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地方移住支援における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

地方移住支援における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

人口の都市部集中が問題となっています。その課題解決方法のひとつである地方移住支援についてのポイントを事例などを通じてまとめました。

【目次】
■地方移住支援の現状とは
■事例①【空き家を活用したお試し暮らし】周南市(山口県)
■事例②【49人が移住した総合施策】大川村(高知県)
■事例③【Gターン!ぐんま面接会】群馬県

地方移住支援の現状とは

地方移住支援の現状は、移住・定住を支援するメニューが一定程度充実しており、移住者側が必要に応じて、支援メニューを取捨選択できる状況にあります。さらに、地方移住希望者が移住前に自治体や地域住民と交流したり、地域の情報を得やすくするなど、一層の支援充実の取り組みが行われています。

たとえば、市町村が主体となって実施している「地域おこし企業人」では、地方公共団体が、三大都市圏にある民間企業等の社員を一定期間受け入れ、その社員の持つノウハウや知見を活かし、地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらう交流プログラムを実施しています。平成26年度から始まった、比較的新しい取り組みです。

また、小学校や市町村が主体となって行なっている「子ども農山漁村交流プロジェクト」は、三大都市圏を中心に、都市部に暮らす子どもたちの地方の農山漁村での宿泊体験を通じて、コミュニケーション能力や自主性、自立心などを養うことを促進するとともに、都市と農山漁村の交流により地域の再生・活性化を図ることを目指す取り組みです。このプロジェクトは総務省・文部科学省・農林水産省・環境省が連携して支援しています。

さらに、国が主体となって行なう「移住・交流情報ガーデン」は、地方への移住関連情報の提供・相談支援の一元的な窓口として開設されました。移住希望者のニーズに応じた地方自治体へ繋ぐほか、地方への移住・交流に関する都市住民のニーズや意識、動向の把握を目的としています。

ここでは予約不要で相談を受け付けている他、地域の資料閲覧、情報検索ができ、イベントやセミナーを開催できるスペースも設けています。

地方人材還流促進事業「LO活プロジェクト」は、Localと就活を合わせた言葉で、東京・大阪圏の若者等に対し、地方就職に関するセミナーやイベントカウンセリング、個別相談などを実施しています。地方自治体が実施する就労体験事業などへの参加や地方就職を促進する活動です。都会に住みながら地方で就職するためのノウハウを学ぶことができ、自治体ならではの情報提供や地方就活に役立つ助成金がある自治体の紹介などもしています。

ここからは特徴的な事例を紹介します。

事例①【空き家を活用したお試し暮らし】周南市(山口県)

周南市(山口県)では空き家を活用したお試し暮らし住宅を整備しています。空き家の案内や生活全般の相談に応じたり、地域で暮らす上でのルール等を説明して、円滑な移住者受け入れを促進する「里の案内人」制度や「お試し暮らし住宅」の整備に対する補助制度も創設されています。

「里の案内人」は移住希望者と地域との円滑な橋渡しを行なうボランティアの地域住民で、市が開催する養成講座を受講する必要があります。「里の案内人」が設置されたことによって、移住希望者から市に寄せられる相談に対し、スムーズできめ細かな対応が可能になりました。

「お試し暮らし住宅」は、情報収集や空き家見学等のため、一定期間、地域に滞在できる場所が欲しいという移住希望者の希望に応えるために生まれた制度。空き家を活用してお試し暮らし住宅を整備する場合、補助金を交付しています。移住を検討している人は、ここに最長2週間滞在できます。

事例②【49人が移住した総合施策】大川村(高知県)

大川村(高知県)では、平成26年から平成28年で49人の移住者を獲得しました。その背景には地域一体となった情報発信や、知名度向上、魅力訴求のためのさまざまな取り組みがありました。

そのひとつが「ふるさと村民」。会費を払った人には村の特産品などの特典を提供する事業です。昭和62年から実施している「ふるさと留学」では、児童・生徒の半数近くが県内外からの「留学生」であるなど、大きな成果を挙げています。

また、はちきん地鶏を村の特産品とするため、平成19年から飼育に取り組み、雇用の場の創出に取り組んでいます。以前から特産であった大川黒牛も、地域おこし協力隊員OBが定住して、飼育に取り組み続けています。

子育て支援として、妊婦健診費用助成、15歳以下の医療費・保育料・ゼロ歳児保育園から中学校までの給食費の無料化等の施策も実施しています。

情報発信にも余念がなく、パンフレットや映像など情報メディアの作成、県主催の移住フェア、「スーパーよさこい」など訴求力の高いコンテンツを使っての都市でのイベント開催を活用した情報発信を行なっています。

事例③【Gターン!ぐんま面接会】群馬県

群馬県では、県外の大学に進学した若年層に戻ってきてもらうために、UIターン希望者のための面接会「Gターン!ぐんま面接会」を東京都内で実施しています。

Gターン枠(群馬県内で就職を希望する学生等のため、各企業が採用計画を見直し、10月以降に特別に募集を行う群馬県独自の特別採用枠)に賛同し、若年者の正社員雇用に積極的であり、若手社員の育成等の実績が優秀な企業が参加します。

この取り組みでは、運営協議会等を開催することでPDCAを実施し、来年度の事業運営に反映させています。

<参照元>(最終閲覧日:2019年4月24日)
国土交通省 地方への移住・定住等の促進に向けた戦略的な支援や地域側コネクションハブの強化について
公益財団法人東京市町村自治調査会 3章 定住促進に関する全国的な現状と対策事例
内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 移住・定住施策の好事例集(第1弾)   等

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