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実費徴収に係る補足給付を行う事業とは?【自治体事例の教科書】

実費徴収に係る補足給付を行う事業とは?【自治体事例の教科書】

子どもが保育園や幼稚園に通うにあたり、どうしても揃えなければならないものやイベント参加への費用などが必要になります。
そのようなときに役立てられるのが、実費徴収に係る補足給付を行う事業です。
どのような内容で、どのようなものが対象になるのか詳しく見ていきます。


【目次】
■事業概要
■実施主体など
■子育て支援を含む「健康福祉」に関する記事とサービス資料一覧リンク

事業概要

実費徴収に係る補足給付事業は保育所や幼稚園、認定こども園をはじめ、地域型保育事業を利用している方が給食費や園で使用する日用品、文房具などの購入をする必要がある際の費用をはじめ、遠足や芋堀り会、発表会、運動会など園で行う行事に参加するにあたって必要となる費用について、生活保護世帯や保育認定の里親世帯など一定の条件を満たす支給認定保護者を対象に費用の一部を給付する事業です。
実費徴収に係る補足給付事業は子ども・子育て支援新制度施行によって新たに創設された事業であり、市区町村が定める利用者負担額である保育料とは別に、各施設などが使用する道具や行事参加のために保護者から実費徴収を行う場合の実費を補助するものです。
生活保護世帯など経済的な支援が必要な世帯を中心に特定教育や保育施設において、保護者が支払うべき食事の提供に要する費用や日用品、文房具等の購入に要する費用、行事参加費用を市町村が定める基準額を上限に費用を助成することとします。
補足給付の対象となる費用は2種類に分けられ、それぞれ制度上定められる基準額を上限として助成が行われるのです。
また、子どもの年齢や保護者の就労状態や事情等による保育の必要性に応じて市区町村において認定を受ける1号・2号・3号認定の別においても助成の有無や助成額が異なります。

助成される1種類目は給食費(副食材料費のみ)です。
これは1号認定を受けている保護者のみ、平成31年度補助単価で子ども1人あたり月額4,500 円 (年額 54,000 円)を限度に助成されます。
2種類目は教材費・行事費等の費用です。
こちらは1号・2号・3号のいずれの認定区分も対象となり、平成31年度補助単価で子ども1人あたり月額 2,500 円(年額 30,000 円)の助成が行われます。
給食費(副食費のみ)及び教材費・行事費等の費用について助成が受けられる1号認定者とは、幼稚園(新制度未移行園)または認定こども園に通う子どもで、次のいずれかに該当するケースです。
第一の条件として年収360万円未満相当世帯であることが挙げられます。
その対象としてはそ生活保護世帯をはじめ、市区町村民税所得割額の合計がひとり親世帯等の場合は77,101 円未満の世帯、上記以外の世帯の場合は57,700 円未満の世帯であることです。
また、第3子以降の子どもがいる場合は所得階層を問わず、給食費の助成対象となります。
教材費・行事費等の費用のみ助成対象となる2号、3号認定者とは幼稚園(新制度移行園)、認定こども園、3号については地域型保育も含めた認定保育施設に通う生活保護世帯の子どもを持つ保護者が対象です。

実施主体など

実施主体は特別区を含む市区町村です。
費用の割合については国と都道府県がそれぞれ1/3を補助し、市区町村が1/3を負担します。
平成29年度の全国の実施状況は以下の通りです。

給食費(副食材料費)の助成を実施した市区町村は388ヶ所で、1号認定者832人に対して助成が行われました。
教材費・行事費等については1号認定者 799人に対して、558ヶ所の市区町村が、2号認定者7,652人について3,373ヶ所の市区町村、3号認定者3,035人に対して2,381ヶ所の市区町村が助成を実施しました。

実費徴収に係る補足給付を行う事業は近年、全国的に深刻化している子どもの貧困問題に対応するための子育て支援制度の一環です。
国が主導する制度のもとで、各市区町村が保護者や子どもたちに直接実施するアンケート調査などを踏まえ、子どもの置かれている現状や実態を把握したうえで経済的な支援を行う取り組みの一つです。
全ての子どもが等しく園での生活を楽しむことができるよう、国の制度である子ども・子育て支援交付金を財源として活用し、子どもを持つ低所得家庭の保護者に対して実費徴収額が支給されます。
給付の対象となる教材費・行事費等とは、以下のようなものです。
これはあくまでも例であり、実情に応じて認定されます。

通園の制服や通園かばん、スモッグ、体操服をはじめ、午睡用ふとん(リース可)、名前のゴム印、名札、カラー帽子、上履きなど、保育所や幼稚園等で通常必要となる基本アイテムは助成対象です。
歯ブラシやタオル、コップなど園で通常使う日用品、乳児を預ける場合に必要となるオムツ、園で使うハサミやノリなどの文房具や連絡帳、食事用のエプロンも対象です。
園で通常使われる教材代や絵本代、入館などに使うIDカードや修了証書入れ、各種保険料、通園のためのバス送迎費も助成されます。
行事参加費の例としては宿泊行事費や遠足などの行事にかかる交通費、動物園や博物館への入場料があり、入場料に関しては子どもにかかる費用のみで、保護者の分は自己負担となります。

実施する自治体によっても助成の認定要件は異なりますが、基本的に物品代などは施設等を通じて購入や支払いをした場合に限られ、私的に必要性を感じて用意するものは対象になりません。
ただし、園が購入するよう求め、園が指定した店で園が指定したものを購入した場合は対象となります。
これに対して実費徴収に係る補足給付を行う事業による助成対象とならないものは以下のようなものが挙げられます。

給食費における主食費(米飯・パン等)、1号認定以外の方のおかず等の副食費、また、延長保育料や一時預かり保育料も助成対象にはなりません。
また、PTAや保護者会の運営に要する費用や英語レッスン料・講師への謝礼費用、遠足や運動会、卒業記念などの写真やアルバム・DVD代なども助成対象外です。

助成を受けるには、支給認定保護者から各市区町村へ申請(申し込み)が必要です。
もっとも、どのような流れで申請や認定、費用の助成を行うかは各市区町村によって異なっています。
たとえば、申請を行うと各市区町村が申請書の内容を確認したうえで、利用施設を通じて認定または不認定の決定が通知されます。
認定後、実費徴収した金額について利用施設において精算されるという流れを採る市区町村もあります。
また、令和元年10月以降スタートの幼児教育無償化の認定を受けることで、認定を兼ね、補足給付については別途認定を不要とする市区町村も登場しました。
さらに補足給付を希望する場合に特定教育・保育等実費徴収に係る補足給付事業費補助金交付申請書と特定教育・保育等実費徴収に係る補足給付事業費補助金交付請求書に加えて、必要書類を添付したうえで市区町村役場の担当窓口に申請を行うケースもあります。
主な必要書類は次のようなものが挙げられます。

実費徴収額に係る領収書、補助対象の方であることを証明する書類、申請する日の属する年度の前年度の1月1日に請求する市区町村に住所がなかった方は、住民税非課税証明書または住民税納税通知書の写しが必要です。
各市区町村によって、必要書類や申請の流れは異なります。

この点、新制度への移行に伴い、実費徴収に係る補足給付が行われる背景となったのは、園に通園するための基本的な費用となる入園料や保育料が令和元年10月より無償化されるためです。
満3歳児から5歳児(小学校就学前)までの子どもを対象に月額25,700円を上限に無償となり、入園料については入園した年度に限り、月額に換算して無償化の対象となります。
なお、月額25,700円を超えない場合は、園に支払いをした額が上限となります。
無償化されるにあたり、通園費、行事費等は対象外となりますが、生活保護世帯や少子化支援のために第3子以降については通園に伴うバス代や行事費等も実費徴収に係る補足給付を行う事業によって助成しようということです。
また、無償化に伴い、預かり保育について保育の必要な3歳児から5歳児までを対象に月額11,300円まで無償としています。
ただし、満3歳児は市民税非課税世帯のみが無償化の対象となり、月額16,300円が上限です。
給付額は日額上限450円×利用日数により算出されます。
各家庭で最も負担が多くなる入園費や保育料、預かり保育料については無償化の対象となるため、実費徴収に係る補足給付を行う事業による助成対象外とされます。

健康福祉関連ソリューションまとめ

子育て支援を含む健康福祉関連のソリューションをまとめています。是非、参考にしてください。

 

<参照元>
内閣府_実費徴収に係る補足給付を行う事業について_(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/h310218/pdf/2_s2-9.pdf)

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