自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 自治体向けサービス最新情報
  3. 妊娠・出産・子育て支援PHRモデルについて・実施事例【自治体事例の教科書】

妊娠・出産・子育て支援PHRモデルについて・実施事例【自治体事例の教科書】

妊娠・出産・子育て支援PHRモデルについて・実施事例【自治体事例の教科書】

少子化が進む我が国では、子育て支援は喫緊の課題です。ICTの活用による取り組みが期待され、必要となるデータ基盤の構築も進められており、地域への広まりが見込まれます。「子育て」支援にICTを活用して取り組む機運が高まっている現在、我が国としても「子育て」に係る新しい取り組みの一層の強化を図ることが求められているのです。ここでは、妊娠・出産・子育て支援PHR(パーソナルヘルスレコード)を用いた各地域の取り組みについて見ていきましょう。

【目次】
■大阪府_四條畷市におけるICT・IoT推進に向けた取組み
■大阪府四條畷市_令和元年度 第1回四條畷市子ども・子育て会議議事要録
■千葉県流山市_流山市情報化推進計画 (平成30年度~31年度)
■東京都港区_保育所入所AIマッチングシステムの導入について
■総務省_子育てワンストップサービスによる子育て支援ネットワーク強化事業
■総務省_「地域IoT実装推進事業」 実施事業について(平成29・30・令和元年度)
■千葉県柏市_市内における産業動向阪府
■高知県南国市_母子健康情報サービス

大阪府_四條畷市におけるICT・IoT推進に向けた取組み

大阪府四条畷市では、IoT技術を活用した子ども見守りサービスを実験的に導入し始めました。小学生にホイッスル型の見守り端末を配布し、位置情報の確認を可能にしています。IoT端末から出る電場を固定基地局・見守り人(アプリ入りスマホ)が受信し、子どもがどこにいるかがわかる安心を届けるというものです。社会実験参加者に実施したアンケートでも、市の事業として導入を希望するという回答が95%を占めました。

四条畷市では保育施設等入所のシステム化も進めています。保育施設等の入所選考は、申請・受入確認・選考・通知という4つの工程に分かれ、すべて手作業で行われてきました。四条畷市では、現在選考作業の工程にAIを活用していますが、結果の入力は手作業で行っており、工程の一部を簡略化するにとどまっています。

今後の取り組みとして、AIに加えRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用し、令和2年度には全工程を自動化することとしています。すでに総務省の地域IoT実装推進事業における補助金交付対象として採択済の段階です。実現すれば、入所選考における自動化による事務処理時間は約84%削減される見通しとなっています。

大阪府四條畷市_令和元年度 第1回四條畷市子ども・子育て会議議事要録

令和元年度第1回四条畷市子ども・子育て会議においても、保育施設入所選考にAI を活用したシステムを導入し、入所選考作業を手作業から自動化することとされています。公平で正確な入所選考を実現し、早期に選考結果を保護者に通知すること、また削減した作業時間を再配分することで市民サービスの向上を図るのが目的です。

また、登所(園)時間の打刻、出欠数や給食数の把握、指導計画や要録の作成などの機能を併せ持つ保育業務支援システムを公立保育所及び認定こども園に導入することとしています。タブレットに入力するとシステムと連動し、出欠数や昼食数を自動的に把握できるので、保育士・保育教諭の業務負担を軽減、保護者の利便性の向上が可能です。

双方とも、四條畷市乳幼児教育保育アクションプランに基づく取り組みとして実現が期待されているシステムとして評価を受けています。

千葉県流山市_流山市情報化推進計画 (平成30年度~31年度)

千葉県流山市では、「子どもをみんなで育むまち」となるために、子育て・教育の充実のための情報化の充実を目指しています。子ども・子育てに関して令和2年以降、以下のような具体的な取り組みが計画されています。

・妊娠・出産・子育てサポート事業
予防接種スケジュール管理、接種歴や妊婦・乳幼児健診の記録、子育て等に関する情報が得られる、子育て世代をサポートするスマートフォンアプリの導入を実施するとしています。

・保育所AI入所選考システム導入事業
保育所入所に関わる様々な要件入力について、人工知能(AI)による選考結果を導き出すシステムを導入し、事務処理の迅速化、効率化を図ることを目指します。

・保育料滞納管理システム導入事業
現行の保育料システムに、滞納分の交渉記録・分納誓約書及び分割納付書の作成等の処理を追加し、債権回収対策室との業務連携に役立てるとともに情報管理の適正化を図るとしています。

・児童家庭相談システム導入事業
児童家庭相談のケース記録等をデータベース化して一元管理を行い、ケースごとの進行管理、資料の作成、統計、検索等、事務処理の迅速化、効率化を図るための事業と位置付けています。

・母子保健システム導入事業
妊娠届、妊婦健診の受診状況、予防接種の接種状況、3か月・1歳6か月・3歳児健診の受診状況や全ての母子事業に関する相談、乳児 全戸訪問等の実施等を登録・一括管理し、集計処理・事後指導を実施できるようにしていく予定です。

東京都港区_保育所入所AIマッチングシステムの導入について

東京都港区では、保育園の入所選考について、時間短縮など事務の効率化により区民サービスの向上を図り、職員の負担を軽減するため、保育所入所AI(人工知能)マッチングシステムを導入するための実証実験を行いました。数回の実証実験の結果、港区における 保育の利用調整基準に基づく保育所入所選考の作業を100%一致させることができたため、平成31年10月からAIマッチングシステムを導入しています。

入所申し込みデータをAIに取り込むためのデータの自動変換、障害児等、事前に調整が必要な児童についての選考方法について等の課題はありますが、今後RPAを採用して業務を自動化し、入所選考結果を保健福祉総合システムへ取り込む仕組みを構築していく予定です。

AIの活用により、入所選考会議に係る時間短縮が見込まれ、内定発表の日程を早めることが可能となるなど、区民サービスの向上につながるとともに、担当職員の負担の軽減が見込まれています。

総務省_子育てワンストップサービスによる子育て支援ネットワーク強化事業

総務省では、妊娠・出産・子育て支援PHRモデルを策定し、香川県丸亀市で実証実験を行いました。子育て支援ネットワーク強化事業事業の目的は、以下の2つです。

・行政保有の乳幼児健康診査・予防接種記録等データを保護者利用アプリに連携させ、任意健診の受診率向上や保護者の健康意識向上を図るとともに行政とのコミュニケーションを気軽に行う機会の増加を図る

・PHRデータ基盤やクラウド型子育て支援システムに登録・記載された情報を基にして、緊急性の高い要支援児童等を抽出・可視化をすることで、自治体をはじめとする関係機関と情報共有・連携や転居ケースにおける引継ぎを迅速に行える体制を構築する

丸亀市が保有する行政データをもとに、PHRデータ基盤、子育て支援台帳、リスク判定機能を備えたクラウドサービスを提供し、クラウド型子育て支援システムにより市民に対する相談支援を行っていく形をとっています。地域子育て支援ネットワークも活用し、適宜専門家が介入するよう連携も行う仕組みを実施する行政モデルです。

総務省_「地域IoT実装推進事業」 実施事業について(平成29・30・令和元年度)

総務省が発表した地域IoT実装推進事業において、妊娠・出産・子育て支援PHRモデルに関する事業としては、以下のものがあります。

・福島県福島市および千葉県流山市:AIによる保育施設入所選考事業
子育て支援プラットフォームのモデルとして、保護者の子育て支援と待機児童の解消を図るために、入所選考事業にAIを活用するという事業です。入所選考作業に要する時間が大幅に短縮され、選考結果の通知が早まります。結果を早期に把握できるため、保育所への入所、育休延長等、今後の手続きに余裕ができ、子育て支援の充実が可能です。その結果、入所希望施設を増やしてミスマッチを減少させ、待機児童解消につながるという効果も見込まれます。職員の作業時間が大幅に削減されるので、子育て支援の充実を図ることもできるという効果も期待できます。

・山梨県:かかりつけ連携手帳(PHR)の母子手帳支援等による適用拡大
医療・介護・健康データ利活用モデル(PHR)の一環として、個人のスマホに「かかりつけ連携手帳(PHR)」を無料で提供してきた取り組みに「母子手帳支援システム」及び予防接種・検診・がん手帳等を追加しました。情報提供はQRコードを活用し、生涯にわたって情報を保存する取り組みです。

千葉県柏市_市内における産業動向阪府

千葉県柏市では、電子版母子健康手帳サービス「hahaco 柏」を提供する取り組みを行っています。妊娠中の方や育児中のお母さんをサポートするスマートフォン を使ったサービスで、お母さんの身体の状態、赤ちゃんの成長をスマートフォンでい つでもどこでも簡単に記録可能です。行政保有データと民間保有データを連携・活用することで、サービスの向上を実現し、オンラインで柏市の保健師・栄養士からアドバイスを受けることも可能となっています。母子健康手帳に ucode タグを貼付し、スマートフォンアプリとの情報連携することで一元管理ができ、妊娠・出産・子育てに役立てられる、公民学連携による新しい母子健康サービスです。

高知県南国市_母子健康情報サービス

高知県南国市では、スマートフォン等で母子健康手帳の情報が確認できる「母子健康情報サービス」を開始しています。パソコン、スマートフォン、タブレットから利用でき、子どもの成長記録や育児日記に使えるほか、子育てに関する情報や市が実施した検診や予防接種の記録も確認が可能です。マイナンバーカードを持っていればカードを使って安全、便利に利用者登録ができるようになっています。情報を一元化して利用できる仕組みです。

〈参照元〉

大阪府_四條畷市におけるICT・IoT推進に向けた取組み
(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/36451/00329214/siryou5.pdf)

大阪府四條畷市_令和元年度 第1回四條畷市子ども・子育て会議議事要録
(https://www.city.shijonawate.lg.jp/uploaded/attachment/8323.pdf)

千葉県流山市_流山市情報化推進計画 (平成30年度~31年度)
(https://www.city.nagareyama.chiba.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/017/
943/jouhoukasuishikeikakur2.pdf
)

東京都港区_保育所入所AIマッチングシステムの導入について
(https://www.city.minato.tokyo.jp/kodomo/kodomo/shinseido/documents/
0730dai5kijohaihu3.pdf
)

総務省_子育てワンストップサービスによる子育て支援ネットワーク強化事業
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000633055.pdf)

総務省_「地域IoT実装推進事業」 実施事業について(平成29・30・令和元年度)
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000662002.pdf)

千葉県柏市_市内における産業動向
(http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/090700/p038305_d/fil/4.pdf)

高知県南国市_南国市ホームページ
(https://www.city.nankoku.lg.jp/life/life_dtl.php?hdnKey=4270)

電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー
公務員のキャリアデザイン 自治体と民間企業の双方を知るイシンが、幅広い視点でキャリア相談にのります!