再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーの定義は、エネルギー供給構造高度化法によると「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用できると認められるものとして政令で定めるもの」と定められています。そして、政令では「太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマス」を再生可能エネルギーとして定めています。
再生可能エネルギーへの転換が求められる背景
日本で再生可能エネルギーへの転換が推進されている背景にはいくつかの要因がありますが、その中に我が国固有の事情があります。日本は資源が乏しく、石油や石炭、天然ガスなどを国産で賄うことはほぼ困難です。輸入に頼らざるを得ない状況では、政治不安や地勢状況などで供給がストップするリスクもあります。また、世界的に見ても化石燃料は有限であり、いつまで得られるかはわかりません。価格変動リスクもあり、エネルギーの安定供給に向けては、国内で賄えるエネルギー源の確保が重要な課題です。
再生可能エネルギーの課題
2017年の時点で、日本のエネルギー源構成における再生可能エネルギー比率は約16%にすぎません。これに対してカナダは65.7%、イタリアは35.6%、ドイツは33.6%となっており、日本は再生可能エネルギーについては立ち遅れているのが現状です。
そこで、日本では2030年度に再生可能エネルギー比率を22~24%とすることを目指し、再生可能エネルギーを主力電源とする方針を掲げました。再生可能エネルギーの主力電源化に向けては、課題も山積しています。
その課題の1つには、諸外国に比べて再生可能エネルギーの発電コストが高い点が挙げられます。世界的に見ると再生可能エネルギー発電コストは急速に低下しており、その他の電源と比べても、コスト競争力が増しており、再生可能エネルギーの推進要因になっています。日本においては今後の課題として、固定価格買取制度における中長期価格目標の設定や入札制の活用、技術開発などを通じて、コスト低減を図っていかなくてはなりません。
従来の日本の電力系統は大規模電源と需要地を結ぶ形で構成されてきました。もっとも、大規模電源が立地している地域と再生可能エネルギー電源のポテンシャルを持つ地域が合致しないという課題もあります。そのため、再生可能エネルギーを電力系統に接続したくても系統につなげない、コストが高い、時間がかかるといった壁が立ちはだかっているのです。系統の増強には多額の費用と時間が必要となるため、まずは既存の系統を最大限に活用していく方法を編み出していくことが求められます。
日本で期待される再生可能エネルギー
ここからは日本における今後の主力電源として期待される、代表的な再生可能エネルギーを見ていきましょう。そこで、以下では我が国でも活用が期待できる太陽光発電、風力発電、バイオマス発電について、その特徴とメリット、課題について検証していきます。
太陽光発電について
太陽光発電は今や日本を代表する再生可能エネルギーの位置づけです。日本における導入量は着実に伸びており、太陽光発電導入の実績だけで見れば、世界的に見ても中国、ドイツとともに世界をリードしています。
第一の特徴は、太陽光は地域を問わず利用することが可能であり、設置する地域に制限がなく、導入がしやすいのが魅力です。
第二として、屋根や屋上などの未利用スペースに設置したり、農地に設置したりしたパネルの下で野菜栽培もできるなど、新たに用地を用意する必要がなく、用地を占有することもないため、国土が狭い日本では有効です。
第三として、山岳部エリアや農地など送電設備のない遠隔地の電源として有効活用できます。
第四として、大規模地震や台風などによる送電停止や電力不足に備える非常用電源として機能できるのもメリットです。
課題としては、気候条件により発電出力が左右されること、さらなる導入推進に向けて、低コスト化に向けた技術開発が求められています。
風力発電について
風力発電は欧米諸国に比べると導入が遅れていましたが、2000年以降は導入件数が急増しており、2016年度末で2,203基、累積設備容量は335.7万kWに達しました。
第一の特徴として、陸上と洋上で発電が可能な点が便利です。もっとも、日本では陸上風力の設置がメインで、導入可能な適地が限定されてしまいます。海に囲まれる日本においては、今後は洋上風力発電の推進も検討や計画がされております。
第二に、風力発電は大規模発電できれば、発電コストが火力発電所並みのコストであるため、大規模発電へと舵を切ることも、今後の選択肢としてあるかもしれません。
第三に、高効率で電気エネルギーに変換できる点も魅力です。
第四として、太陽光発電とは異なり、風さえあれば夜間でも発電できる点も注目に値します。
バイオマス発電について
日本でも、技術開発が進み、さまざまな生物資源が有効活用されるようになってきました。第一の特長として、地球温暖化対策に大きく役立ちます。というのは、光合成により二酸化炭素を吸収して成長するバイオマス資源を燃料とした発電は、京都議定書において二酸化炭素を排出しないものと扱われるためです。
第二として、本来ゴミとして処分し、燃やすことで二酸化炭素を発生していた廃棄物が、エネルギーとして再生できることで、廃棄物の減少と再利用につながり、二酸化炭素の排出量を抑えた循環型社会構築に貢献できます。
第三に家畜排泄物、稲ワラ、林地残材など、都市部や農産漁村など各地域のバイオマス資源を有効活用できれば、食品ロスの減少や農産漁村の活性化と自然循環環境機能の維持に役立ち、持続的な発展を図ることが可能です。
第四に家畜排泄物や生ゴミなど、従来は捨てていたものを利用することで、地域環境の改善にも役立つのが特徴です。課題としては、資源が各農家や各食品工場や飲食店など分散しており、収集・運搬・管理にコストがかかる点が挙げられます。