、AI等を活用したエネルギー・環境関連ビジネスの革新、地域のエネルギーシステム最適化等と環境保全を行い、インフラの整備・維持管理の生産性向上を図ることが重要課題として挙げられました。
国土交通省_下水道事業の広域化・共同化の取組
国土交通省は、下水道事業が抱える課題や下水道の普及状況と未普及対策を分析し、広域化・共同化の取り組みについて提言しています。
下水道事業には人口減少によるヒトの問題、施設の老朽化などのモノの問題、低い経費回収率というカネの問題があります。また、都市規模が小さいほど、汚水処理人口普及率が低く、人口5万人未満の市町村の汚水処理人口普及率は79.4%にとどまっているのが現状です。
そのため、執行体制の確保や効率的な事業運営等により、下水道事業の持続のための様々な取組が必要だとして、最適化に向けた取り組みが発表されました。そのひとつが「広域化・共同化」です。
「経済財政運営と改革の基本方針2017」を踏まえ、2022年度までの広域化を推進するための目標として、関係3省(農水省、国交省、環境省)では「汚水処理施設の統廃合に取り組む地区数※」「全ての都道府県における広域化・共同化に関する計画策定」を掲げました。そして、各都道府県に対して2022年度までに「広域化・共同化計画」を策定し、管内全市町村等が参加する検討体制構築を要請しています。
下水道広域化推進総合事業の概要は、流域下水汚泥処理事業、汚水処理施設共同整備事業(MICS)、特定下水道施設共同整備事業(スクラム)を統合するとともに、追加項目として、計画策定、し尿の受入、処理場への流入管渠についても補助対象とするものです。
また「広域化・共同化」計画のイメージとして、広域化に関わる市町村や流域、連携項目(ハード・ソフト)、スケジュール(短期、中期、長期)等を記載することとしています。そして、都道府県の管内全市町村が検討の枠組みに参加して検討を進めることが必要だとしました。広域化・共同化の実施に至るには、関係市町村の合意形成に時間を要することが想定されるので、早期に検討着手することが重要であり、都道府県構想の策定や見直しを検討する既存体制や下水道法の協議会制度を活用することも有効だとしています。さらに、効果的に検討を進めるため、地域の実情を踏まえて、都道府県内を複数のブロックに分割し、各ブロック単位で検討することが有効だと考えているのです。
ブロック割後に、関係市町村の現状や将来予測を把握・共有し、連携方策の種の抽出・マッチングの検討を行い、連携実現に向けた具体的な検討を行うこととしています。
国土交通省_平成31年度下水道事業予算の概要
国土交通省は、処理場の統廃合や汚泥処理の集約化等に合わせた地域のエネルギー供給拠点・防災拠点としての整備、ICTによる生産性の向上など、持続可能な事業運営に向けて下水道事業を魅力あふれる事業に刷新する下水道リノベーションを推進すること、特に下水道リノベーションに関する登録制度を設けて積極的に支援するとともに、処理場におけるICT活用等の先進的な取組を新たに実施するための事業予算の概要をまとめています。
国が自ら行う実証事業や民間事業者への直接支援等を実施する予算には以下の3種類があります。
・下水道事業費補助
民間活力を活用し、下水道資源の利用等を推進するため民間事業者への直接支援等を行う事業や日本下水道事業団による代行事業に対する予算
・下水道事業調査費等
国が自ら行う技術実証事業等
・下水道防災事業費補助に関する予算
官民連携して地域の浸水対策を進めるための民間事業者への直接支援や、大規模な再度災害防止対策、河川事業と一体的に実施する事業への支援等のための予算
これら3種類を合わせ、2019年度予算として156億1千1百万円が計上されました。
また、新規事項として、浸水対策事業の個別補助制度を創設し、防災・安全交付金において支援していた浸水対策のうち、大規模な再度災害防止対策や河川事業と一体的に実施する事業について、計画的・集中的に支援することを可能とする個別補助制度策定しています。下水道浸水被害軽減総合事業の拡充、下水道総合地震対策事業の拡充、下水道広域化推進総合事業の拡充、合流式下水道緊急改善事業の延伸に取り組むとして、実施年度の予算に反映させることとしています。
内閣府_経済財政運営と改革の基本方針2018について
内閣府は、経済財政運営と改革の基本方針2018の中で、下水道リノベーションを含めた社会資本整備において、生産性の向上等のストック効果を最大限発揮するための予算の重点化、効率を追求した事業実施等を通じて歳出の効率化を進めるとしています。そのために、地域生活に不可欠なインフラの維持を図りつつ、立地適正化等、人口減少に応じて合理化・効率化を進める方針です。
また、中長期的な視点に立ち、経済成長や豊かな暮らしの礎となる政策・プロジェクトを全国各地域で戦略的に展開し、将来世代に質の高いストックを引き継ぐことを目標としています。財政制約の下、予算の重点化に加え、公的資産や民間資金の有効活用など新たな投資財源を確保しつつ、中長期的な見通しを行い、安定的・持続的な公共投資を推進しながら戦略的・計画的な取組を進めることも内容に盛り込まれました。
また、事業採択・執行にあたり、平準化や計画的な取組を進めるとともに、インフラ維持管理に当たって早期発見・予防保全を徹底するとしています。今後、高度成長期に大規模に整備されたインフラが老朽化するため、予防保全に基づくメンテナンスサイクルを確立・徹底し、ライフサイクルコストを低減、集約化・複合化等、PPP/PFI、新技術の開発・社会実装、情報基盤の整備等あらゆる面から戦略的な取組を推進することが内容です。
下水道リノベーションについては、地方公共団体等がPPP/PFIに取り組みやすい方策を講じ、特に、上下水道において効率的な整備・管理及び経営の持続可能性を確保するため、各地方自治体の経営状況の地域差を「見える化」し、広域化や共同化、コンセッションをはじめとする多様なPPP/PFIの導入、ICT活用等を重点的に推進する立地適正化計画を策定することとしています。
事業推進にあたっては、地域公共交通網形成計画の作成促進や策定された計画の実現を通じ、まちづくりと公共交通体系の見直しを一体的に進めることとし、モデル都市の形成・横展開、府省庁横断的な支援の重点化、大幅に人口が減少する地方自治体への計画策定の働きかけ等を通じ、包括的に進めることを定めました。